2016年07月12日

加藤勝信少子化対策担当大臣に要望書をお渡ししました。

7月11日(月)、勝間和代団長、奥山千鶴子企画委員、高祖常子運営委員と事務局とで、一億総活躍担当大臣で、内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画)である加藤勝信衆議院議員に、「本当に「夢をつむぐ」子ども・子育て支援を実現させるための財源確保に関する要望書」をお渡ししてきました。

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「どうも(個別ニーズを抱える)マイノリティへの施策が足りないように思います。たとえば子どもの貧困対策。子どもには何の責任もないのに、悪循環に入り込み、社会の分断にもつながっています」と勝間団長が口火を切り、「にっぽん子育て応援団が先日実施した全国自治体調査でも、子どもの貧困対策に取り組む自治体はわずかでした」と奥山企画委員が調査報告書に触れると、「国でも、市町村に向けて子どもの貧困実態調査と対策立案と実行をと、30億円の予算を確保したんだけれど、ちゃんと執行されていない。先進的に取り組んでいる自治体にネットワークモデル事業もやってもらって、お手本を示していくなど、ちゃんと進めてもらえる工夫を考えたい」と加藤大臣。

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にっぽん子育て応援団立ち上げの頃に、フォーラムにご登壇くださった加藤大臣。子ども・子育て支援について熱心に取り組んできた議員のお一人でもあります。財源確保はもちろん、すべての子どもと子育て家庭を支えるための効果的な施策展開をと、かなり突っ込んだお話になりました。
ところで、「輝く女性」、「女性活躍」と言われますが、既にぎりぎりまで頑張っているのに、「もうこれ以上輝けないし、活躍も出来ない」という女性の嘆きが聞こえてきます。「ああ、よく言われます。「輝く」も「活躍」も言われたくないと」と、加藤大臣も苦笑い。「何かよい言葉はありませんか? あったら教えてください」と逆にお願いされてしまいました。

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2016年06月24日

馳浩文部科学大臣に 「本当に「夢をつむぐ」子ども・子育て支援を実現させるための 財源確保に関する要望書」をお渡ししてきました

6月24日、にっぽん子育て応援団の樋口恵子団長、勝間和代団長、奥山千鶴子企画委員と事務局が、「本当に「夢をつむぐ」子ども・子育て支援を実現させるための財源確保に関する要望書」を携えて、馳浩文部科学大臣にお会いしてきました。

2014年11月の「消費税率引き上げの1年半延期」の決定が下されたとき、にっぽん子育て応援団は、前回の引き上げ延期発表の翌日に記者会見で「財源確保を求める緊急アピール」を発表、フォーラムに各政党の国会議員をお招きして直接陳情書をお渡しするとともに、当時の担当大臣にも陳情を行いました。

新制度の財源確保を求める決議文20141119.pdf

このとき、「再延期はしない」とされていたにもかかわらず、再度の引き上げ延期となってしまいました。こんなことで、子ども・子育て支援新制度の財源確保、本当に「夢をつむぐ」ことのできる子ども・子育て支援が実現できるのでしょうか?
「夢をつむぐ子育て支援、子ども・子育て支援新制度は、なんとしても進めて行きたい」という思いは馳大臣も同じ。まずは要望書にしっかりと目を通して受け取ってくださいました。

にっぽん子育て応援団2016年度要望書0613.pdf

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さらに、「(消費税引き上げ延期で確保が難しくなった)3000億円をどうやって調達するべきか、よい方法はありませんか?」と樋口団長と勝間団長に尋ねました。

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勝間団長は長年の自説である「長時間労働の是正と配偶者控除の撤廃をセットで行うこと」をあげ、「今のような長時間労働では、女性が働き続けるのは辛い。しかも配偶者控除があるため所得を自ら制限する働き方をしてしまう女性が多いが、その結果、女性の税負担は、男性が負担する税額の10分の1に留まっている。長時間労働を是正し、配偶者控除を撤廃することで、女性もしっかりと稼いで、しっかりと税金を払うようになる。税収を飛躍的に増やすには、これが最も効果的」と、ワーク・ライフ・バランスの観点からも注目されている長時間労働是正と、なかなか実現しない配偶者控除の撤廃のメリットを説明。財源確保のお願いにあがったのが、どう確保するかについて、しばし協議する時間になりました。
「さらなる施策の充実に向けて、これからは頻繁に情報交換しましょう」と、馳大臣。こちらこそ、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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子ども・子育て支援の財源についてみんなで考えるアンケート

2016年参議院選挙に向けた子ども・子育て支援政策の財源確保の方法に関する政党への質問と同じ質問を、お読みいただいているみなさんにも致します。子ども・子育て支援の財源について、みんなで考えましょう。

みんなで考えるアンケートは、こちらから。
http://www.smaster.jp/Sheet.aspx?SheetID=111984

☆アンケート結果
http://www.smaster.jp/Result.aspx?SheetID=111984

2016年参議院選挙に向けた子ども・子育て支援政策に関する政党アンケート結果
6月22日に公示、7月10日が投票日となる参議院選挙。8政党に向けて子ども・子育て支援政策に関するアンケートを行いました。6月21日現在、6政党から回答をいただいています。

政党アンケート結果
http://nippon-kosodate.jp/topics/topics.cgi?ID=00261
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2016年06月21日

にっぽん子育て応援団結成7周年記念フォーラムを開催しました。

にっぽん子育て応援団結成7周年記念フォーラム
これから親になる私たちが考える本当に欲しい子育て支援はこれだ!
──開催報告


 にっぽん子育て応援団は5月22日、東京家政大学で結成7周年記念フォーラム「これから親になる私たちが考える本当に欲しい子育て支援はこれだ!」を開催しました。

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 冒頭、応援団の団長の1人で東京家政大学女性未来研究所長でもある樋口恵子さんが挨拶。結成当時は、子ども・子育て支援のための法律はありませんでしたが、その後、子ども・子育て支援法が誕生し、女性活躍推進法が成立したことなどを振り返りました。また、友人から、「2000年の介護保険誕生のときは、目が覚めるほどの変化があったが、子ども・子育てではそこまでの変化はない」と言われたことを紹介しながら、「目が覚めるような変化ではないが、気付くと変わっている」と指摘。保育園が新設されたり、ベビーカーが嫌がられなくなったり、幼子を一人で連れている若い父親に対する周囲の反応が変化していることを挙げました。「法律ができると意識が変わる。意識が変わると行動が変わる」と言及し、18歳が選挙権を持つようになったことにも触れながら、「これから大人になる人の意見がしっかり反映される社会にならないと子育てしやすい社会にならない」と期待を寄せました。

【第1部】「子ども・子育て 今こんなことが起きている!」
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 「子ども・子育て 今こんなことが起きている!」と題して、大学生や子育て当事者からの現状報告を行いました。ファシリテーターは、米田佐知子さん(子どもの未来サポートオフィス代表)。米田さんは、自身が2001年、横浜市の子育て中の母親の声を集めて政策提言した経験を踏まえ、声を出し出発点になることが大事だと述べました。そして、フォーラムを機に実施したアンケートの結果を紹介。若者世代は現実感がないために多くの声が寄せられなかったものの、現役世代からは地域で障害のあるわが子へのサポート体制を整えたが夫の転勤で引っ越すことになるかもしれない不安や、一人っ子への風当たりの強さ、産前産後ケアの弱さ、自営業での保育所への入りにくさ、生活が厳しいのに保育所に入れない不満などが寄せられたことを報告しました。
 当事者のトップバッターとして、幼稚園教員を目指しているという牧野歩美さん(東京家政大学家政学部児童学科3年生)が、結婚や出産はまだ考えられない遠い話と報告。結婚や出産に結構なお金がかかることに不安が大きく、20歳代のうちに結婚、出産したいと計画しているが、幼稚園教員の給与で生活し、貯金ができるのか気がかりなことを明かしました。母親が小学生4年頃まで専業主婦だったことから、自分も子どもが幼いうちは育てたいとの希望を持っているが、周囲に小さい子どもいない中で子育てに不安があることも挙げました。
 続いて岩崎ひかり(東京家政大学家政学部児童学科3年生)さんが発表しました。母親は結婚を機に専業主婦となった保育士。3歳未満の子どもと接するうち、自身も保育士を目指すようになったと報告しました。ただ、保育士の給与は他の産業より低いといわれていることから、東京で一人暮らしができるのか不安。将来は結婚して3人程度は子どもがほしいが、給料から将来のために貯金するのは難しいのではないかと感じていることを明らかにしました。また、保育園でアルバイトしてみて、2〜3時間でも子どもと本気で接すると大変だと感じたことから、家庭で子育てしている母親も体力的には大変ではないかと推察。結婚後は保育士をいったん辞め、子どもが中学生程度になれば働きたいと考えているものの、相談できる人が周囲にいない中ではイライラしてしまうのではないかと不安を感じていることも明らかにしました。
 ここで、米田さんが、仕事を一旦やめるとの考えについて質問。岩崎さんは、大学の友達の間でも、ずっと働き続けるより、ある程度働いてから一度辞めて家庭に入り、復帰すると考える人が多いことを紹介しました。
 次にNPO法人で保育士として働く28歳の橋口一委さんが、保育士としての働きぶりについて報告しました。通信教育で免許を取得した橋口さんは、この2月に資格を取得したところ。就職のために保育園を見学していたら、保育実習を経験していないと伝えたにもかかわらず、すぐにでも就職してもらいたいと言われ、即面接で担当クラスまで決められたことを紹介しました。資格があればだれでもよい、新人保育士を育てる余裕もないという印象を受け、このような保育園に預けざるを得ない親御さんがかわいそうに思ったと述べました。その上で、子ども一人ひとりに向き合って保育をしたいと資格を取得したことから、今のNPOを選んだことを報告しました。

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 続いて、大田区にある子育て支援の場「ほっとスペース じいちゃんち」の副代表を務め、子育てと介護のダブルケアを経験している岡本知子さんが、3人の子どもを抱えながら介護した経験について述べました。2010年に結婚した当初から、義父母と同居。田舎で祖父母らと暮らした経験もあり、介護を担う覚悟を持っていたが、想像以上に過酷な介護体験であったことを吐露しました。東日本大震災の3日後に舅が亡くなり、姑は元気がなくなり、里帰り出産をしている間に、姑が転倒を繰り返すまでに。姑の面倒をみていると、わが子がかまってもらえないとかんしゃくを起こすようになったエピソードを紹介しました。
 こうしたストレスを発散する場を探したほうが良いとケアマネジャーからアドバイスを受けたものの、児童館のひろばでは核家族家庭ばかりで話が合わず、介護を理由に週2日の定期利用保育を使えるようになったことで一息つけたと振り返りました。ただ、翌年には利用できないなど綱渡り。ようやく小規模保育に入園できることとなり、子どもと向き合う時間を持つことができた。一方、介護者の会に行っても、集まる人は年上の40〜70歳代で、ダブルケアの辛さを理解してもらえないと明かし、周囲の手助けがない日本は冷たい社会だと感じたと述べました。
 岡本さんは、「ほっとスペース じいちゃんち」を子どもが2か月のころから利用。ただ、担当のケアマネージャーはこのような場を知らなかったと指摘し、「情報弱者が追いつめられる」と言及しました。
 最後に20歳代の結婚適齢期の男性として辻翔太さんが登場。子ども好きで結婚願望が強いながらも、自分たちの今後について厳しい現実があると分析し、子どもがいない現状で何ができるのかと考えていることを打ち明けました。現状の問題点として、理系の大学で古い体質に苦しむ女性研究者の姿について紹介。時間制限のない男性研究者が夜中まで研究する一方で、結婚・子育て中の女性研究者はそれだけの時間を費やすことができないため差が生じ、女性研究者が活躍できにくいと訴えました。こうした問題意識から、会社で、ワーク・ライフ・バランスの重要性について労務担当に説明するものの、なかなか聞いてもらえない現状であることを吐露。子ども・子育てに注目が集まる中、個人レベルで何ができるか探りたいと発言しました。

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 これから親になる若者世代の発言を受けて米田さんは、出産・育児がブラックボックスになって、若い人が関心を持ちにくい現状にあるのではないかと分析。出産後は仕事を辞めて、子育てが一段落したら復職したいとの希望が強いと総括しました。若者世代の意見を踏まえてフロアでは気づきを話し合ってもらいました。

【第2部】「子ども・子育て・ライフプラン緊急対策会議」

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 現状報告を受け、「子ども・子育て・ライフプラン緊急対策会議」と称して、ヘルスケア・プロバイダーや産前産後ケア担当者、社会企業家、国の子育て支援担当者などが対策を協議しました。
 まず、医療専門職であり、東京家政大学子ども学部長の岩田力さんが、子ども学部、子ども支援学科について説明。50年以上にわたり保育者を養成してきた同大学が、現在のこども分野で不十分な健康保育や特別支援教育に焦点を置いて人材養成を行おうとしていることを紹介しました。
 次に、大学生が共働き家庭に訪問して仕事と子育てを学ぶ「ワーク・ライフ・インターン」をあっせんしているスリール株式会社代表取締役の堀江敦子さんは、起業した動機について説明しました。中学生の時からベビーシッターをするなど子どもを保育することに抵抗がなかった堀江さん。就職後、ワーキングマザーでも長時間労働せざるを得ない職場に疑問を持つものの、社内で当事者として改善に乗り出す同志が得られなかったことを振り返りました。当事者意識が持てるよう若い人をいか巻き込むかを考えた結果、自分と同じ経験をすればよいのではないかと起業したことを紹介。インターンシップを経験した学生は、仕事だけではなく生活についても考えるようになり、これからの社会をどうするかという視野が広がっていることをメリットに挙げました。
 続いて妊娠期から育児期まで切れ目なく支える子育て世代包括ケアの実践、和光市版ネウボラで注目を浴びている和光市南子育て世代包括支援センターの榊原久美子さんが取り組みを紹介しました。まず、子育ては楽しいが辛いという現状は自身がだった20数年前から変わっていないと指摘。子どもを安心して産める社会であるか、子育てしやすい社会であるか、子どもの権利が守られる社会になっているかが課題ではないかと問題提起し、対処療法的な施策に終始するのではなく、母親と子どもの関係性の発達支援が重要だと訴えました。
 人口8万人の和光市では、毎年、1000冊の母子手帳を交付。窓口の対応は母子保健ケアマネージャーですが、高齢者も含めて支援している現状を紹介しました。ケアマネは、母親を地域で孤立させないよう、手帳を交付するときに様々な地域サービスについて情報提供し、悩むことはないと言葉かけしていると紹介しました。また、地域子育て支援拠点では少し先輩のローモデルを示すほか、両親学級ではリアルうんちによるおむつ替え体験など実践的なメニューを用意していることを紹介。子育てに負担感を感じる母親が多いだけに、一時預かりが重要であることを訴えました。
 次に、「生みどきが、働きどきというパラドックスをどう乗り切る?」という観点から、和光版ネウボラ誕生にも関わってきた東邦大学看護学部教授の福島富士子さんが発表。先進国のうち母親にやさしい国ランキングで日本は32位、労働参加率では65位以下というデータを挙げて問題視し、「日本が母親にやさしい国になるためには、ワーク・ライフ・バランスや妊娠期からの切れ目ない支援が重要だ」と訴えました。また、6歳未満児のいる家庭での夫の家事・育児負担時間の国際比較データも紹介し、海外は家事支援で男性が支えているのに対して日本では家事時間が極端に少ないことにも言及しました。さらに、「女性の卵子の数は生まれ出た瞬間から減ることは伝わっていない」と指摘し、35歳で不妊治療しても出産にたどりつくのは16%程度であるとのデータを紹介して、子どもを産むには時期があることを伝えるべきだと訴えました。出産適齢期と働く時期が重なるだけに、社内体制などを考慮し遠慮することなく「産んだもん勝ち」だと指摘。ネウボラの活動を通じて肝っ玉母さんをつくりたいと述べました。
 最後に内閣府子ども・子育て本部参事官の竹林経治さんが、子ども・子育て支援事業について説明。待機児童対策ではなく、総合的な子育て支援の仕組みとしてスタートしていること、0〜2歳の在宅子育て世帯への支援を強化していること、市町村の子ども・子育て支援事業計画の作成にあたっては、現場の事業者や当事者の意見を組み込んでいることなどを紹介しました。
 コーディネーターを務めたNPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事でにっぽん子育て応援団団長の安藤哲也さんは、子育て世代の意識改革の重要性を指摘。自身も3人を子育てしている時期に仕事と子育ての両立が難しくなり、自分の生き方を変えようとファザーリング・ジャパンを設立したことなどを紹介しました。その上で、従来の子育てでは、父親にとって我が家はホームでなくアウェイではないかと言及。父親が育児にかかわることで、母親の育児ストレスが軽減され、家計収入も増えるといったメリットがあることを挙げました。ただ、個人の努力には限界があるだけに、「イクボス」と称して、企業の管理職の意識を変える活動をしていることにも触れました。
 現代の若者の状況に関して、堀江さんは、大学生の6割が専業主婦志向である点について、「社会が変わっているのに意識が変わっていないのではないか」と問題視、リアルな状況に接する機会が少なく自分の頭だけで考える傾向が強いことから、インターンを経験して自分の育った家庭以外を知ることが大事と述べました。安藤さんも、「専業主婦志向は男性がイクメンになるチャンスを減らす」とも付け加えました。
 また、榊原さんは、和光市では子育て支援分野と高齢者分野それぞれにケアマネージャーを配置していることを紹介。家族全員がウィンウィンの関係をもてるように考えていると述べました。その上で、今後は地域包括ケアシステムが必要ではないかと訴えました。

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 子育てしやすい社会とするための様々な取り組みについての報告をどう受け止めたか、若者世代が再び登場して発表。牧野さんは「働きたいし、子どももほしい。なんでもやったもん勝ちということであれば、助けてといえる自分になることがまずは第一歩ではないか」と述べました。また、岩崎さんは、女性の経済力も重要という点に気づいたと発言。橋本さんからは、社会から若い世代に対する具体的な提案がほしいと注文が出ました。岡本さんは、「子どもの将来を考えたら悲観するが、当事者が言わないと何に困っているか分からない」と声をあげる必要性を訴えました。辻さんは、育休をとるために今からしっかりと仕事のコントロールをしたいと話しました。
 若者らの感想を受けて安藤さんは、子育てをしてみて気づくことが多いことに言及。「見えない価値観の壁がある。多様な人の言葉に耳を傾けることが大事だ」と指摘し、当事者の声を政党や政府に届けていく旨を訴えました。

 2016年6月に施行された改正公職選挙法により、選挙権が18歳以上に引き下げられました。より若い人たちに、ぜひ一票を投じてもらいたいと考え、暮らしと国政とのつながりを実感することから、興味や関心が深まるのではないかと企画した今回のフォーラム。不安そうに語る若い人たちの表情の変化から、参加した100名のみなさんからは、大変興味深く、参考になったとの声が寄せられました。
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2016年06月20日

2016年参議院選挙に向けた政党アンケート結果発表。

6月22日に公示、7月10日が投票日となる参議院選挙。8政党に向けて子ども・子育て支援政策に関するアンケートを行いました。6月21日現在、6政党から回答をいただいています。
今回の設問は極めてシンプル。以下、アンケート調査票の内容ごとに回答をご紹介します。

2016年参議院選挙
子ども・子育て支援政策に関する政党アンケート結果


設問1.貴政党の子ども・子育て支援政策について教えてください。
・国では、少子高齢・人口減少に立ち向かう一億総活躍社会を創出するべく、「戦後最大の名目GDP600兆円」「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」の3つの目標を掲げ、これらの的に向けて放つ3本の矢のひとつとして「夢をつむぐ子育て支援」を掲げています。貴政党の子ども・子育て支援政策の優先度や本気度をお尋ねいたします。

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設問2-1.子ども・子育て支援政策の財源確保について教えてください。
・消費税率10%に引き上げで、子ども・子育て支援施策の量の拡充とともに質の向上にかかる財源も確保できるはずでした。「新しい判断」のもと、再び2年半の引き上げ延長が決まりました。にっぽん子育て応援団は子ども・子育て支援の財源をGDP比2〜3%への充実を目指して活動してきました。子ども・子育て新制度に必要と言われた1兆円の充実はその第一歩と考えていましたが、消費税率の引き上げで確保されるはずだった7,000億円ですら危うい状況です。いったいいつになったら1兆円確保されるのか、具体的にお聞かせください。

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設問2-2.子ども・子育て支援政策の財源確保について教えてください。
・子ども・子育て支援政策に必要な財源は、どのように確保すべきだとお考えですか? 以下の6項目のうち、貴政党のお考えに最も近いほうから3つ、順番に選んでください。
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子ども・子育て支援の財源についてみんなで考えるアンケート

お読みいただいているみなさんにもご質問を致します。
こちらから、ご覧ください。
http://www.smaster.jp/Sheet.aspx?SheetID=111984
☆アンケート結果
http://www.smaster.jp/Result.aspx?SheetID=111984


設問3. 「子ども・子育て支援新制度」の質の向上について教えてください。
・私たちは、担い手の処遇改善や専門性の向上などの質の向上なくしては、サービスが必要な人に行き届く量の拡充の実現も難しいと考えますし、新制度の円滑な推進の要として必要だと考えています。質の向上の必要性についてのお考えについて、財源も含めて、お尋ねします。

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☆どの政党も子ども・子育て支援施策は最優先課題であり、実現に向けた財源確保に尽力して行くと回答しています。特に今回は、子ども・子育て支援施策の財源確保の方法についてお訊ねしてみました。消費税率引き上げにより国民全体で負担を分かち合うという回答が自民党、公明党、おおさか維新の会から寄せられましたが、消費税率引き上げ延期となった今、説得力はありませんね。子ども・子育て支援新制度の推進に求められる財源の確保、さらに量の拡充と質の改善に必要な1兆円超の財源確保に向けて取り組んで行くと約束してくださいましたが、「いつになったら」への回答はありませんでした。また、子ども・子育て支援施策の課題=保育所待機児童問題という回答が多い中で、公明党だけが地域子育て支援の重要性と、保育士をはじめとする子ども・子育て支援の現場の担い手への処遇改善について言及していました。
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2016年02月07日

2015年度地域まるごと・プロジェクト 地域包括及び子育て世代包括ケア先進自治体調査報告会を開催しました。

 にっぽん子育て応援団は2月7日、公益財団法人さわやか福祉財団の助成を受けて取り組んでいる「地域包括及び子育て世代包括ケア先進自治体調査」の報告会を開きました。子育て支援関係者はもとより、行政担当者、地方議会議員、地域福祉に関心の高い市民活動団体関係者など、幅広い分野の205名の方々がご参加くださいました。参加者アンケートでは、行政、各種機関、企業、市民活動団体、市民など、地域ぐるみで家族をまるごと支えていく「地域まるごとケア」の取り組みを通した地域子ども・子育て支援の実現と可能性に、強い共感とともに、「地域まるごとケア」の考え方に多くの賛同が寄せられました。

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 まず、報告会に出席できなかった堀田力・さわやか福祉財団会長がビデオによりメッセージ。にっぽん子育て応援団の団長でもある堀田会長は、今回の報告会の趣旨について、日本各地で地域が一緒になり、子どもを含めた家族をまるごとを支えていく先進的な取組を紹介し、日本中にその仕組みを広めるための会であると説明。高齢者、障がい者の分野では地域でささえる仕組みを作っていこうという動きになっているだけに、子ども・子育て分なでもその流れを広め、報告会をきっかけに人々の支えあいの中で子どもが育ち、みんなが幸せに暮らす社会につながることへ期待を述べました。

 続いて、「地域まるごとみんなで支え合う コミュニティ構想」と題して樋口恵子団長が基調講演。休憩をはさんで、地域まるごとケア・プロジェクトの事務局でもあるにっぽん子育て応援団事務局から2015年度の調査報告を行なった後に、今年度ヒアリング調査を行なった8自治体の内北海道北見市、三重県名張市、島根県雲南市から、先進的な取り組みを行なう3名のパネリストと厚生労働省の担当者をコメンテーターにお迎えして、パネルディスカッション「子ども・子育ての課題も、地域の課題です」を行ない、閉会挨拶の後、終了しました。総合司会は、NPO法人せたがや子育てネット代表理事でにっぽん子育て応援団事務局の松田妙子が務めました。

【基調講演】「地域まるごとみんなで支え合う コミュニティ構想」
             にっぽん子育て応援団団長 樋口恵子


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 かつては人生50年と言われていたが、戦後の高度経済成時代に人生60年から65年となり、2012年政府が閣議決定した高齢社会政策大綱で「人生65年社会から90年社会へ」とのサブタイトルがつけられるほど。樋口団長はさらに、「人生100年社会の到来」と言ってよいのではないかと日本の人口構造の大変化という課題を強調されました。80歳以上が増える一方で、少子化が進み、今50代の男性の5人に1人、女性の9人に1人が独身であり、結婚を引きのばす社会に日本がなったことには、先輩世代が「結婚ってこんなに楽しいのよ」と家庭生活のすばらしさを見せてこなかったのではないかと反省。これは、第二次世界大戦で15年間もの長きにわたって戦時下体制で過ごし、男は戦士となり女は銃後の妻となるという役割分担をその後も続けてきたためではないかと分析されました。そのため地域に若い男性の影がなくなり、地域で老若男女が子育てをする風景も失われてしまったと。
 しかしながら樋口団長は、少子高齢化という大変な事態ではあるものの「ピンチはチャンス」と提起。日本は世界一の長寿国で、105歳の枕元に2歳の玄孫がいるなど一家に四世代五世代、一世紀の人間が共に生きるような多様性がある国はないと指摘されました。これは平和で豊かな社会でなければあり得ない風景で、生の肉声で戦争の痛手や平和の尊さを孫・玄孫世代に伝えることができるのではないかと祖父母世代の役割を強調されました。
 さらに、祖父母世代が経済的な豊かさを味わい、今日まで元気でいられるのは日本の社会保障の恩恵もあるとして、「食い逃げするのは高齢者の恥。当事者として高齢者の人生の究極の幸せためにも奮闘するが、と同時に次の世代が喜んで生まれてきてくれるような社会を冥途の土産として作っていきたい」と主張。童話「青い鳥」の一場面を紹介しながら、未来の国の子どもたちが生まれてくることに期待を持てるような社会をみなで作ろうと呼びかけました。
 その上で、地域には高齢者世代にもまだまだ活躍できる場があることを指摘しました。クリスチャンの賀川豊彦が、「子どもには「食べる権利」「眠る権利」「遊ぶ権利」「夫婦喧嘩をやめてもらう権利」「叱られる権利」がある」と語っていることを紹介。そこに「褒められる権利」も加えて、子どもはたくさんの人に見守られ、叱られつつ善悪を教えられるとともに、その子どもなりの存在を認められることが必要であり、それは地域の大人であればだれでもできる役割だと説きました。そうした地域の取組の事例として今回の報告が参考になるはずで、各地でこうした気運を盛り上げるよう呼びかけました。

【報告と提言】にっぽん子育て応援団事務局 當間紀子

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 にっぽん子育て応援団事務局で、地域まるごとケア・プロジェクトにかかわる當間紀子が、先進自治体調査について報告するとともに、調査に基づいて応援団からの問題提起を行ないました。
 「にっぽんをもっと子育てしやすい社会に」と訴えてきたにっぽん子育て応援団が、高齢者支援・介護保険行政にヒアリングを行ったのは、子ども・子育て支援も高齢者支援もともに地域の課題と認識した旨を報告。介護保険制度での地域包括ケアを参考に、子ども・子育て分野にこそ地域包括支援センターがほしいとの思いから調査にとりくむことになった経過を述べました。その頃、滋賀県東近江市で永源寺診療所長、花戸貴司さんと出会い、永源寺の地域の方々を巻き込み自宅で看取られる地域づくり「地域まるごとケア」をプロジェクトの名前にも借りることができた旨が紹介されました。
 初年度は、北海道北見市、岩手県大船渡市、東京都世田谷区、三重県名張市、滋賀県東近江市、島根県雲南市、香川県高松市、大分県臼杵市の8自治体を調査しました。中間支援NPOが核となって高齢者・介護、障がい者支援、ひとり親住宅、一時預かりを組み合わせた多機能強制型施設を展開している北見市。社会福祉協議会が子育て支援事業、利用者支援事業(基本型)とともに高齢者支援も担う大船渡市。地域保健福祉医療総合計画の中で地域包括ケアセンターをきめ細やかに配置し、高齢・介護とともに子育てや障害なども丸ごと支える体制構築を進めている世田谷区。高齢者対策のために充実させてきた地域支援体制を子ども・子育てにも広げ、市民総働″のネウボラ体制を構築してきた名張市。医療・福祉の先駆的な取組が市民レベルで進んでおり、地域のフラットな関係を“魅知普請曼荼羅”という形でまとめている東近江市。地域振興協議会が高齢者の困りごとや子ども・子育て支援、地域振興を地域の力で解決している雲南市。病児保育と子育て支援拠点を併設する小児科医院、高齢者のデイケアと子育て支援拠点、産褥入院を併設する助産院などの多機能共生型支援という先進的な取り組みが市民レベルで進んでいる高松市。ネウボラの構築や介護予防・生活支援事業に向けたまちづくり推進本部を庁内に設け、地域医療・介護情報連携システム「うすき石仏ネット」を構築した臼杵市と、それぞれの特徴が紹介されました。
 調査を終え、課題として挙がったのは、「地域福祉や地域包括ケアの視点に子ども・子育て支援が入っていない」ということだったと指摘されました。そこから、「赤ちゃんから高齢者まで生涯現役、全員参加の地域づくり」などを提言。先駆的に地域包括ケアに取り組む自治体でも、子ども・子育てに関する地域の理解はまだ不十分だと感じられたことあるとして、初年度の問題提起には「子ども・子育て家庭も同じ地域の一員であることを伝えたい」と訴えました。

【パネルディスカッション】「子ども・子育ての課題も、地域の課題です」

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 ヒアリング調査をした8自治体のうち、北海道北見市、三重県名張市、島根県雲南市の取り組みについて発表していただきました。コーディネーターはにっぽん子育て応援団企画委員の奥山千鶴子が務めました。


◎島根県雲南市海潮地区振興会会長 加本恂二さん

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 雲南市は、昨年2月に誕生した「小規模多機能自治推進フォーラム会議」の事務局。雲南市海潮地区振興会会長でもあり、同市子ども・子育て会議の委員も務めるの加本恂二さんが、「地域の子育ては地域でするという合意形成」と題して、その実践について報告されました。
 海潮地区は人口約1900人で高齢者率38%の地域。職場を松江市に持つ兼業農家が多いという地域柄です。海潮温泉やホタル、須賀神社、神楽などの観光資源が豊富なので、こうした資源を生かし、住みやすい地域づくりに長年活動して来られました。それが、公民館を中心とした地域自主組織です。その特徴の一つは、地区マネジャーという仕掛け人の配置。加本さんも地区マネージャーとして、海潮地区の地域おこしに取り組んでこられました。
 地域自主組織のモットーは、「地域の課題は自分たちで汗をかいて自分たちで取り組む」ということ。そのための財源も自分たちで確保。地区の500世帯から毎年1戸1000円ずつ拠出してもらった50万円を地域の課題解決に使ってきたそうです。「うしおっ子ランド」の取り組みもその一つの活動です。老朽化した幼稚園を建て直して幼保一体化施設とするべく国に要望を出したのですが、縦割り行政で最終的には実現しませんでした。そこで建て替える幼稚園の1部屋に子ども相談室を設けてもらい、これを活用して地区で子育て支援を行なうことにしました。午後2時で終わる幼稚園の降園後、夕方まで、あるいは夏休みなどの長期休業期間中は1日、保育所と同様に地域で一時預かりを行います。保育士の人件費に地区の拠出金を充てました。10年間この活動が続きましたが、今春、正式に認定こども園となったということです。
 また、4年前には、地区に放課後児童クラブがなかったため、農協跡地を借りて低学年児童を受け入れるようになったことも紹介されました。さらに、「うしおっこランド」の次には3歳未満を受け入れる保育が実施できないかと検討、若い母親たちが市長に陳情に行く際には振興会からも同行し、低年齢保育施設の設置要望は「地域の総意」である姿勢を示したそうです。このように若い人が定住し、安心して子育てができる「子育てのまち。雲南」、「子育てのまち。海潮」ということを全国に発信したいと主張されました。

 コーディネーターの奥山が、加本さんが強調されなかった小規模多機能自治について言及。住民で課題を出し合い、「次は放課後児童クラブだ」「乳幼児の保育だ」と、自分たちで協議し、財源も稼ぎ出して配分していく姿を特徴として整理しました。

◎三重県名張市健康福祉部健康支援室保健師 上田紀子さん

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 同市で母子保健業務を担当する保健師、上田紀子さんが、名張版ネウボラの取組について説明されました。名張市は人口8万人弱、年間出生数600という自治体。平成25年から子育て支援に力を入れ始め、妊娠期からの切れ目ない支援を「名張版ネウボラ」と名付け、「生み育てやすいまち・なばり」を実現する仕組みづくりを進めているということです。
 ただ、ネウボラと称するものの、フィンランドの仕組みとは異なり、地域の人材を活用している点を特徴に挙げられました。名張市は、大阪のベッドタウンとして発展し、他市の倍近いスピードで高齢化が進展。自治体が財政的に厳しいことは住民も自覚しており、地域の人々と課題を共有しながら、健康づくり、介護予防、子育て支援に取り組んでいるそうです。その点について上田さんは、「名張の一番の自慢は、主体的なまちづくり」と強調されました。住民の活動拠点である公民館や市民センターを指定管理で運営してもらい、そこに福祉の窓口として「まちの保健室」を開設しているそうです。当初、高齢者の相談窓口でしたが、子ども・子育て家庭にも活用し、ネウボラの中に位置付けられました。名張版ネウボラでは、健やかな育児を支援しつつ、その支援を地域のシニア世代が担うことで、シニア世代の健康づくりや生きがい、介護予防につながっていることが特徴だと説明されました。全体の支援の仕組みを図にして高齢者支援に携わる方とも情報共有するなど、課題や統計データも地域と共有しているそうです。そのため「地域包括ケアは子育ても同じだね」と気付いていただけたそうです。地域が積極的に動く中、行政の役割としては、地域で課題と認識しつつも対応できないことについて何が困難な点なのかをともに考えていくことだと主張。新年度からはネウボラも含んだ総合的な支援システムをスタートさせる予定であることを明らかにされました。
 核となる「まちの保健室」は、地域包括支援センターのブランチ(支店)という位置づけで、さらに子育て世代包括支援センターのサテライトという役割も担っている重要な拠点。子ども分野の支援の専門職が少ない中、高齢者の相談員を行っていた介護福祉士、社会福祉士、看護師らが研修を受けたチャイルドパートナーとして「まちの保健室」で母親らに対応していることも付け加えられました。
 また、地域の力について上田さんは、地域づくりの中心的な方々に地域の子育て家庭の問題を知ってもらうことが行政の役割ではないかと、ワールドカフェ方式で課題を出し合う会議などを開催したことも紹介。住民から行政への問題提起が行なわれたり、行政との認識の共有が図られたようです。たくさんの会議を通して、地域の方々が顔の見える関係となっており、こうした住民の活動を背景に、「地域福祉総合ケアシステム」が機能するよう住民の力をサポートしていきたいと話されました。

◎NPO法人北見NPOサポートセンター理事長 谷井貞夫さん

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 同市における多機能共生型コーディネートについて、NPO法人北見NPOサポートセンターの谷井貞夫さんが説明されました。この事業は、厚生労働省の地域介護福祉空間交付金事業の市町村提案型事業というもの。平成20年ごろから始まったこの補助事業を使えないかと考えたのは、人口減少に危機感を抱き役所に相談にいったところ、役所では人口増加を前提とした事業計画しか作れないという現状を知ったからだと説明されました。そこから「民間でできることは先行してやっていこう」と話し合い、14〜15年前から高齢化社会や人口減少社会に備えた活動を展開する中で、厚労省の交付金を活用することになったそうです。
 この補助事業は、地域で高齢者支援、障がい者支援、子育て支援などを組み合わせた共生型の事業を市町村が提案した厚労省が審査をするもの。それぞれ専門に活動しているNPO法人を中核にして様々な事業を組み合わせた提案が採用され、北見市では8か所の共生型施設が誕生したことが紹介されました。
 共生型施設の特徴は、建物の建築費は公的な補助を使うものの、運営費については行政的な支援がないこと。介護保険事業や障がい者支援事業、自主事業を組み合わせて運営されているそうです。また、できるだけ自主事業だけで運営できるよう、様々に工夫。北海道庁や市町村の各分野、大学、地元企業、町内会ともネットワークを組んでいることが紹介されました。「これからの企業はコミュニティ・ビジネスの視点がないと生き残りは大変だ」と提案したところ、地元中小企業団体の経営委員長を任されているそうです。
 子育て分野の活動としては、夕陽ヶ丘オレンジスタジオという団体を紹介。1時間500円で一時託児を受け入れる一方、母親向けに運動やパソコン、就労支援セミナーなどを開催しています。高齢者と子どもとの接点を増やそうと、食育講座のアシスタントを高齢者に依頼しているそうです。また、高齢者施設を運営するNPO法人が運営する「地域共生ホームかえで」という共生型施設には、近隣の小中学生が放課後集う共生ルームに駄菓子屋が併設されています。活動自体は赤字ですが、地域にとって必要な場であり、高齢者が子どもたちと日常的に触れ合えることで住み心地がよくなると運営されているそうです。
 今後の課題として、高齢者も多様化してきているため、それぞれに対応したサービスを提供するにはコストと負担の観点から利用者負担で提供できる範囲に限界が生じてしまう点を挙げられました。また、生産年齢人口が減少している中で、ボランティアの確保も難しいそうです。
 人口密度の低い広域エリアで活動しているので、何事も非効率。だからこそ、スクールバスに高齢者だけではなく用事のある人はだれでも乗車を認めるなどの発想が必要なことにも言及されました。
 その上で谷井さんは、危機感や意欲を持つ人はどのまちにもいるはずと指摘。そうした人たちの活躍の場をつくるよう、行政は自分たちで全部やるのではなく、地域にあるすべての資源を活用する姿勢が求められるのではないかと問題提起されました。

◎3市の取組についての講評など
  厚生労働省労健局介護保険計画課長 竹林悟史さん

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 厚生労働省・介護保険計画課長で、その前職では子ども・子育て分野に携わっていた竹林悟史さんが、国の取り組みについて説明。住み慣れた地域で最期まで自分らしく暮らしていけるよう、2025年には地域包括ケアシステムを構築していこうと進めていることを紹介されました。
 また、かつて家族や地域社会が担ってきた福祉ニーズを、高齢者は高齢者福祉、障がい者は障がい者福祉、子育て家庭は児童家庭福祉といったように分野に応じて振り分け、高齢者特別養護施設のように特化したサービスを提供してきたのがこれまでの福祉制度であったと整理。現在は、地域でその人らしく、支援が必要になっても支えあって生活できるように変わりつつあり、子育ての世界でも幼稚園と保育園だけではなく子育てひろばをはじめとした地域で支える仕組みが求められていると説明しました。高齢者も障がい者も子ども・子育て家庭にとっても地域は一つで、対象者別の制度をどのように横につなぐかが国の課題にとなっていると説きました。
 その上で、介護分野での新しい考えを植木鉢に例えて紹介。住まいを植木鉢、生活支援サービスを土に見立て、そこが充実した上で医療・介護の葉が開くといったイメージを描いています。そのためにも地域社会において、自助・互助・共助・公助をバランスよく作っていく必要があると指摘。社会保障制度の大半は共助だが、地域で支えあう互助の部分も大事になっていると言及されました。
 さらに、3市の取り組みが対象者別の福祉ではなく、地域の方々が様々な役割を持ち、一つのコミュニティーが作られている点を重要だと指摘しました。それぞれの自治体が国の制度をうまく活用している点も評価。国がそれを邪魔しないよう支援することが大事であり、その点を今後考えたいと結びました。

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 一方、コーディネーターの奥山は、3市の取り組みについて、今、目の前に困っている子育て家庭をどうすればよいか、高齢者を抱える家庭にどう支援できるかを考える人がいて活動してきた成果ではないかと整理。そのための仕組みを行政とともに考えて地域に合うように活用されたと評価しました。その上で、「行政がやってくれない」「制度がない」ということではなく、どうすれば自分たちでうまくできるのかと考え行動できる人がいると地域はずいぶん変わるのではないかと提起。地域まるごとケア・プロジェクトの今後として、「全国でもっと多様な取組を行っている地域を発掘し、それを横展開できる資料を用意したい」と抱負を述べました。

【閉会挨拶】 にっぽん子育て応援団企画委員 柳澤正義

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 にっぽん子育て応援団企画委員の柳澤正義が挨拶。3市のユニークで特徴的な取組を参考に、各地域でも子ども・子育て支援と高齢者支援を一体化していく取組を進めてもらいたいと期待を寄せました。

☆当日配布した資料に掲載できなかった厚生労働省労健局介護保険計画課長の竹林悟史さんのパワーポイント資料を、竹林さんのご厚意でアップしました。
こちらからご覧ください。
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2015年08月20日

2015年度企業・団体サポーター交流会を開催

 にっぽん子育て応援団は7月2日、東京・日比谷の第一生命保険株式会社日比谷本社新館6階ABC会議室において、「企業・団体サポーター交流会」を開きました。にっぽん子育て応援団にご支援いただいているサポーター企業、団体の方々との交流をはかるべく、毎年開催しているものです。今回は、「ダイバーシティ・マネジメント」をテーマに基調講演やパネルディスカッションを行いました。

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◎開会によせて
 会場を提供くださった第一生命保険株式会社執行役員、山本辰三郎さんが挨拶。女性社員が多いことから男女ともに働きやすい制度を整備しているほか、ご自身の経験を踏まえ、仲間がお互いを尊重する風土が大切であることをお話されました。

◎国の制度の説明

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 続いて、厚生労働省雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課の蒔苗浩司課長が、最新の両立支援の取り組みについて説明しました
男性の育児休業取得率は、直近の平成26年度で2.30%と右肩上がりとなっていますが、2020年には13%にするという政府目標には及ばないとして、啓発に一層力を入れる必要があると指摘。男性の家事・育児の参加率が高い方が女性の継続就業につながりやすく第2子以降の出生率にも影響を与えていること、昨年4月の雇用保険法の改正で育児休業給付の給付率が引き上げられ、実質的には手取りの8割程度が保障されるようになり、男性の育児休業取得者が増加していることなどが紹介されました。
 また、平成22年からイクメンプロジェクトをスタートさせましたが、上司の理解がないと育児休業等も取得できないと昨年度からはイクボスプロジェクトを推進。実践を表彰し、好事例を情報発信するなどして、地方にも広げていこうとしていることが紹介されました。
 さらに、次世代育成支援対策推進法を改正し、一段と高い取り組みを行っている企業に対しては「プラチナくるみん」を使えるようにし、授乳コーナーなどの資産に対する割増償却制度も3年間の期間延長されていること、くるみんマークの認知度が低いため自治体のゆるキャラとコラボしていることなども取り上げられました。
 最後に、現在行われている育児・介護休業法のさらなる見直しでは、介護休業を分割取得など、家族の介護を抱える人に利用しやすい制度に向けた検討を行っていることにも触れました。

◎基調講演

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 にっぽん子育て応援団の共同団長である安藤哲也・ファザーリングジャパン代表理事が、「ダイバーシティ・マネジメントができる上司が社会を変える」と題して、イクボスの重要性について説きました。
 まず、自分自身が10年間、子どもを保育所に送り迎えする中で育児と仕事の両立の難しさを実感、働き方を見直したことを紹介しました。そうした経験があるからこそ、部下にも両立する上でのノウハウを伝授するなどマネジメントができたことを強調。時間に制約がある社員をいかに活用するかなど、人材活用のマネジメントを日本の管理職は基本的に学んできていない点に問題があることが指摘されました。
 そこから、男性が働き方を見直し、積極的に育児に参加するというイクメンが増えると社会が活性化し、個人のメンタルヘルスも改善されるので会社の生産性が上がるとともに国全体としては女性の就業率が上がると訴えました。男性の長時間労働や休暇が取得しにくいという構造的な日本の働き方の問題は、一方で過労死など不健康な働き方を生み出し、男性が家事や育児参加できない事態をもたらしていることにも言及。男性が家事や育児に参加することは、女性のキャリアアップにつながり世帯としての収入が増加するだけではなく、子どもの精神的な成長にもメリットがあり、地域の友人も増えるほか、仕事にも有効な能力が身につくことになるのではないかと説きました。
 こうした働き方の見直しのためには、業務を見える化するなど、柔軟性のある組織となることが重要だと指摘。これからは子育て中の女性だけではなく、高齢者や外国人、がん治療中の人など制約のある社員が増えると考える必要があると提起し、それだけに従来型の働き方の認識を改める必要があると訴えました。また、周囲に知られないように介護に時間を割く社員も少なくないとして、そうしたプライベートも打ち明けられるような信頼感を築くことが重要であり、個々人のモチベーションが下がらない工夫が大事なことを訴えました。イクボスはプライベートも楽しむ人であることを強調。イクボスを増やすためには繰り返しの研修だけではなく、管理職の評価を変えることも必要だと説きました。

◎パネルディスカッション
 「ダイバーシティ・マネジメントの現場から」と題して、第一生命保険株式会社の取り組みやイクメン・パパの実践談といった具体例を素材に今後の課題などについて意見交換しました。

 第一生命保険株式会社人事部の鮎沢慎一次長が、同社のワークライフバランスの取り組みについて説明。両立支援施策の充実として、産前産後休暇の有給化や短時間勤務/残業免除、育児時間の取得など子どもの成長に伴った休暇などを整備する一方、ワークスタイルの変革として、総労働時間の縮減とともに、育児休業の取得の勧奨、子どもが主役デー(職場参観日)を実施して育児参画意識の向上を図るなどしてきたことを報告しました。今後の課題としては、男性の育休取得者をさらに増やすことを挙げました。

 また、同社株式部の安部健一郎次長は、就学前の子ども2人を抱える共働き家庭の生活ぶりについて報告しました。午前4時半ごろに起床し、幼稚園児の長女のために週の半分はお弁当作り。登園後、7時半ごろ出勤し、19時頃退社。洗濯や掃除なども平等に分担していることを紹介しました。2人目妊娠時の奥さんのつわりがひどかったために家事を担当するようになり、そこから家事に対する意識・スキルもアップ。奥さんに仕事を理解してもらい、前倒しで仕事を進めるよう気を付けていると言及しました。難しい点として、子どもの病気でも預けざるを得ない時など子どもや周囲に「申し訳なく思う」ことや、家事・育児・仕事の間でバランスを取ることが難しく、すべてに満足を得ることができない点を挙げました。その上で、女性が活躍の場を広げることは不可欠であり、いろいろな選択肢があることが豊かで楽しい社会になるのではないかと話しました。

 にっぽん子育て応援団企画委員の岩田喜美枝・21世紀職業財団会長は、安部さんの発言がかつてのワーキングマザーと同じ悩みだと指摘。会社に対しては時間当たりの生産性で貢献しているので申し訳なく思う必要はなく、子どもにも愛情は注がれているのではないかとアドバイスしました。

 にっぽん子育て応援団団長の勝間和代さんは、残業の縮減について、労働生産性を上げることに尽きると断言。アメリカでは長時間労働をさせた管理職が辞めさせられるなど、ダイバーシティを重視しないと会社がつぶれるという危機感があることを挙げました。それに対して、これまでの日本ではそこまでしなくても会社はつぶれないという意識があったと指摘し、第一生命保険が長時間労働を変えようとしていると評価。労働時間の削減を進めるのがイクメンだと呼びかけました。

 同じく企画委員で10年前に経済産業省で初めて育児休業を取得した山田正人さんは、入省して15年後に育休を取得しましたが、当時は無制限に働く環境だったと振り返りました。育児休業期間中は、物事が同時多発的に対応せざるを得ないが、仕事は予定調和の世界なので効率的な働き方ができるようになると説きました。最近では、育児休業明けなど時間制約のある部下が送られてくるようになったため、どうやってアウトプットを高めるかを考えると個々人の内発的動機に火をつけるしかないことに気付いたと報告しました。

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 勝間さんは、こうしたマネジメントに対してスキル投資をするという意識がない点を問題に挙げ、やる気の引き出し方など既に知られている手法を体系的に教えることで生産性が上がる可能性がある点を指摘しました。

 岩田さんも、今後は女性も仕事を継続してキャリアアップすることが当たり前になるので、家事などを夫婦でシェアする意識を持つことが必要だと強調。いつまでも会社にいられるわけではなく、トータルの人生でどれだけ幸せになるかを考えるべきではないかと問題提起し、男性の幸せのためにも働き方の常識を変える必要があると説きました。

 安藤さんは、パネリストらの発言を受け、今、世の中を変えるチャンスであり、変わらないと幸せにならない、子どもたちが未来に希望を持てる社会を一緒に作ることがすべての大人の責任ではないかと締めくくりました。
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2015年07月07日

にっぽん子育て応援団結成6周年記念フォーラム開催報告記

にっぽん子育て応援団結成6周年記念フォーラム
「発進!子ども・子育て支援新時代」
開催報告記


 にっぽん子育て応援団は5月30日、「発進!子ども・子育て支援新時代」をテーマに、結成6周年記念フォーラムを東京家政大学板橋キャンパスの三木ホールで開催しました。
 開会挨拶では、東京家政大学女性未来研究所所長でもある樋口恵子団長が、子ども・子育て支援新制度が4月にスタートできたのは、地域で子育て支援活動を展開してきた活動家たちのおかげだと感謝の意を示しました。ただ、最近、少子化対策として出生率の目標を立てようとする動きがあることには懸念。生まれてきたことそのものをありがたく思える環境を作るために、これから市民たちで作戦会議を始めようと呼びかけ、フォーラムが始まりました。

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【第1部】自治体首長対談
「発進!子ども・子育て支援新時代」

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 応援団企画委員の奥山千鶴子さん(子育てひろば全国連絡協議会理事等)のコーディネートにより、前新宿区長の中山弘子さんとにっぽん子育て応援団の企画委員でもある三鷹市長の清原慶子さんが対談。両区市で子ども・子育て支援施策をどのように進めてきたのかその経過を振り返りつつ、問題提起しました。
 この中で中山さんは、次世代育成支援計画の総合ビジョンを策定する際、「子育ては母親だけがやるものではないし、それだけでは子どもが育たない」と考え、子育てを応援する人とサービスが豊富なまちをポイントに置いたことを紹介。さらに職員とも議論し、結婚や出産は個々が決めることであり、子どもを持ちたい人が持てる社会を作ることが大事だということで、「子育てを実現しやすいまち」を計画の目標に据えたことをも報告されました。実際、「新宿は子育てしやすいまちだと思うか」という質問に対する答えは、小学生の保護者で倍増、就学前児童の保護者では3割以上増えていたことを挙げ、結果として出生数が増えたと振り返りました。
 また、待機児童対策については、男女とも働かなくては暮らしてゆけない社会になり、子どもがきちんと育つためには保育所が大事だと積極的に進めてきた旨を報告しました。同時に、保護者の就労に関係なく発達に必要な施設が必要だとして、新宿型の子ども園を整備、区立幼稚園の子ども園化を進めたことを紹介しました。現在、再び待機児童が増えていることに対しては、「子どもが就学前の世帯でも共働き率が高くなっているので、行政の施策が追い付いていっていない面があるのではないか」と投げかけました。
 さらに、新宿区は区民の1割が外国人という特色があることから、多様さへの対応も考慮。「多様さを受け入れ力にしないと社会は発展しない」と考え、すべての子育て家庭をサポートしてきたことを紹介しました。在宅子育て家庭の支援のためにひろばや一時預かり事業を実施するほか、地域の子育て情報の提供などにも取り組み、子育て支援団体が集まる見本市、新宿子育てメッセの開催、子ども総合センターの創設などを挙げました。こうした取り組みでは、「地域の人々集まり、顔が見えることで情報共有し、共感することが大事だ」と振り返りました。
 清原さんは、バランスの良い子育て支援を目指してきたと話されました。同市の公立保育所で最初に0歳児保育を実施したほか、株式会社への民間移管も最初に実施し、公立幼稚園の跡地の活用、保育ガイドラインの作成、子育て支援NPOを活用した在宅子育て支援の活動などを展開してきたことを紹介しました。
 農地が宅地化した成果も大きいものの、こうした取り組みの成果として人口が平成15年の16万8000人から18万人増加したと報告しました。
 待機児童対策については、平成27年も209人発生するなど増加傾向になることを紹介。就任以降、約1500人分保育所定員数を増加しているものの、潜在ニーズが顕在化しており、待機は減っていません。そこには、暮らし方や女性の働き方、家族の在り方が影響しているとの認識を示しました。
 その背景の一つとして、出生率の動向にも注目。就任時の合計特殊出生率は0.95で、「安心して子どもを1人以上産めないというのは地域として望ましくない」と考え、親子ひろば事業を充実させてきたと振り返りました。就学前児童のうち在宅子育て世帯は3分の1に上っており、待機児童解消だけではなく、在宅子育て世帯への支援も大事だと、保育園の地域開放やひろば事業などを充実させてきたと報告。一定の出生率の向上が見られたとして、「総合的な子育て支援のきめ細やかな取り組みが大事だ」と訴えました。きめ細やかな取り組みの一つとして、民生委員児童委員による「こんにちは赤ちゃん事業」や、高齢者支援も含めた地域ケアネットワークの整備なども挙げました。
 お二人の発言に対して奥山さんは、「子育て支援に特効薬はないということですね」と相槌。清原さんの質問からこども園も話題に上りました。
 中山さんは新宿区のケースについて紹介。「同じ発達段階にある子どもは親の就業状況に関係なく必要な保育・教育が受けられる。お互いに知り合い、一緒になることが大事。一番変わらないといけないのは大人。やってみてわかる」と積極的に推進し、保護者の説明会も区長自ら乗り出すこともあったと振り返りました。
 清原さんは、公立幼稚園の全廃を前市長から引き継ぎ、跡地活用で3園のうち1園をこども園としたことを紹介しました。ただ、施設の老朽建替え後、公設民営園に変更しようとしたところ、保護者から保育士が全部交代し保育の継続性がなくなると反対の声が出され、市の持つ社会福祉法人、社会福祉事業団に運営を委託し、事業団を通して元の保育士を派遣する形を取って理解を求めたことを報告した。「利用者の不安や問題意識を大事にする点は共通点がある」と振り返りました。
 保育所の公私の問題について中山さんは、「公立がよい、私立はだめという神話があるが、今は公私ともに公共性を持つことが必要ではないか」と指摘。新宿区の公立保育士らは大学の教科書を作るほどの力を持っているが、他の施設でどんなことをしているのかを知ることも大事と、研修はこども園と一緒に行っていることを紹介しました。
 清原さんは、保育の質という点で、平成15年度にガイドラインを作成し、現場指導担当の課長職を設けたことを報告しました。公私立保育園でガイドラインを踏まえた研修を実施。担当課長は、「公立保育園はすばらしいと誇りがあったが、民間保育園で学ぶこともあった。自分自身で気づかないうちに視野が狭くなっていたかもしれない」と話したことを紹介し、公私の垣根がなくなってきたことを報告しました。
 これらを受けて中山さんは、雇用の問題を始めて社会が大きく変わる中で、子どもをどう健全に育てるかが大事ではないかと主張しました。
 清原さんも、新制度により地域の実情に応じた子育て支援の在り方を市町村が主体的に考え、社会総ぐるみで子育て支援をする時代になったと主張。高齢者も含めた地域包括の考えた方重要だと訴えました。

【勝手に表彰】

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 今回は、「すくすくジャパン!素敵な子ども・子育て支援スローガン」大賞と称して、新潟県長岡市教育委員会子育て支援部子ども家庭課、奈良県奈良市子ども未来部子ども政策課、福井県福井市福祉保健部子育て支援室、沖縄県石垣市福祉部子ども家庭課を表彰しました。プレゼンターは勝間和代団長が務め、表彰自治体を代表して、長岡市教育委員会子育て支援部部長の若月和浩さん(写真下)と、奈良市子ども未来部子ども政策課係長の宮嵜徹さん(写真上)に、表彰状をお渡ししました。

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【第2部】パネルディスカッション
「子どもが輝く社会に向けて 未来を語ろう!」

 地域子育て支援元年「子どもが輝く社会に向けて 未来を語ろう!」と題して、子どもに関係する各分野の関係者によるパネルディスカッションを行いました。ファシリーテーターは、NPO法人せたがや子育てネットの松田妙子さん。
 乳幼児親子への支援を行っている東京家政大学ヒューマンライフ支援センターの佐々木總子さんは、「乳幼児からの子どもの育ちとそこに必要なこと」について意見発表。「子どもは自ら育ちたい力を持っている。しかし、一人で育つことはできない。信頼関係に基づいた人とのかかわりが必要で、一番身近な父母の毎日が充実していることが大切」と、乳幼児の育ちに一番必要なことは、最も身近にいる母親父親が毎日充実していることと説きました。それだけに、同大学の「森のサロン」では、親がリラックスできる場にするとともに、ひろばに関わる学生たちの先生役になることで自分も社会に役立っているとの有用性を確認することができるよう配慮している様子を話しました。その上で、乳幼児の子育てという点では、ゆっくりと丁寧にかかわることが健康な体と整理的リズムの育ちにつながると指摘。多くの大人による多様な経験や、子ども同士のトラブルによって思いやりや社会性が育つと説きました。
 また、子どもの豊かな遊びを支援しているTOKYO PLAY代表の嶋村仁志さんは、「子どもが遊べるまちをつくろう!」をテーマに発表。子どもに遊び場地図を作ってもらったところ、街中のいたるところに面白さを見つけていたことを紹介し、子どもは自分で面白い遊びを見つけられる存在だが、禁止事項ばかりの環境や人間関係、経験の乏しさなどから遊びが失われていると問題提起しました。また、東京都の事業委託を受けて、子ども300人にグループヒアリングをしたところ、大人から話を聞いたもらった経験が少なく、どうせ何を言っても変わらないと思っていることが明らかになったことをも紹介。子どもと大人の距離が離れている点への危機感も示しました。そこから、道路を遊び場として開放する海外の事例などを挙げ、身近な遊び場を取り戻す必要性を訴えました。
 長野県で森のようちえんを運営するNPO法人響育の山里くじら雲代表の依田敬子さんは、「自然とともにのびのび育てる──森のようちえん」と題して、古い養蚕農家の空き家を活用した野外保育の現状を報告しました。例えば冬の日は、山の麓に集合し拠点までの2キロ程度を上って朝の集会を行い、土間の薪ストーブを炊いてお弁当を食べ、焚き付けを拾いながら歩きまわるような毎日を過ごしています。野外保育の良さを分かってもらうため、その効果について松本大学と共同研究。卒園児などの体格・体力や自己肯定感などのデータを取ってみると、1日5時間8000歩程度を歩く子どもたちは、骨密度や筋肉量などが平均の倍以上で、自己肯定感についても同年齢を上回るといった結果が出たことを紹介しました。長野県も野外保育に注目し、県独自の自然保育認定制度ができたことを報告。依田さんは、「すべての子どもに豊かな自然体験や生活体験が必要ではないか」と、スローライフと同様にスローエデュケーションの重要性を問題提起しました。
 東京都清瀬市を中心にファミリー・サポート・センター事業などを展開するNPO法人子育てネットワーク・ピッコロ理事長の小俣みどりさんは、「妊娠期からの切れ目のない支援 産前・産後ケア」をテーマに発表。自分の親が倒れ支援が受けられないのに子どもの一人が水疱瘡にかかり、父親も仕事を休めないと泣きつかれて24時間対応の訪問型一時預かり事業を実施、「いつでも行ける居場所がほしい」とのママの声に応えてひろば事業を始めるなど、支援を求める人ニーズに対応して事業が広がってきたことを報告しました。また、ひろばの利用を通して、20歳代の若いママの支援の活動が生まれたり、中学生のジュニアサポーター養成講座を通して中学生が母親の大変さとともに子どもを持つ楽しさを知るなど、一つの活動が参加者をつなげ、広げていることも紹介しました。10年活動して、子どもが泣くことに不安を持つ新生児の母親が増えていると感じられたことから、研修を受けた先輩ママが母親の悩みに寄り添うホームスタート活動を実施し、母親の心が軽くなっている実例も紹介しました。生まれる時から親にまるまで、求める人の手元に届ける支援が必要だと訴えました。

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 参加者からは、パネラーの発言を参考に産前・産後ケアに取り組みたいといった意見も出されました。
 一方、パネラーの発表を踏まえて、樋口団長は、介護保険での取り組みを参考に子ども・子育て支援新制度を充実さえるために何が必要なのかについて発言。介護保険制度では、40歳以上が保険料を負担するなど当事者意識を持たせ、利用する際は1割の利用料としてお値打ち感を出すなど、見える化したことが大きいとポイントをまとめました。そこから、新制度ができたことで社会がどれだけよくなったかをPRしなくてはいけないと主張。例えば昨今、ベビーカーや父親の育児参加に対する認識が変わってきたように、子育てに対する意識も変わる可能性があることを挙げました。さらに、これからの人生は長くなるので、「ワーク・ライフ・ケアの三位一体で、血縁のない人でも支え合う。子育て世代も含め世代を超えて支え合う社会を作らないと日本の未来はないのではないか」と主張し、いろんな人たちの知恵を集めようと訴えました。

 この後、安藤哲也団長と勝間和代団長とで緊急アピールを読み上げ、満場の拍手により採択されました。緊急アピール「発進!子ども・子育て新時代─子どもが輝く社会のために─」のアピール全文は次の通りです。

「発進!子ども・子育て新時代─子どもが輝く社会のために─」のアピール
平成27年5月30日
にっぽん子育て応援団

 子ども・子育て支援新制度が本格的にスタートしました。にっぽん子育て応援団は、新制度のさらなる充実、地域の実情に沿った市町村独自事業のよりいっそうの充実などを通じて、社会全体で子育てする機運の醸成を求めていきます。目指しているのは「子どもを真ん中において、子どもの成長にとって不可欠な、家族、子ども同士の関わり、地域や社会の多くの人との関わり、それぞれが大切な役割を果たせるよう支援する社会の実現」です。

「にっぽん子育て応援団の考える目標」
 すべての子どもたちが、家族の愛情に育まれ、
 また、子ども同士の積極的な関わり合いの中で、
 そして、地域や社会の多くのおとなたちの慈しみの中で、
 心豊かに成長できる環境を保障すること
(2012 年5 月「真の社会保障・税一体改革を通じた子ども・子育て支援の充実を」アピールより)

「目標実現のためのにっぽん子育て応援団のアピール」

1. 子どもと家族を支える質的環境向上のためにさらなる財源を求めます
消費税増税が1 年半伸びたことで、予定されていた子ども子育て支援新制度の量的拡充と質的改善が立ち遅れることのないよう、平成28 年度の予算の確保を求めます。にっぽん子育て応援団では、すべての子どもと子育て家庭に行き届く支援の実現を訴えてきましたが、そのためには、近年深刻さを増している子どもの貧困やひとり親家庭の困窮に対する、きめ細やかな支援の実現が急務です。すべての子どもと子育て家庭に発達と参加が保障される、真に子育てしやすい社会の実現に向けて、保育の問題にとどまらず、学習支援、経済自立支援、生活全般への支援といった地域の支援、地域子育て支援のために必要な財源の確保を求めます。

2. 着実な市町村子ども・子育て支援事業計画の推進を求めます
新制度のもと、市町村で策定した事業計画が始まっています。5 年後を射程に入れて事業必要量を見込み、市町村の実情に沿うよう策定されていますが、ともすれば制度づくりに手間や時間がとられ、質の議論が抜け落ちているとも指摘されています。着実な事業計画の推進には、常に点検・評価を怠らず、必要に応じて見直し、事業に手直しを加えていくことが重要です。
事業の点検・評価・見直しでも地方版子ども・子育て会議を活用し、単なる数字合わせの推進ではなく、実情の伴った推進がなされることを求めます。

3. 当事者の声が反映されるしくみを実現させましょう
私たちも行動します。子どもや子育て世代の声にならない声を伝え、限られた財源を効果的に活用できるよう、運営にも参画し責任を分かち合います。既に多くの仲間が地方版子ども・子育て会議の委員公募に手を挙げ、参画しています。地域においては、子育ての今日的な課題を地域で暮らす人々と共有、地域ぐるみの子ども・子育てを支える仕組みをつくるべく、市民版子ども・子育て会議ともいうべき場づくりや、足りない地域資源の掘り起こしや立ち上げも担います。子どもを真ん中にした地域づくり、まちづくりを、子育て家族とともに考え、実践していきます。ともに手を携えて「もっと子育てしやすい社会」を実現しましょう。

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にっぽん子育て応援団 子ども・子育て支援新制度勉強会開催報告記

にっぽん子育て応援団 子ども・子育て支援新制度勉強会
「今、はなそう! わがまちの子ども・子育て会議オフ会」
開催報告記


 平成27年4月17日(金)18:15〜20:30、横浜社会福祉センター(健康福祉総合センター内)8階大会議室8Bで、子ども・子育て支援新制度勉強会「今、はなそう! わがまちの子ども・子育て会議オフ会」を開催致しました。
 にっぽん子育て応援団が2013年から運営している「わがまちの子ども・子育て会議」メーリングリストに因んだイベント名の勉強会への参加者は34名。このほかゲストとして、内閣府・厚生労働省・文部科学省からも参事官・室長・企画官および係長などにご参加いただき、開催の地元横浜市からもこども青少年局の局長・部長・課長などにご参加いただいて、各地の地方版子ども・子育て会議委員や行政担当者、NPO市民活動団体等の方々とともに、この4月から本格スタートした「子ども・子育て支援新制度」に向けた、これまでとこれからの「わがまち」の取り組みについて、ワールドカフェ形式で語り合いました。

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メーリングリストでも熱い議論があった
新制度がスタートして、今の状況の話をして共有、始まったからこその話


 勉強会の冒頭、内閣府子ども・子育て本部参事官(子ども・子育て支援新制度担当)の長田浩志さんに、新制度のポイントについて、おさらいを兼ねたミニレクチャーをお願いしました。
 ミニレクチャーのあと、6つのテーブルでテーマごとに意見交換や情報交換を行うワークを、ワールドカフェ形式で2セッション行いました。セッションごとにグループごとのワークの内容をシェア、テーブルチェンジにより人員構成を変えて次のセッションに臨みました。2セッション目のシェアリングの後、ゲストの方々からまとめのコメントを頂戴し、終了しました。
 「わがまちの子ども・子育て会議」メーリングリスト、通称「わがまちML」のオフ会をも兼ねた勉強会では、これまでメーリングリストで交わされた議論を共有して来た仲間や、難しい用語や制度上の疑問をわかりやすく解説してくれた内閣府と厚生労働省の担当者と直に会って議論を交わす場でもありました。バーチャルからリアルへ。やはり直接会って話し合うことは大切です。各自治体、各地域でも、同じように地域の方々同士で議論を重ねる機会を作って行く努力が必要というのが、最終的なまとめになりそうです。
 今後も、同じような勉強会開催を企画して行きたいと考えています。
 以下、当日のやりとりのエッセンスを、詳細メモからの抜粋でお伝えします。なお、お名前を出させていただいた方々の肩書きは、オフ会開催当時のものです。

◎ミニレクチャー「新制度のポイントについて」
内閣府子ども・子育て本部参事官(子ども・子育て支援新制度担当)長田浩志さん

 新制度の意義を改めて考える。消費税を活用して子育て支援の質量の充実を目指す。財源を使う意味合いの一つ。消費税は社会全体で広く薄く集める。社会全体で支える意味。児童のいない町では新制度は関係ないと言われるがそうではない。

 ただ、待機児童解消が大事な目的の一つには違いない。これまで、行政や自治体が手をこまねいていたのかというとそうではない。保育所の定員は増やしており、ここ数年は4〜5万人増。一方、利用率が上がっている。保育を必要とする方が多くなり、追いついていないのが実態。待機児童数を追っているだけでは潜在需要を掘り起こすだけで解消できない。これまでも待機児童解消といってきたが、新制度と何が違うかというと、掛け声だけではなく、具体策を示し、講じる。
 待機児童解消に向けた3つのアプローチ。今回は、市町村の計画作りの中で潜在需要も含めたニーズをはかるとともに、消費税を含めた財源の裏打ちがある。さらに、保育の認可制度の改善。保育所の認可は都道府県知事が行う。認可に当たって保育士の配置基準等があるが、実際にはその基準を満たしていても都道府県知事の判断で認可しないことも可能だった。新たな仕組みでは客観的な基準をみたしていれば認可される。株式会社等が排除されることがあったが、認可に入る。また、小規模保育。20人以上の定員がないと認可されなかったが、小規模保育でも義務的な機関としてお金を出すこととした。都市部で保育士の確保が困難な地域でもきめ細やかに対応。建設の時間がかからないので迅速に対応できる。(小規模保育の人口減少地域における意義については後述)

 待機児童対策ではないという点で幼児教育の充実。この点はもっと強調されるべき。幼稚園対応の1号認定の子どもについても、国と自治体で義務的に経費を負担する。従来の私立幼稚園に対しては、就園奨励費補助や私学助成といった公的なお金が入っていた。従来の私学助成や就園奨励費は最終的には自治体判断。予算が足りない場合には削ることもあった。新制度では国が公定価格を決めて一定の基準額については国・自治体が責任を持って支出。市町村が幼児教育を受けた家庭のニーズに責任を持って幼児教育を補償する意味がある。国や自治体が同じようにお金を出しても違いがある。そういう目で見ると、地方自治体ではもともと市町村では保育には実施責任があるので保育所はある。人口規模の小さい自治体では保育所はあるが幼稚園はないところもある。1号の子どもは関係ないということではない。3歳以上の幼児教育の受け皿がないのであれば真剣に考える。一つの解決策としては保育所を認定こども園として1号を受け入れる。そこを真剣に考える必要がある。地域においても1号給付の意味合いも考えることが大事になってくる。
 認定こども園制度を活用する。両方の機能を持って総合こども園に一本化すべきとの話だったが、国会の議論を経て、認定こども園か幼稚園、保育所はそれぞれで選択してもらうこととなった。大事なことは、保育所であれ認定こども園であれ、1号のニーズ、保育のニーズに、全体として満たしていくことが重要。そういった地域のニーズを満たす在り方として、幼稚絵・保育所がそれぞれの役割を果たせれば、」それでよい。逆に認定こども園が地域ニーズにかなっていれば、その設置を積極的に考えていく。都市部など、待機児童がいるなら幼稚園が認定こども園に移行することで対応できる。今回の制度設計の意義の一つは3歳以上に向け、広い意味での幼児教育を補償することであり、認定こども園のスキームを活用することが有効となる。

 在宅子育て世帯への支援。0〜2歳、3〜5歳のマトリックス。1〜3号に該当しない子どもをどう支援するか。ここを支えることが虐待への予防にもなる。給付の枠組みではないが、一時預かり事業や地域子育て支援拠点の活用などの支援メニューを用意した。0〜2歳で在宅は7割。ここへの支援をしっかり目を向ける必要がある。一方で1〜3号認定は客観的に見える部分。それに対して0〜2歳は定量的なニーズが見えにくい。この地域支援の部分について、国は財政的枠組みで見るしかないが、実際に地域でどの程度必要なのかに関しては、市町村の判断にゆだねられている。地域による意識や、取り組みの差が出やすい部分と認識している。そういったところからNPOなど子育て支援をされている立場から行政に訴えていくことが大事。行政ではそういったニーズをしっかり把握、受け止めることが大事。量的な議論が中心になってきたという声もあるが、今後の議論ではそうした点にもフォーカスをあてることが大事。
 地域の実態に応じた子育て支援。新制度は待機児童対策、大都市の問題に熱心といわれるが、地域ごとの実情に合わせ、その意義を整理すべき。例えば認定こども園制度では、人口が減っている地域ほど、効率的に教育・保育を提供、集団規模を確保する意義があるだろう。また、人口減少地域であれば従来子どもの数が減ってきて20人を維持できないので、保育所を統合せざるを得ず、身近な保育施設が減ることになるが、小規模を活用すると身近な地域で保育を維持できる。一つの枠組みとして地方。都市部の意義がある。

 最後に今日の会議の一つの大きなテーマ、今後、計画内容の妥当性をしっかりウォッチする第二段階に向けて何をどう取り組むか。今後は、点検評価する継続的な取り組みが大事。3月に国の子ども・子育て会議には、点検評価の内容例を資料として提出した。潜在的なニーズも含めて量を見込んでもらったが、これが実際のニーズと比べて妥当だったか、設定した確保方策が計画どおり進んでいるのかを診てもらう必要がある。そういった点検評価をするためにも、地方版会議は計画を作って終わりではなく、計画的に活用することが大事。地方版会議の活用だけではなく、事業者などへのヒアリングや勉強会などもそうした会議とともに重要との指摘もあった。これも点検評価の大事なプロセスとなる。自治体への点検・評価の視点を示したい。
 国も一方的に抽象的にいうだけではなく、活発な議論の下で計画を作った自治体もいくつかあるので、そうした自治体を調査して共有する。こんな工夫をすればいろんな展開ができるといったことを教えあう。制度そのものが、行政に物申すためには何がポイントかわからないので制度そのものを知ることが出発点。知る機会づくりができるといのではないか。今年度6月から知る場作りを育成できる研修会を展開したい。その土台となった昨年度実施した事業の報告書抜粋を配布した。取り組みのヒントがあると思う。ご参照いただければ幸甚である。

ワールドカフェ方式で論議
多彩な意見が出されたグループディスカッション

◎グループディスカッション その1

 「わがまちの子ども・子育て会議と事業計画」

○とあるグループでのやりとり
Yさん 横浜市で子育て支援活動。今回の制度に関しては、横浜市の子ども・子育て会議の保育教育部会、ニーズ調査の数を見て整備量などを決める部会に所属。横浜市は18区で市民意見交換会を行って、市民の意見を出した。パブコメ2000件程度。市民同士が話し合うより、それぞれが要望する説明会だった。そこがスタート。制度をどう生かすか、市民が意見を言う機会を設けないといけないのではないか。
Mさん 内閣府に横浜市から派遣されている。これまで市では子ども業務には携わっていなかった。勉強中。どんな考えで計画を作成されたのか一端を知りたい。広報などを担当。
Hさん 地域子育て支援拠点のスタッフ。利用者説明会に参加したが、行きたくても行けなかった人がたくさんいた。保育所に入りたい人は、説明会を聞いておかないと保育所に入れないのではないかと焦燥感を持っているようで、案外無関心な人も多い。一方、拠点にいると、幼稚園にいる人が多く、なおさら無関心。別に新制度説明会を聞かなくても幼稚園入園の申請はできる。そこは何も変わらない。「就園奨励費がなくなった」と支援者から言われても「ふーん」で終わり。
Tさん 何かの取材のついでに新制度のこと聞くと、「何か変わりそう」とか、「あまりよくわからない」という反応。そういうのが実は現実。意見交換会に来る人はいいが、ここに来るまで(この勉強会に参加するようになるまでの、それぞれの経緯)が大きいのではないか。次の年度のことも分からない委員のいる自治体もある。
Oさん1 公募会議名が次世代育成支援会議だったので、公募に入り損ねた。計画のパブコメには意見を出した。運営している子育てひろばにパブコメ募集のチラシも来るようになった。が、みんなの目に触れることはない。新制度と今までの計画に盛り込んでも、新制度との金意は分からない。変わり映えしない。普通の人にはわからないのではないか。
Sさん 10月から内閣府。業務として会議も運営、FAQ作成など。自治体や保護者から「事業計画を作ったが乖離しているのでどうしよう」「保育料があがったがどうしよう」という電話がくる。
Oさん2 横浜在住で、東京都から声がかかり、一番最初に声をかけてくれた墨田区で委員となった。新制度というのも、どう進めるかの見通しが立たなかった。これは量の調整をする議論の場ではないというのが大方の意見。各自治体で決められる画期的な会議と聞いていたが、国の指示に対応するだけと、質の話はお金が出るかどうか。私としてはそうではないことを信じたいと。これまでの横浜市を中心にやってきたことを墨田区でてきないか。横浜市での取り組みで、当事者が変えていけることを学んだ。これを墨田区でできないか。開いてみたらみな知らない人ばかり。横浜市と違って市民活動がないに等しい。どうするか。戦略的に行かないと終わる。それを役所の人が理解するだけでも大きい。この中で何かやることは無理。仕掛けないと。
 やったことは、まず委員の人と話した。最初の段階でワークショップをした。どんな区にしたいか。それが最後までつながった。量のことは一切ない。保育は量だけでなく質のことに力を入れるというキーワードだったから、量の調整で終わることは止めた。そこは戦略的には成功したことの一つ。ワーク・ライフ・バランスに対する協議をやっていないではないかという話が出たので、安藤さん(ファザーリングジャパン代表理事&にっぽん子育て応援団団長)に来てもらった。
 墨田区の部長がいたことが画期的。役所の存在大きい。可能性はある。語り続けること必要。そこが大きかった。役所と委員が組めた。全然違う考え方の人とも話し合えた。役所とどう組めるのか。
 どうしても頑張りたかったことは子育て当事者の力。幸いによい委員がいたので、彼女を引き上げた。その後、彼女が子育て・まち育てという会を動かすようになった。基盤として役人が先見の明があり公募委員をたくさん取った。公募委員が発言しやすいようにした。役所が企画を立てるとたいてい面白くない。公募委員らに企画させて。それは成功だった。新制度で保育所に入れるかと心配する保護者がいた。それで親子が集まった。大成功。役所も幼保のブースを出して、対応した。一番並んだのは役所と個人相談。
 これまでの取り組みで、役所は個々に丁寧に対応すること分かった。部長と市民委員の二人が組んで区内の子育てひろばを全部回って、毎回、今度保育所こうなると説明した。
 制度は上からおりてくるのではなく地域で変えることができる。親たちの制度に関する理解は変わった。可能性がある。これで終わってはいけない。第二ステージ。1年ではできなかった。たいていの自治体は量の整備で終わった。新制度の地方版会議はいろんなことがやれる。ここからリベンジができないか。
 墨田区のためにやったのではない。モデルを作ろうと思ってやった。
Oさん1 傍聴したくても、ずっと見ていないと分からない。
Yさん 戦略的にスケジュールの中にどう入れられるか。Sさんという当事者の存在が大きい。
Oさん2 当事者委員を引き上げることが重要だった。地域子育て支援に関しても、箱物はある。これを同機能化するのか、市民的な視点がないとできない。まず、とにかく市民が声を上げる雰囲気をつくらないと。みんなで支えあう場づくりをする1年だった。
Yさん 横浜市の子育て支援は市民目線。自分だけではなく、当事者。客観的な目線があったり、全体を俯瞰する視点があっ。そのプロセスは大事だ。
Oさん2 見通しが見えないので大変だった。分からないけど先に行こうと思った。
Tさん 当事者が要求だけではなく、他の当事者がどう考えるかという視点がでたのはどうして。
(ここでタイムアウト)

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●練馬区・日野市・大田区・さいたま市・横浜市・北区・流山市
 大田区では公募委員もバックボーンのある人が多く、入りづらい。議員が参加していたり、歯科医とか。事務局主導。これから民間主導で勉強会したり、子どもの意見を聞くことができないか、民間の立場で考えている。練馬区では公募とで入った人がまったく真っ白でスタートして会議のマナーから分からない。行政主導と発信したい市民のせめぎ合い。計画の中にコラボを入れるとか。のみにケーションを活発にして行政職員をひきずりこんだという話が出た。日野市では、学童クラブのガイドラインが条例化されたことが関係者にとって大きかったが条例でなく内規でしたのでいつひっくり返されるか分からない。国の基本方針で家庭が大事ということが会議で紛糾。そうではないだろう。親育ち、子育ち、地域育ち、次世代育ちということをクローバーにして優先順位をつけずにやっていこうということで合意した。

●逗子市・流山市・市川市・世田谷区・中野区・大田区
 とても面白いメンバー。毎月会議をした逗子市。市民版会議があった市川市。タウンミーティングで市民の意見を直に訊いた流山市。それぞれの会議の様子とか、うまくいくはずだったのに梯子をはずされたり、見かけと内実が違う、流山が市川に視察にいって、一番見てほしくなかったところを参考にしたりとか。市川対流山という構図に。これから先は子どもにどういうふうに育ってほしいかという話にしたい。給付と事業はどう違うのか、給付は義務だが事業は義務ではないといった話も出た。
 会議としては活発だったが、会議の議論の成果が事業計画に結びつかなかった。

●北九州市・上越市・大垣市・神戸市・横浜市
 草の根勉強会をしたのでニーズ調査の回収率が良かった。先進的だったのは横浜市で、エリアごとの工夫を事業計画に盛り込んでいる。パブリックコメントが反映された。各地域ともニーズ調査は冊子化して持参。関心が高い地域と高くない地域の差がある。会議委員の熱意の差の影響もあったのではないか。保育園と幼稚園の意見のぶつかり合い。お互いに譲らない。市民感覚の意見として今までの手続きとほとんど変わらないと受け止める人もいる。

●横浜市・新宿区・中野区・墨田区
 墨田区に尽きる。いろんな地域で聞かれるのが、制度がわかりにくい、既存の制度と新制度とどう変わるの、新制度が知られていない。就園奨励費なくなったね。費用負担が上がる。会議の委員でも新制度がスタートした後はどうなるのかわからない。新制度に関係の情報発信がむずかしかったり、情報発信が遅かったので関わりにくかった。墨田区では、新制度進めるのかが悩ましかった、座長は当事者の声で作って行きたいと横浜市を参考に進めようと。戦略的に委員と話、量に調整に終わらないようにと、ワークショップを最初に開催した、当事者委員を引き上げる。当事者が動きだすことに背中を押す。新制度説明会でも幼保ブースを置いた。役所が丁寧に対応してくれる。当事者が自分たちで作れると実感して、みんなで作れる。行政職員の理解が大きかった。墨田区をモデルに他の地域でも。まだまだやれる。

●墨田区・中井町・横浜市・敦賀市・広島市
 事業計画をどう作ったかというより、この制度で何がどう変わったかの話が中心。認定こども園になったところ。認定こども園になってもそこで保護者が対立したり。元に戻してとの意見が出たり。広島市では、新制度で消費税が使われたが、自分たちにとってよいことがあったのか。役所に行ってもお金をつけてくれないのでよいことあるか。保育士や調理師さんが離職しやすくなり、墨田区では急に調理師がいなくなって1歳児に仕出し弁当でからあげが出るというような事態が、実は起こっている。事業計画、横浜市がすぐれていて、最初に子どものために計画を作る。子どもの育ちを継続的に見る。第一義的責任が親にあるが。そこは当たり前だが、それを強調するのではなく、地域全体で子育てを支えることが大事ではないか。それはほかの自治体では同じように感じていた。そこが必要ではないか。そこをしないと虐待など追い込んでしまう。

●横浜市・茅ヶ崎市
 横浜市という360万人都市。民の力大きかった。子育て世代でも、自分たちで動くしかない。行政に言ってもしょうがないという人たちが自ら動いてきた。支援拠点が18区の各区に1カ所ずつあり、そこの施設長が集まって拠点ネットを作った。計画書を素案から読み込んだ。読むのは大変。資料をいきなり渡されても分からない。制度を伝える伝道者がいないと、一般の人に伝えられない。この制度で何が変わるかわからない。それをやるために中間支援的な人がいないと難しい。横浜市には18区それぞれに拠点があり、担う人がいた。パブコメが2400集まった。よこはま1万人子育てネットワークと地域子育て支援拠点メンバーによる組織票。1万人で出した意見は、素案に生かされている。自分たちの声は届くという実感。これから、実際にやっていくときにどうか。やり方や内容はどうなのか。そこを聞き、フィードバックしていく場がないと、一人歩きして、こんな制度ではなかったのに!ということになる。市民と一緒に考える土壌が、横浜市役所にはある。会議があることで自分たちが動かせることを体感できるような計画になってもらいたい。

◎グループディスカッション その2
 「今後の展望、子ども・子育て会議の役割」

○とあるグループでのやりとり
Yさん1 横浜市でパブリックコメントを出すムーブメント。第二ステージ。今までは計画を作るだけ。制度を作りつつ、自分たちがどう作るか考えることがえきれば。制度とからめて。子ども・子育て会議でできれば。
Mさん 横浜市職員。計画作りに携わった。組織としては携わる場ではない。3月まで待機児童対策。4月は推進する立場。自分の思いを込めたかった。娘が小3で、待機児童にもなった。保育に携わっていると、保育所って誰のためにあるのか。働く親のためだが、子ども目線で見ているのか。子どもにとって見ようという話とか。地域全体で子育てを支えると昔から言われているが実態はそうではない。子どもの声はうるさいとか。行政として発信してこなかったのではないか。社会全体で子どもを支えることをムーブメントとしたい。行政で何ができるか。市報よこはまで説明。一つひとつの施策、文化を共有していく。会議とどう連携するか。会議は限られているが、いろんなチャンネルで話す機会を作って行きたい。作ったばかりでスタートライン、生かすも殺すも行政と市民。
Sさん 内閣府。地方版会議の取組事例集の作成、人材育成の研修会。企画担当。横浜市はよい事例。意見が十分に反映されないところがあったとか、時間的に限られていて、戦略的に考える余地が無かったとか。1回ニーズ調査をしたが、人口の社会的変化が大きく、思った通りには行かない。そこをどう見直していくのかは非常に大事。どんな感じで見直すかに興味ある。そのとき、子どもの育ちや目線からみてどう評価されるのか、何か考えられていることがあるのか、興味がある。伝道士の人材育成の研修会をやろうとしているのは、この制度を広くわかってもらうためには、関係者が非常に多いからだ。社会全体が何らかで関わる。なるべく広げて関わる必要があるのではないか。自治体で意見が十分に反映されない。行政と住民が対決的。そういうことではなく同じ方向を向いて、一緒に地域をよくするためにどうするか、その土壌づくりをするにはどうしたらよいか。そこに役立つものができれば。
Yさん2 田舎なので人口がどんどん減っている。県内のNPOで行政対住民という形もある。どうしたらよいのか。都会のよい例ばかり、私たちの規模にあわない。Yさんのいうこともわかるが、どうやったらよいか分からない。会議でも委員が活発に発言するわけでもない。行政の枠の中にない意見は落ちる。読み解いてくれるとよいが、翻訳する人が少ない。市民レベルでママたちに伝えたいが役不足。当事者として今困っていることを何とかしてほしいいと訴えているが計画にないので落ちてしまう。そこをどうやって上げていけるのか。今後の会議、田舎の例として過疎で困っている。中核的な田舎のまちは徐々に人口が減っている。田舎でも格差がある。手を組みたいが事情が違う。大変だということで終わっている。
Yさん3 横浜市で子育て支援拠点の施設長。小さなNPO。底辺の隙間の事業をやっている。認可外で一時預かり専門、産前産後の支援。情報感度の高い親御さんもいるが、利用者の幅が広い。産前産後の支援で入る家庭は生活保護。親御さんに障害があったり、子どもに障害があったり、日々の生活を支援。13事業からもれている部分。産前産後の支援は是非、生まれる前からの支援が大事。生まれた後が一番大変。利用者支援事業もやっていく。今の制度は当事者本人対象だが、家族単位の支援を考えてもらいたい。例えば障害者のヘルプ、親の障害には使えるが、子どもには使えない。そこを緩やかに、家族単位だともう少し関われるのではないか。4月から横浜市の子ども・子育て会議委員
Yさん1 当事者と事業者が具体的に考える場などがあればよい。
Aさん 逗子市と神奈川県の委員。市民コーディネーター。協働、共働、一緒に考えるステージにならない。フラストレーションになる。委員、幼稚園長、保育園長などリーダー格が集まっている、共助で何かできないか。公助に期待しなくてよいのではないか。逗子市の規模だと行政がやってくれるのに慣れているので、住民が自分たちで作るということにならない。サービスの受け手感覚。サービスを受けてクレーマーになる。保育園がコンビニ化してはいけないが。

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「今後の展望」というところで、「これはぜひ提案したい」ということをシェア

●不完全燃焼の公募委員ばかり。練馬区の今後を明るくするために裏会議を作るべき。次の公募委員とつながって情報交換や作戦会議をしたらよい。自分たちが作った事業計画をどうしたら当事者に分かりやすく伝えられるのか勉強会をしてはどうか。

●流山は子育て支援者のネットワークを、公募委員を中心に作りたい。上越市や広島市などネットワークを作って勉強会をしたところは会議に意見書を提言するなどして、生かされる。内閣府に説明会をしてもらって曲解がなくなる。学びを継続して広げることが大事ではないか。

●世田谷区で市民版子育て会議の話。最終的には区長も来て、行政職員も意見を聞きに来るようになった。これを教えてもらうべき。
世田谷区民版子ども・子育て会議は10回やって、理念的な部分も多かった。外遊びを入れた。待機児童が多いのでひそかに議論してきた。

●計画はできたが、魂を入れることが我々の役割では? 事業計画が一般の人に届いていないのではないか。市川市は市民版会議が行政とうまくいっていない。行政主導で計画ができてしまった。そこを壊すのがこれからの役割ではないか。墨田区では、子ども・子育て会議の委員に来年度以降への思いを書いてもらった。市民に役割を持ってもらうことがねらい。3つの部会を作って、それぞれが自分たちの役割としてコミットする。保育の質、児童館活性化など会議委員に入ってもらってまわすことをやろうとしている。

●2つの話。事例で出てくるものは規模の大きいところだが、小規模の自治体だと生かしきれない。市民も役所も生かせずに、共助より公助がよい。小規模でうまくやれている事例を出すことが大事。もう一つ、ここまで計画ができて、どうやって子どもにとって、地域全体にとって具現化するかという点では文化を作らないといけない。行政VS市民となるが、当事者の意見が施策に展開できるか。事業者だからこそいえる視点、アイディアをどう形にするか対話できる場を作る、施策にする施策にする翻訳が必要ではないか。

●今後の注目としては委員の構成、保幼小の連携に地域をプラスして、切れ目のない支援をどのように実現していくかを注目したい。先進的な横浜をモデルケースに、小1の壁問題を解決するために事業をするのではなく、保育園長のように取り組んだほうが子どもたちの自主性ができるのではないか。子どもの育ちに重きを置いてPDCAを回したい。行政と市民の距離を縮めたい。

◎これまでの議論を踏まえてのゲストからのまとめのコメント

文部科学省初等中等教育局幼児教育課幼児教育企画官 林 俊宏さん
 子育て支援は埼玉県の担当課長で関わったこともある。幼児教育を進めているが、文科省的な立場で言うと、私立幼稚園が多く、子どもの半分が私立幼稚園に通っているが、市町村行政から抜け落ちている。新制度で共通のプラットフォームに入ることは結構大きい。よい駆除と幼稚園から小学校へつながる、その前の地域の子育てを一貫して市町村行政で見られることは大きい。新制度では、具体化するための中身が盛り込めたが、事業の中身や練度はこれからの課題。教育委員会があり、小学校以降を担当。そこが十分に計画に関わっているがどうか。仕掛けは十分ではないという反省もある。保育所や幼稚園も具組めて含めて、教育委員会が質の面でかかわれる部分を増やせるのではないか。幼稚園教育要領の改訂が始まっている。その中でも連携の話の動きが出てくる。各自治体の計画でも議論してもらえるとありがたい。自民党で幼児教育の質を高めることを動いていくべきとの議論があがっている。報告書をまとめる話もある。どういう方向に向かうか不安だが、お金の話とともに、中身も最終的には将来を担う子どもにしっかり沿っていく。

厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課少子化対策企画室長 竹林悟史さん
 普段は拠点事業の担当だが、新制度の全体の役割では基本指針。4月に新しい制度がスタートした。予算も厳しい中で確保できた。予算や制度ができただけでよくなることはない。どう使いこなすか、そこがないと。それは魂を入れる話。ここからが勝負。ようやくゴールにたどり着いたような気持ちだが、ここからがスタート。
制度が誇れるのは、制度をつくって終わりではなく、地域で使いこなすための地方版会議が法律に書いてあるし、全国にできたこと。これは大事なこと。今日の勉強会は、とてもよいタイミングで開かれた。
 今後、どのように地方版会議をまわしていくか。計画・基準といった決め事があっても活発に議論できたところもあれば、そうでないところもある。活発に動かすために仕掛けが必要。市町村の職員とどうつながるか、勢いあまって責めたり、批判すると返って状況が悪化することもあるので、うまいやり方でやってほしい。少なくとも人間はエネルギーがあるところに引かれる。そういうところで常にエネルギーを持って動いていく姿が役所を動かすチャンス。他の地域の情報を共有して作戦が立てられると良い。
 第2ステージ一緒に頑張りましょう。

横浜市こども青少年局長 田中博章さん
 横浜は、市民の活動が活発なところ。これまでの子育て支援はそういった力に引きずられてきた。同僚の熱い思いと、市民の思いを受け継ぎつつ、切磋琢磨していきたい。
 行政は、担当者が変わることもあるが、根っこは子どものため、親のため何をしていこうかという点は同じと、お互いに尊重できるところが横浜市の特長ではないか。パンチが強くなりすぎると、痛みはある。役人は直接のパンチを出せない。それぞれの立場で今できる範囲で考えているとすると、お互いを尊重することがうまくいく方法ではないか。その積み重ねが大きくなっていく。
 昨年11月にシンポジウムして、会場に大きな幹を作って、付箋で思いを書き出した。行政の計画は5年で作り変えるとまったく違うものになることもある。子どもの計画の理念は、幹の部分は同じでないといけないのではないか。きちんと根を下ろして市民に広がり、10年経っても子どもの部分は変わらないことが大事。各事業はアレンジしていく、花が咲き、違う花が咲く時期、葉っぱが増えることもあるが、大きな成長であってもらいたい。地域で、今タネをまいた計画を、良い方向に育ててもらえば。

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2015年06月16日

「子ども・子育て支援新制度」普及・啓発人材研修会開催のお知らせ。

「子ども・子育て支援新制度」を学んで、地域みんなで子育て支援を進めて行こう!

子育てをめぐるさまざまな課題を解決して行こうと
平成27年4月に本格スタートした子ども・子育て支援新制度。
これに伴い、地域のより身近なところで、
主に一般の利用者を対象とした勉強会等で
よりわかりやすく新制度の説明ができるとともに、
適切に会を運営できる人材を育成して行くことを目的に、
内閣府が全国8カ所で、参加型セミナーを開催します。
平成26年度、3回開催されたセミナーがさらにバージョンアップ、
開催場所も拡大しての開催。
どうぞ関係者のみなさま、ふるってご参加ください。

【開催場所】
平成27年7月3日(金)東京会場
平成27年8月7日(金)大阪会場
平成27年9月11日(金)札幌会場
平成27年10月2日(金)福岡会場
平成27年10月16日(金)広島会場
平成27年11月6日(金)仙台会場
平成27年11月27日(金)高松会場
平成28年1月15日(金)名古屋会場

【対象者】
地方版子ども・子育て会議の委員、
地域で子育て支援に関わるNPO法人のみなさん、
行政担当者など、
新制度を正しく理解し、一般の利用者を対象とした勉強会の開催を検討されている方。

詳しくはこちらから。
https://www.p-unique.co.jp/kodomo/index.html