2010年09月30日

こども指針(仮称)ワーキングチームの第一回会合

2010年9月29日

子ども・子育て新システム検討会議作業グループ・こども指針(仮称)ワーキングチームの第一回会合が開催されました。

詳細な資料はこちらから


まだまだそれぞれの委員の思いを語って終了の第一回でしたが、こども指針の範囲、こどもの捉え方、地域や親に対して資するものにするとはいったいどういうことか?など多くの疑問や投げかけが目立ちました。今後相当たいへんだと思います!

出席者=全構成員。座長として無藤隆・白梅学園大学教授が指名されました。

作業グループ=末松義規・内閣府副大臣、小宮山洋子・厚生労働副大臣、林久美子・文部科学大臣政務官、オブザーバーとして泉健太・衆議院議員が出席。

【ワーキングチームで検討すること】
 こども指針(仮称)は、「すべての子どもに質の高い幼児教育・保育を保障するとともに、家庭における子育て・教育にも資する」ものであり、「幼稚園教育要領と保育所保育指針を統合し、小学校学習指導要領との整合性・一貫性を確保した」新たな指針とされている。

 そのための事務局による検討事項案として、「総論」「施設での教育・保育」の2部構成が提案されている。総論では、「子ども・子育てに関する理念」「こども指針の構成」が検討テーマ。
 
 同ワーキングチームは今後、月1回程度の会議を開き、平成23年6月まで論点整理やテーマ別の協議などを進めて論議をまとめ、同年7月以降にこども指針(仮称)の原案を作成する。平成24年3月の告示を目指す予定としている。

【ワーキングチームでの議論】

◎こども指針の検討範囲

 こども指針で対象とする子どもの範囲、施設の範囲について疑問が出されました。
 大場幸夫委員(大妻女子大学長)は、児童福祉に含まれる乳児院、養護施設も対象に含めるのか疑問を投げかけた。山縣文治委員(大阪市立大学教授)も、学齢期の子どもを念頭に置くのであれば、選ばれている委員では不十分との認識を示し、また、藤森平司委員(全国私立保育園連盟保育・子育て総合研究機構研究企画委員)は、世界で乳幼児教育に関心が寄せられていることから、こども指針の対象範囲を乳幼児期に特化すべきと主張。「子どもは生まれながらに保育される権利がある」と訴えました。
 これらに対して無藤隆座長(白梅学園大学教授)は、総論と施設での教育・保育の2部構成が提案されているところから、総論では家庭・地域、様々な施設での子どもの育ちを念頭において議論し、施設への教育・保育では幼稚園・保育所・認定こども園などでの専門的な中身を検討することになるのではないかとの認識を示しました。

◎こどもの捉え方など
 山縣委員は、こども指針の性格や子どもの捉え方について問題提起。幼稚園教育要領や保育所保育指針は保育者の態度を盛り込んでおり、「子どもを対象として捉えるイメージが強い」のに対し、民主党が掲げる「チルドレンファースト」は子どもを主体と見る立場であり、矛盾を生じかねない面があることを指摘。また、秋田喜代美委員(東京大学大学院教授)は、小学校の学習指導要領との整合性・一貫性が指摘されている点に関して、現行学習指導要領だけを念頭に置くことには疑問を投げかけ、「乳幼児期は生涯学習の基盤であり、未来への投資。学習指導要領だけではなく、豊かな市民として生きる子どもの根幹になるものを総論に盛り込むべき」と主張。藤森委員は、「まず、どのような環境で、(子どもを)どう育てるのかを考え、そのためにどんなシステムとするのかを考えるのが順序」として、理念検討の重要性を指摘しました。

◎幼保の違いと共通性
 秋田委員は、幼稚園・保育所がそれぞれ独自の文化や歴史を持っていることを評価し、「できるだけすべての園に当てはまるものを作るべき。自由度が保持されるよう、(指針は)大まかな根幹部分だけにすることが重要」と大綱的な指針が望ましいとの認識を示しました。さらに、「幼稚園の人がいう“養護”と保育所の人の“養護”は若干異なり、幼稚園の人の“教育”と保育所の人の“教育”も同じ点がある。同じ言葉を使っていてもイメージが同じではないので、じっくりと議論すべき。ポイント部分の議論は避けることがないようにしてもらいたい」と指摘。岡上直子委員(幼児教育研究会副理事長)は、「保育の質を担保するためには、どちらも大事という部分を総論にしっかり書き込むべき」と指摘。幼保に文化の違いはあるものの、「子どもの発達は同じなので、そこを書き込むと共通性が持てるのではないか」と提案しました。

◎地域の子育て支援に関して
 島田教明委員(日本保育協会保育問題検討委員会委員)の代理として出席した坂ア隆浩・日本保育協会理事は、保育所で子育て支援を実践し、親育ち・親の教育力の向上に取り組んできた実績を紹介しながら、こども指針が家庭に資するということで拘束力を持たせることには否定的な見解を示しました。山縣委員は、保護者が指針を読むと想定した場合、幼稚園教育要領や保育所保育指針のような家庭支援の内容は盛り込みにくい点を指摘し、家庭に対する内容をどう盛り込むのか整理が必要だと訴えた。さらに、家庭の指針とすることで「望ましい保護者像」が入り込むこととなり、国の関与が強まりかねない点に危惧の念を示しました。松田妙子委員(子育てひろば全国連絡協議会理事)は、子どもが育つ場として、幼稚園や保育所とともに、家庭や子育てひろばの重要性を指摘。保育の質に関しては、幼稚園や保育所を利用していない在宅子育て家庭でどのように受け止められるのかといった点への配慮も求め、さらに、支援の対象として親が捉えられている点について、「保護者は支援の対象であるが子育てのパートナーでもある。親自身がどう向き合えるかも重要」と保護者の主体性を捉える視点の重要性を訴えました。

【構成員】
 秋田喜代美・東京大学大学院教育学研究科教授(○●)、荒木尚子・全国国公立幼稚園長会副会長、池節子・栃木県家庭教育オピニオンリーダー連合会長、大場幸夫・大妻女子大学長(●)、岡上直子・全国幼児教育研究協会副理事長、小田豊・国立特別支援教育総合研究所理事長(○)、島田教明・日本保育協会保育問題検討委員会委員、竹下美穂・保育園を考える親の会会員、田中雅道・全日本私立幼稚園幼児教育研究機構理事長(○●)、藤森平司・全国私立保育園連盟保育・子育て総合研究機構研究企画委員、松田妙子・NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事、御園愛子・全国保育協議会副会長・全国保育士会長(●)、無藤隆・白梅学園大学子ども学部教授(○)、山縣文治・大阪市立大学生活科学部教授、若盛正城・NPO法人全国認定こども園協会代表理事、渡辺英則・全国認定こども園連絡協議会副会長(○)
(○=幼稚園教育要領改訂の際の審議委員、●=保育所保育指針改定の検討会委員)

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2010年09月25日

基本制度ワーキングチームの第一回会合

2010年9月24日

子ども・子育て新システム検討会議作業グループ・基本制度ワーキングチームの第一回会合が行われました。

NEW議事録が公開されました!

詳細な資料はこちらから

第一回目と言うことでそれぞれの立場からの発言が多かったです。相反する意見も交錯するなか、今後どのように収束するのか? 傍観者ではなく委員としてきっちり向き合いたいと思います。

出席者=宮島香澄・日本テレビ解説員を除く構成員21人が出席。

作業グループ=末松義規・内閣府副大臣(作業グループ主査)、小宮山洋子・厚生労働副大臣、吉田泉・財務大臣政務官、林久美子・文部科学大臣政務官、オブザーバーとして、作業グループ前主査の泉健太衆議院議員が出席。

【基本制度ワーキングチーム検討までの流れ】
 政府・少子化社会対策会議は6月29日、子ども・子育て新システムの基本制度案要綱を決定。平成23年に関係法案の国会提出、平成25年度からの施行というスケジュールをにらみ、具体的な検討が必要となりました。そこで、新システム検討会議の作業グループで、3つのワーキングチームを設けて検討することに。3つの検討会議は、制度の骨格や給付設定、費用負担などを論議し将来的には「子ども・子育て会議(仮称)」への移行も視野に入れた「基本制度ワーキングチーム」、こども園の具体的な仕組みについて専門的に検討する「幼保一体化ワーキングチーム」、こども指針(仮称)について専門的に検討する「こども指針(仮称)ワーキングチーム」。3つのワーキングチームの先陣を切って、9月24日に基本制度ワーキングチームの初会合が開かれました。

【委員の議論】
◎国と市町村の関係

 初回は、基本制度案要綱に盛り込まれた、「国・都道府県の役割や市町村の権限と責務に関する内容」について、各構成員が意見を出し合いました。国が一定の責任を果たすべきとの意見が出る一方で、地方3団体からは現給付については地方の裁量に委ねるよう求める意見が出されました。駒村康平委員(慶應義塾大学教授)は、「社会福祉労働政策には国が行うべき部分、労使が連携する部分、地域の実情に応じる部分があるのできめ細かく議論すべき。地方と国の役割は、硬直的に決めるのではなく弾力的であるべき」と主張。秋田喜代美委員(東京大学大学院教授)は、幼児教育・保育は「生涯学習の基盤を作る」ことから、「サービス給付を手厚くすることが重要」と指摘。「地方への権限移譲を進めるだけではなく、国が何に責任を持つのかと言う点も明確にしてもらいたい」と訴えました。また、事業評価を専門にする田中啓委員(静岡文化芸術大学准教授)は、地域主権に対して地域格差への不安が強いことを考慮し、地域の裁量を拡充する上で、@施策立案からの住民参画A中間・事後評価の導入Bそうした取り組みが可能となるような国・県の財政的・人的支援――の重要性を指摘しました。

◎社会全体で子どもを育てる
制度の基本的な理念を確認するとして、基本制度案要綱に盛り込まれた「社会全体で子どもを育てる」ということと「子育ての第一義的責任は保護者にある」という次世代育成対策推進法等の基本理念との整合性を問う意見なども出されました。奥山より、「子育ての第一義的責任は親にあるが、親がその責任を果たすためには社会的なサポートが必要。社会が大きく変わっているのに制度が変わってこなかった」と、社会全体で子育てを支援するという考えにも親の責任が組み込まれていると述べました。さらに、大日向雅美委員(恵泉女学園大学大学院教授)は、「社会全体で子育てを支援するという理念をもう一度確認すべき」と主張。子どもの最善の利益は親の利益と相反するものではなく、両立できるあり方を模索するべきと指摘した上で、「少子対策は持続可能な社会につながる未来への投資」であると主張しました。

◎財源について
 子ども・子育て勘定の創設の意義や財源確保の不明確さについて意見が出されました。
 倉田薫委員(全国市長会文教委員長・大阪府池田市長)は、「どれだけの財源が用意されているのか示した上で、地方に何をしたいのかと問うべき」と指摘。尾剛正委員(日本経済団体連合会少子化対策委員会企画部会長)の代理で出席した、藤原清明・経済政策本部長は、企業の追加拠出や特別会計の創設に反対の意を示し、必要な財源の見通しをはっきりさせて制度を改革するよう求めました。
 駒村委員は、「これまでの政策がバラバラで体系的でなかったため、政策効果が限定的だった」として、一本化による財源確保の必要性を強調するとともに、使い道を子どもに限定した配分の仕方が必要なことを訴えました。
 奥山も、国・市町村の特別会計に対しては監査・評価の仕組みを入れて透明性を高めるよう求めるとともに、子どもに確実に支給されるものとするよう要望。財源確保については、「お金がなければみんなで負担する方法を考えるべきではないか」と訴えました。
 岡本直美委員(日本労働組合総連合会会長代理)は、女性が働き続けられるよう支援し、女性の労働力率を高めることが社会保障の財源確保につながると主張しました。

◎今後の論議のあり方について
 法案提出までの時間が短いだけに、関係者の意見が十分に反映されるのか懸念を抱く構成員も少なくない。
 渡邊廣吉委員(全国町村会常務理事・新潟県聖籠町長)は、新システムで検討すべき課題を考えると「対象となる法律は広範にわたり相当困難が予想される」として、「法律案が一方的に見切り発車で作られると残念なことになる。納得できる議論ができるだけの時間を割いてもらいたい」と今後の論議のあり方に注文を付けました。

《作業グループ》
主査=末松義規・内閣府副大臣(少子化対策)
構成員=逢坂誠二・総務大臣政務官、吉田泉・財務大臣政務官、林久美子・文部科学大臣政務官、小宮山洋子・厚生労働副大臣、田嶋要・経済産業大臣政務官、阿久津幸彦・内閣府大臣政務官(国家戦略担当)
《基本制度ワーキングチーム構成員》
座長=末松義規・内閣府副大臣
構成員=秋田喜代美・東京大学大学院教育学研究科教授、池田多津美・全国国公立幼稚園長会長、大日向雅美・恵泉女学園大学大学院平和学研究科教授、岡本直美・日本労働組合総連合会会長代行、奥山千鶴子・子育てひろば全国連絡協議会理事長、尾ア正直・全国知事会子ども手当・子育て支援プロジェクトチームメンバー(高知県知事)、菊池繁信・全国保育協議会副会長、倉田薫・全国市長会社会文教委員長(大阪府池田市長)、駒村康平・慶應義塾大学経済学部教授、坂ア隆浩・日本保育協会理事、尾剛正・日本経済団体連合会少子化対策委員会企画部会長、田中常雄・東京商工会議所少子高齢化問題委員会副委員長、田中啓・静岡文化芸術大学文化政策学部准教授、中島圭子・日本労働者組合総連合会総合政策局長、北條泰雅・全日本私立幼稚園連合会副会長、宮島香澄・日本テレビ放送網解説委員、無藤隆・白梅学園大学子ども学部教授、両角道代・明治学院大学法学部教授、山縣文治・大阪市立大学生活科学部教授、山口洋・日本子ども育成協議会副会長、渡邊廣吉・全国町村会常務理事(新潟県聖籠町長)
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2010年09月24日

子ども・子育て新システム検討会議の協議会・検討会が再び始動!

いよいよ、冬の国会で新システムの法案を提出するために、具体的な議論が始まります。

内閣府ホームページにスケジュール案がアップされています。

子ども・子育て新システム検討会議について
http://www8.cao.go.jp/shoushi/10motto/08kosodate/index.html
スケジュール
http://www8.cao.go.jp/shoushi/10motto/08kosodate/k_7/pdf/s2.pdf

今週末あたりから、下記の3つのプロジェクトチーム(PT)が始動します
*子ども・子育て新システムに関する協議会(仮称)が月2回程度開催予定
*幼保一体化検討会が月1回程度開催予定
*こども指針(仮称)検討会が月1回開催予定

基本制度ワーキングチーム、幼保一体化ワーキングチーム、こども指針(仮称)ワーキングチームの議事録はこちら


応援団では、できるだけ早く皆さんにブログで内容をお伝えしていくようにします
この秋が正念場??
みなさんも一緒にウォッチしていきましょう!

ペン今までの検討会議の様子をウォッチした記事は→過去ログ
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2010年05月09日

子ども・子育て新システムの論点整理

平成22年5月6日 プロジェクト勉強会用にまとめたものです
PDFでダウンロードしたい場合はこちらicon_pdf.gif
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1.政府の基本的方向案

【目的】
・すべての子どもへの良質な生育環境の保障、子どもを大切にする社会づくり
・出産・子育て・就労の希望実現
・仕事と家庭の両立支援
・雇用の創出、女性の就業促進で活力ある社会づくり

【方針】・子ども・子育てを社会全体で支援
・利用者本位(子どもと子育て家庭)
・地域主権を前提とした住民の多様なニーズに応えるサービスの実現
・政府の推進体制の一元化

【新システムが具体的にすすめるもの】
・政府の推進体制・財源の一元化
・社会全体(国・地方・事業主・個人)による費用負担
・基礎自治体(市町村)の重視
・幼稚園・保育所の一体化
・多様な保育サービスの提供
・ワーク・ライフ・バランスの実現


2.有識者・関係団体へのヒアリング、4月27日の基本的方向性から読み取れること

●すべての子どもへの良質な生育環境の保障
大日向教授は、保育の質を「保育者の応答性」、無藤教授は、幼児教育の原理を「無自覚の学び」とした。幼稚園でも保育所でも、小学校入学前に子どもたちに必要な力についての整理が必要であることを多くの有識者が述べた。
秋田教授は、「子どもの暮らし、遊びの質を保証することが、21世紀型人材のキーコンピテンシーとしての協働性、自律性、創造性の育成につながる」と述べ、大日向教授は、幼児教育は未来への投資であることを強調した。
政府は、これをうけて幼稚園教育要領、保育所保育指針を統合、小学校学習指導要領との整合性・一貫性を確保した新たな「こども指針(仮称)」を策定予定としている。

●幼稚園・保育所の一体化
多くの有識者・団体が、幼稚園・保育所のこれまでの歴史や文化の尊重が必要であると述べた。また、一体化の目的が明らかではない、幼稚園・保育所の財源の流れや所轄の一元化がなければ難しいなどの意見があった。
一体化の目的は、幼稚園であっても保育所であっても良質な生育環境を保障すること、都市部にあっては、幼稚園のより一層の活用を促進して待機児童解消につなげることのようだ。
今回の政府案では、幼稚園の私学助成、保育所運営費負担金などの従来の財政措置と認定こども園に対する財政措置を合わせて「こども交付金」として財源を一元化する方向性が出された。
幼稚園の私学助成が県から市町村に移管されることになることで、今までよりは、市町村が幼稚園へのかかわりを深めることになる。言い換えれば介入できるということになる。「保育に欠ける要件の撤廃」も幼保一体化の文脈で明記。
 
●待機児童の解消
 政府は、非正規労働者、自営業者、求職者にも両立支援としての給付を保障、利用者の選択を可能にするということで、親の就労状況に応じた公的保育サービスの保障、市町村関与の下、利用者と事業者の公的保育契約を行うとする。利用者負担はあるが、必要な費用を保障するという。
 現在の認可保育所にすべてが集中している中、多様な保育サービスを投入、働き方に応じて保育サービスの指定は市町村が行うが、具体的な申し込みは事業者と利用者が直接行うということ。また、施設型保育だけでなく、家庭的保育や小規模サービス取り組みへの支援も盛り込まれた。
 これは、待機児童解消と保育の質の間で意見が分かれたところ。多くの有識者が待機児童解消のもとに保育の質が低下してはならないと述べた。この公的保育サービスの保障は、社会保障審議会少子化対策特別部会の流れを受けたものであり、前政権から引き継いできたもの。駒村教授は、この仕組みを一定のコントロール下で多様なメニューを導入し多様な主体の参入を認める「準市場メカニズム(契約・選択・参入)」と名付けている。

●政府の推進体制の一元化・財源の一元化
 幼稚園・保育所の一体化の文脈で、政府の推進体制の一体化が語られた。今のところ就学前の時期についてはすべて「子ども家庭省(仮称)」が担当するという案であるようだが、労働政策、社会保障との関連でみるべきではないか?財源の統一だけなら不要ではないか?内閣府でとりまとめればいい、などまとまった見解は出ていないように感じた。
 にっぽん子育て応援団が推進体制の一元化・財源の一元化をあげたのは、子ども関連の財源が、労働政策、福祉政策などの根拠によって異なりわかりにくいこと、介護保険のようにグランドデザインが描けていないことからであった。
今回の政府案では、制度設計のイメージが示され、事業ごとの制度設計や財源構成がばらばらであったものを再編成。連合の「子育て基金(仮称)」や応援団が提案しているフランスに近い制度設計となっている。ただし、ここで読めないのは、以下2点。
@多様な主体の参画(多様なステークホルダーの参画)
A監査、事業評価

●サービス・給付体系
 政府は利用者本位(子どもと子育て家庭)のサービスの包括的・一元的提供について、2階建ての給付設計を提案。
基礎給付(1階)は、子ども手当、地域子育て支援や一時預かりなどすべての子育て家庭へのサービス。両立支援・幼児教育給付(2階)は、幼保一体給付や(仮称)や育児休業給付、放課後児童クラブなどとしている。
しかし、この1、2階の設計については市町村に委ねるとなっており、地域主権の考え方が色濃い。現金給付はわかりやすくサービス給付より手間暇がかからないことから市町村によってかなり格差が生じるのではないかと予測される。
また、1階部分であるすべての子育て家庭への支援、一時預かりはNPO・市民活動団体が担う可能性が高い分野であり新システムへの参入にかかわる重要な部分でもある。

●国と地方の役割
 多くの有識者が、幼児教育は国の将来の担う根幹にかかわるものであり、「未来への投資」である、従って国が責任を持ってあたらなくてはならないと述べた。さらに、支援が必要な家庭ほど幼児教育の質が重要であるという指摘も多かった。保育においては、最低基準(ナショナルミニマム)の順守を多くの有識者・団体が指摘、そのうえでの地方の裁量でなければならない。
 しかし、政府案では、「基礎自治体による自由な給付設計」がうたわれ、子ども・子育て支援に関する権限と財源は原則市町村(基礎自治体)へとなった。財源は、すべての子ども・子育て関連の国庫補助負担金、労使支出金等からなる財源を「子ども・子育て基金(仮称)/特別会計」に一本化し市町村に包括的に交付。市町村は地域の実情に応じて主体的に給付を実施と述べている。
 地方分権の流れは必要だとしても、本当に市町村が地域の実情に応じて設計できるのか?有権者にわかりやすいお金の配分だけに終わらないか?多様な関係者を交えて制度設計できるのか?次世代育成支援行動計画の策定過程をみていても市町村格差がみられる中、
課題は残る。自治体の取り組み評価を新システムの枠組みに導入できないだろうか。

●財源  6兆円
 政府案によれば、子ども手当を予定通り26000円にするという案で進められており、支出合計は6兆円となっている。従来4兆3千億と言われていた予算が、6兆円。社会全体(国・地方・事業主・個人)による費用負担と述べているので、このバランスが大事になるだろう。国民も納得できる新システムとなり、自分たちも費用負担するというコンセンサスを得られるかどうかがカギとなってくる。
欧州は軒並み2割以上の消費税率であることからも、子ども・家庭支援には費用はかかる。未来への投資と国民が納得できるものにしていかなければならないのだろう。

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2010年04月28日

「新システム検討会議」の初会合

4月27日内閣府にて開かれた新システム検討会議(閣僚レベル)で示された「新システムの基本的方向」の資料です

子ども・子育て新システムの基本的方向(案)


【目的】
子ども・子育て新システムでは、以下のような社会を実現

◆ すべての子どもへの良質な成育環境を保障し、子どもを大切にする社会
◆ 出産・子育て・就労の希望がかなう社会
◆ 仕事と家庭の両立支援で、充実した生活ができる社会
◆ 新しい雇用の創出と、女性の就業促進で活力ある社会

【方針】
以下の方針のもとに、制度を構築

◆ 子ども・子育てを社会全体で支援
◆ 利用者(子どもと子育て家庭)本位を基本とし、すべての子ども・子育て家庭に必要な良質のサービスを提供
◆ 地域主権を前提とした住民の多様なニーズに応えるサービスの実現
◆ 政府の推進体制の一元化

【新システムとは】
以下のような新システムを実現

◆ 政府の推進体制・財源の一元化
◆ 社会全体(国・地方・事業主・個人)による費用負担
◆ 基礎自治体(市町村)の重視
◆ 幼稚園・保育所の一体化
◆ 多様な保育サービスの提供
◆ ワーク・ライフ・バランスの実現

新システムにより実現されるもの
○ 幼保一体化による幼児教育・保育の一体的提供
・ すべての子どもに質の高い幼児教育・保育を保障するため、幼稚園教育要領と保育所保育指針を統合し、小学校学習指導要領との整合性・一貫性を確保した新たな指針(こども指針(仮称))を創設
・ 幼稚園・保育所の垣根を取り払い(保育に欠ける要件の撤廃等)、新たな指針に基づき、幼児教育と保育をともに提供するこども園(仮称)に一体化
・ 新システムの下で幼児教育・保育を一体化した「幼保一体給付(仮称)」を創設

○ 仕事と生活の両立支援と子どものための多様なサービスの提供
・ 妊娠〜育児休業〜保育〜放課後対策の切れ目のないサービスを保障
→ 育児休業の給付と保育を一元的に制度から保障し、育児休業明けの円滑な保育サービス利用を保障
→ 多様な働き方、ニーズに応じ、多様なサービスを独立した給付類型として創設(※)
→ 「小一の壁」に対応し、保育サービス利用者が就学後の放課後対策に円滑に移行できるよう、放課後対策の抜本的拡充、小四以降も放課後対策が必要な子どもに、サービスを提供
※ 多様な給付メニュー:家庭的保育、小規模サービス、短時間利用者向けサービス、早朝・夜間等保育サービス、事業所内保育サービスなど

○ 待機児童の解消(集中的整備や多様な提供主体の参入等)
・ 保育所を始めとして、多様な給付メニューを集中的に整備(子ども・子育てビジョンの目標達成)
・ 非正規労働者、自営業者、求職者にも両立支援としての給付を確実に保障し、利用者が選択できる給付を保障
→ 親の就労状況に応じた公的保育サービスの保障
→ 市町村の関与の下、利用者と事業者の公的保育契約
→ 一定の利用者負担の下、利用者に対し、必要な費用を保障
→ 必要な給付の保障責務や利用者の支援など、市町村の責務の明確化
・ イコールフッティングによる多様な事業者の参入促進
→ 給付類型ごとに客観的基準を設定し、当該基準を満たせば多様な事業主体の参入を可能とする指定制度の導入
→ 施設整備費(初期投資費用)の在り方、運営費の使途範囲、配当、会計基準についての一定のルール化
・ 施設型保育だけでなく、地域におけるNPO 等による家庭的保育、小規模サービス等の取組支援の拡充

5つの視点からの制度改革

【子ども子育てを社会全体で支援する一元的な制度の構築】
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・ 事業ごとに制度設計や財源構成が様々に分かれている子ども・子育て支援対策を、新しい制度(システム)の下に再編成。
→ これにより、制度・財源・給付の一元化を実現し、社会全体で子ども・子育てを支える体制を実現
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○ 利用者本位のサービスの包括的・一元的提供
・ 現金給付・現物給付の市町村の裁量による一体的提供
・ 幼保一体化の実現(幼保一体給付(仮称)の創設)
・ 基礎給付と両立支援・幼児教育給付の2階建ての給付設計により、親の就労状況に応じた多様な給付を保障
基礎給付(仮称):子ども手当、一時預かりや地域子育て支援等、すべての子どもの育ちを支援する給付(1階)
両立支援・幼児教育給付(仮称):幼保一体給付(仮称)や育児休業給付等、仕事と子育ての両立支援と、幼児教育を保障する給付(2階)


○ 基礎自治体による自由な給付設計
・ 子ども子育て支援に関する権限と財源は原則市町村(基礎自治体)へ
・ 新システムの下で、現金給付・現物給付の組合せ(配分)や給付メニューの設定(選択)など、市町村が自由度を持って地域の実情に応じた給付を設計できることを保障

○ 子ども・子育て基金(仮称)/特別会計の創設による負担金・補助金の包括的な交付
・ 市町村が自由度を持って必要な給付を行うことができるよう、新システムに関するすべての子ども子育て関連の国庫補助負担金、労使拠出等からなる財源を子ども・子育て基金(仮称)/特別会計に一本化し、そこから市町村に対し包括的に交付
→ 地方の財源とあわせて、市町村が地域の実情に応じ、主体的に決定できる給付を実施

○ 社会全体(国・地方・事業主・個人)による費用負担・ 社会全体で支えるという理念に基づき、国・地方・事業主・個人がそれぞれ費用を負担

○ 新システム実施体制の一元化
・ 子ども家庭省(仮称)の創設

■ 23年通常国会に法案を提出、25年度の施行を目指す
※ 恒久財源を確保しながら25年度の本格施行に向けて段階的に実施
※ 成長戦略策定会議等との連携
※ 地域主権戦略会議や国と地方の協議の場等を通じ、地方の意見を反映


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2010年04月25日

「新システム検討会議」作業グループ第6回会合

2010年4月15日

提出資料、議事録は、HPで公開されています。↓
http://www8.cao.go.jp/shoushi/10motto/08kosodate/index.html

出席者=宮本太郎・北海道大学教授
    全国知事会の野呂昭彦・子どもプロジェクトリーダー・次世代育成支援対策特別委員会委員長(三重県知事)
    全国市長会の倉田薫副会長・社会文教委員長(大阪府池田市長)
    全国町村会の齋藤正寧・行政部会副部会長(秋田県井川町長)
作業G=泉健太政務官(内閣府)
    高井美穂政務官(文部科学省)
    小川淳也政務官(総務省)

応援団の運営委員でもある遊育の山田麗子さんから、ヒアリングの様子をレポートしてもらいました。応援団ウォッチングのコメントは、にっぽん子育て応援団企画委員の奥山千鶴子が書いています。

【意見発表】
◎宮本教授
 宮本教授は、スウェーデンの社会の社会保障や就学前教育の仕組みを紹介しながら、日本がめざすべき方向性を示しました。
 スウェーデンの家族支援システムは両立支援型と呼ばれ、その特徴は個人を対象とした社会保障システムで雇用保障に対する政府の関与が強いというところにあります。保育サービスが充実していますが、出産・育児休業に対する現金給付も所得に比例しているため、働いている方が出産しやすく、中間層の働く意欲を高める仕組みになっていると分析されています。
 また、スウェーデンでは幼保を一元化し教育省が所管しています。宮本教授はその特徴として、労働者がある時期、子育てや技術習得のために休業したとしても、再び労働市場に参加できるという、労働市場を出入り自由なものとする就労支援システムの一部として保育が位置付けられている点を指摘しています。
 スウェーデンのような子どもへの投資は、「子ども中心の社会戦略」と呼ばれており、就学前教育は投資効果が高く、生産性の高い人材を育成し、貧困の世代間格差を断ち切るなどのメリットがあることが指摘されました。さらに、0〜5歳17〜20人のクラスに専門教育を受けた教育士3人を配置するなどスウェーデンの就学前教育は基準が高く、保育料の上限を定めるなど、誰もが利用しやすいユニバーサルな事業になっていることも紹介されました。

◎全国知事会
 野呂知事は、幼保一体化に積極的な姿勢を見せ、その検討に当たっては、人材育成の観点で就学前教育を重視するとともに、女性が働き続けやすい切れ目ない保育等サービスの充実とワークライフバランスに取り組む企業への支援などの視点が求められると、指摘しました。また子ども手当に関しては、国の責任で財源を確保するよう求めました。

◎全国市長会
 倉田市長は、人口10万人の池田市に就学前児童が約5000人おり、医療費助成や保育所運営などで就学前の子どもに対し30億円を投じていると述べました。このうち国・大阪府からの補助等や保護者負担などは9億円で、ほとんどが市の一般財源ということです。また、保育所運営に関する権限を市町村に移譲するよう主張しますが、認可取り消しなど事務負担が増える点で「自治体職員はウエルカムではない」との現状も紹介しました。
 このほか、待機児童解消策として幼稚園での2歳児の受け入れや、子ども手当を給食費や保育料の未納分として相殺できる仕組みの導入を提案しました。

◎全国町村会 
齋藤町長は、全国第1号の認定こども園、井川こどもセンターの取り組みを紹介しながら、幼保一体化の意義やそのための財源確保の重要性などについて指摘しました。同町では、地域の子どもに同じようなサービスを提供したいと、以前から幼保一体化を推進し、平成9年に幼保合築施設を建てましたが、当時は渡り廊下でつなぐ形でしか認められなかったということです。

【地方3団体と政務官とのやりとりから】
◎子どもに関する予算の一本化について
 倉田市長は、「0・1歳児は家庭保育を基本とし、月額10万円を渡してはどうか」と提案しました。それによって、コストの嵩む低年齢児の保育ニーズが縮減され、待機児童問題が解決するという論理です。子ども関係予算を一本化すると、このような総合的な施策選択も可能になるのではないかと考えているようですが、十分な財源が確保できるかに疑問を投げかけました。
 また、齋藤町長は、町村のような小さな自治体に対し、財源を一本化した基金からどの程度予算が回ってくるかについては懸念があると話しました。
 野呂知事は、年金などの国のそのほかの制度に信頼が置けないことを挙げて、基金構想にも疑問を投げかけました。その上で、確実に徴収できるという点で消費税方式のメリットを挙げ、「消費税の税方式で安定財源を確保し、地方では地方消費税としてきちんと手当てする方がよいのではいか」と主張しました。

◎保育所の最低基準の権限移譲について
 野呂知事は、地方移譲に対する不安が生じる前提として、国・地方の財源不足がある点を指摘し、「国も地方も借金漬け。なぜそうなったのかというと、必要なサービスにかかる税として徴収してこなかったことが問題。しっかり地方財源を手当てできるような取り組みが必要」と主張しました。
 倉田市長も、同市で就学前児童関係予算の7割が一般財源であることなどを挙げて、全ての首長が同じように子ども施策については重視していると主張しました。

◎子ども手当と未納保育料等の相殺
 厚生労働省が、子ども手当は現在、差し押さえできない債権という取り扱いにしており、この規定を外すと、債権の優先順位などから保育料の未納分や給食費の未納分は後回しにならざるを得ないとの解説がありました。さらに、「子どものための金が子どものために使われるよう、来年度の仕組みの中で何とか考えたい」との回答があり、子ども手当の仕組みを考える際の考慮事項とするようです。

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「新システム検討会議」作業グループ第5回会合

2010年4月7日

提出資料、議事録は、HPで公開されています。↓
http://www8.cao.go.jp/shoushi/10motto/08kosodate/index.html
出席者=日本保育協会
      坂ア隆浩 保育問題検討委員長
      川合洋子 北海道支部 評議員
     日本経済団体連合会
      高尾剛正 少子化対策委員会企画部会長
     日本商工会議所
      田中常雅 少子高齢化問題委員会副委員長
     日本労働組合総連合会
      中島圭子 総合政策局長
作業G=泉健太政務官(内閣府)
     高井美穂政務官(文部科学省)
     小川淳也政務官(総務省)


応援団の運営委員でもある遊育の山田麗子さんから、ヒアリングの様子をレポートしてもらいました。応援団ウォッチングのコメントは、にっぽん子育て応援団企画委員の奥山千鶴子が書いています。

【意見発表】

◎日本保育協会

 坂ア委員長は、幼保一体化を含む保育制度改革を行うためには財源確保が必要であることを強調。現物給付(保育サービス等)や現金給付(子ども手当等)の両方において、国と地方が共に責任を持つ仕組みとすること、待機児童解消のためにも保育所整備のための財源投入が必要なことを指摘しました。
また、財源に関しては、少子化対策特別部会等における議論の前提として、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略等で必要とされる保育の受け入れ枠整備のために約2兆円の新たな財源が必要との推計があることを挙げ、財源確保なき制度改革には反対する姿勢を示しました。

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坂崎委員長からは、幼保一体化の前に「待機児童の解消」と「認定こども園の改善」が必要である、保育は企業の参入が問題になっているが、幼稚園では学校法人以外の参入についてどう考えるのか?また、幼保一体化の目的がわからないといった質問も出されました。
それに対し、小川政務官は、個人的仮説として、「幼保一体化の目的は待機児童の解消である。解消のためには企業の参入もあるだろうが、その前に幼稚園を検討しようということではないか」と述べました。
また、坂崎委員長は、「保育所は0から6歳までの子どもたちのトータルな成長をサポートしており、3歳未満は保育所で、3歳以上は幼稚園で、といった年齢区分で分けて考えることはできない。
また、すべての子どもたちをサポートするといった意味では、一時預かり、地域子育て支援拠点事業などを通じて全体的に保育所中心でやっていきたい」ということでした。
確かに、保育所がすべて担える地域もあるのでしょうが、これからは多様な主体がそれぞれの強みを活かして連携していくことも必要ではないでしょうか。
3歳未満の子育て家庭は、まだ8割が在宅での子育てです。是非、市民活動団体・NPOや幼稚園との連携もよろしくお願いします! 幼稚園に関して言えば、幼児園などの名称の、いわゆる無認可幼稚園もありますし、独自の教育理念で運営している団体、園舎をもたない森の幼稚園、親たちが自主的に運営する自主保育も含め実は多様です。このような多様な保育や教育の形も認めていく方向性も考えていきたいですね。

◎日本経団連合会
 高尾部会長は、内閣府に「子育て会議(仮称)」を設置するよう提案しました。同会議は、主要関係閣僚や労使団体、地方自治体、保育利用者等の関係者が参加し、関係各省の子育て支援関係予算の規模や使途の評価・検証を行い、PDCAサイクルで事業を改善するというものです。
その一方、フランスの家族手当金庫のような子育て支援関係財源の一本化には、行政の肥大化を招くとして反対。
また、財源のあり方に関しては、「全国民で支える消費税を中心に安定財源を確保すべき」と主張し、企業に負担を求める場合、拠出目的や給付内容の整合性を図ることや、給付内容等へ意見を反映させ必要がある点を指摘しました。

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内閣府に「子育て会議(仮称)」という案。泉政務官から「民間ベースで立ち上げる可能性」についての質問に対し、高尾部会長は「ダイバーシティー(性別や人種、働き方などの多様性)の問題などについて各企業の労使で話し合う場があり、こうした動きが広がっている。そこを土台に政府に働きかけることも可能」との認識を示しました。
一方、財源を一元化する必要はなく、企業の拠出金の使われ方に関しては、きちんと説明できる体制にしてほしいとのことでした。今年の子ども手当は、企業の負担する事業主拠出金が入っている児童手当に上乗せされているだけに、企業の拠出金の行方が注目されています。
今後の、子ども予算の財源について、経団連ははっきりと消費税といっています。どのように国民、企業、政府・自治体が負担を分かち合うのか、今後とも議論が必要ですね。

◎日本商工会議所
 田中副委員長は、子育て支援施策は、家族形態や就労の有無等に関わらず、ライフステージにあった支援を切れ目なく行う必要がある旨を指摘。先進諸国と比べて少ない少子化対策予算の増額が必要であり、その場合には保育所整備に優先配分するよう求めました。
 また、待機児童解消のためにも幼保一元化が求められることや、地方自治体への権限移譲、多様な主体の参入を可能とする規制緩和が必要な旨を主張。日本の法人税が高率なことなどを挙げて、これ以上の事業主負担には反対の姿勢を示しました。

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経団連とともに、保育事業への企業参入に関して、社会福祉法人だけを認可の対象とする事業主要件の撤廃、株式会社やNPO法人への社会福祉法人会計の義務づけの廃止など規制緩和の要望があげられました。
また、諸外国に比べて法人税が高いことや、企業の家族手当・住宅手当の支援が行われていることを述べました。企業としては、優秀な人材の確保のために福利厚生費などを手厚くするということは理解できますが、国民全体をみたときにすべての子どもたちをサポートするという視点も是非お願いしたいところです。
格差が広がれば、いつか全体的に沈没しかねないのでは? これまでも日本は、国全体に力があったからこそ成長できたのではないでしょうか。日本の子どもたちの将来に、企業が果たす役割は大きいと思います。

◎日本労働組合総連合会
 中島局長は、すべての子どもが安心して育つ環境づくりとともに、親への支援が必要となっている現状を指摘。共働きが一般化しているにもかかわらず、保育サービスなどの現物給付が足りないといった不十分さがあることから、総合的で切れ目ない支援の必要性を強調しました。
そのためには、国が安定的財源を保障し、市区町村においてその財源が確実に子ども・子育てに回る仕組みが必要だと主張。
そうした仕組みとして、子育て関係の財源とサービス提供を統合し、利害関係者が政策決定に関与する「子育て基金」(仮称)の提案を紹介しました。

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保育業界からは子どもを預けっぱなしでは困るという議論があるということに対して、「預ける方が悪いとかという議論ではなく、ちゃんと預かれるように考えていくことも必要」とのご意見がでました。
子ども関係の支援者からは、親が子どもをみないということが指摘されるわけですが、だったら子どもの専門家は子どもの子どもらしさを引き出しそれを親に伝える役割がある、親ができないなら替わりに関わるといったことの方が、子どもにも親にも良い影響があると捉えることもできるな、と思いました。
働き続けられること、共働きは最大のセーフティネットであるとの主張。その通りなんでしょうね。今の正規職員の働き方が無理なんですよね。もっと柔軟で生活に合わせられる働き方なら、仕事も子育てもきっともっと楽なはずです。
連合の「子育て基金」は、応援団としても大いに参考にしていきたい考え方です。
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2010年04月24日

「新システム検討会議」作業グループ第4回会合

2010年4月1日

ペン提出資料、議事録は、HPで公開されています。↓
http://www8.cao.go.jp/shoushi/10motto/08kosodate/index.html
出席者=全日本私立幼稚園連合会
      吉田敬岳 会長
      北条泰雅 常務理事、全日本私立幼稚園幼児教育研究機構副理事長
      田中雅道 元副会長、全日本私立幼稚園幼児教育研究機構副理事長
    全国国公立幼稚園長会
      岡上直子 会長
      池田多津美 副会長
      大橋由美子 副会長
    全国学童保育連絡協議会
      真田祐 事務局次長
    子育てひろば連絡協議会
      奥山千鶴子 理事長
    株式会社JPホールディングス
      山口洋 代表取締役
作業G=泉健太政務官(内閣府)
    高井美穂政務官(文部科学省)
    小川淳也政務官(総務省)
    近藤洋介政務官(経済産業省)
    津村啓介政務官(国家戦略担当)

応援団の運営委員でもある遊育の山田麗子さんから、ヒアリングの様子をレポートしてもらいました。応援団ウォッチングのコメントは、にっぽん子育て応援団企画委員の奥山千鶴子が書いています。

【意見発表】

◎全日本私立幼稚園連合会

 OECD諸国が、幼児期の制度を統一し、教育の視点で制度設計を行っていることを例に挙げ、日本でも教育に軸足を置いた国家戦略としての検討が必要だと主張しました。幼児教育が保護者の成長を支援する役割も果たしている点を挙げたほか、柔軟な制度設計を前提に「私立幼稚園は待機児童解消のために、その施設を開放する用意がある」と主張しました。また、すべての3〜5歳児に対して1日4時間を標準とした幼児教育を保障するとともに、保育時間は1日8時間を限度とするよう求めました。


◎全国国公立幼稚園長会
 岡上会長は、幼保の設置状況状は地域によって異なることから、0〜2歳に対する保育や3〜5歳への幼児教育の場を提供するためにも、幼稚園機能・保育所機能を一体化した認定こども園を設置するよう訴えました。また、また就労支援に偏る子育て支援の現状には懸念を示しました。

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「私立幼稚園は待機児童解消のために、その施設を開放する用意がある」ということの裏には、私学の理念を守り地域の事業を反映させた上でとの条件がついています。
9割の幼稚園が預かり保育(いわゆる延長保育)をしているということでしたが、夏休み等の長期休暇では、実際には預かり保育を実施していない園の方が多いと思われます(関東圏の感触として)。
また、「親が子どもと向き合うためには、女性が子育て期に就労をひかえるM字カーブを否定するのではなく、M字カーブを通じて豊かな人生を送るべき」というご意見は、今の若い子育て家庭はどう受け止めるのでしょうか? 
子どもと向き合いすぎて、母子カプセルの方がむしろ問題とも言われる中で、幼稚園が果たす役割は何でしょう? 
仕事をしていても親が子どもに向き合える環境設定や、親をサポートする機能をなんとか担ってほしいと感じました。もちろん、仕事も子育ても、地域活動も無理なくできるという社会に向けて、幼稚園も試行錯誤している様子がよくわかりました。幼稚園の親たちは就学後のPTA活動のみならず、NPOの主要な戦力メンバーでもあります。一緒に地域の掘り起こしに連携いたしましょう!!


◎全国学童保育連絡協議会
 真田事務局次長は、保育所出身の小学1年生のうち6割しか学童保育が利用できないなどサービスが不足している現状を紹介し、現在(2009年5月1日現在で学童保育は1万8500か所、利用児約80万人)の3倍以上は必要だと主張しました。また、「安全な遊び場」という国の放課後児童整備政策と、子どもの安全な生活の場を求める保護者のニーズとにギャップがあったとして、「学童保育のニーズは基本的に保育ニーズであり、保育所の延長のシステムとして整備すべき」と指摘しました。

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この日も末っ子を学童にお願いしてヒアリングに参加していました。本当に学童保育には感謝です。
横浜の学童は地域運営方式。市からの補助もありますが、親も月15000円拠出し、指導員の給与や運営方針まで先輩の親たちから連綿と受け継いて運営しています。
文部科学省の放課後政策もありすべての小学校には、だれでも使える全児童のための「はまっこふれあいルーム」または「放課後キッズ」という17時まではすべて無料で、17時以降19時まで有料で預かってくれる仕組みをもっています。それでも学童保育が減らないことを考えると求める機能が違うのだと思います。
すべての子どもの政策と、保育所の延長にある生活の場としての学童保育、どちらも進めていかなくてはならないのではなないでしょうか? 子どもの多い横浜でできているのですから、すべての市町村でできないはずはない、という感じがしています。

◎子育てひろば全国連絡協議会
 奥山理事長は、「保育に欠ける」という保育所入所要件では、養育力が低下した3歳未満の子育て世帯は救えないため、すべての子育て家庭が一定のサービスを受けられる仕組みが必要な旨を指摘しました。
また、フランスの全国家族会議(多様な利害関係者が集まって家族手当金庫の支給方法等を論議する場)を例に挙げ、幼稚園・保育所、幼保以外の多様なサービスの必要性について地域の関係者が集まって論じる場の設置を提案しました。

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私は、未就学児童に関しては、3歳未満と3歳以上で分けて考えてみることを提案。3歳児以降は幼稚園、保育所などの集団保育で、3歳未満は親も含めた家庭支援として、地域子育て支援、弾力的な保育サービス、家庭的保育の充実を訴えました。
また、3歳未満児の7割から8割は在宅で育てられていることを前提に、NPOとして、子ども・家庭への支援について、安定的なサービスの担い手となれるよう環境整備を訴えるとともに、子どもや家庭に関わる業界団体が一堂に会して、わが町の子どもたちをどうサポートしていくのか議論する場の必要性と、バラバラな給付とサービスの一元化が必要であることを語ってきました。


◎JPホールディングス
 株式会社として保育所等の運営を手掛ける山口代表は、潜在待機児童80万人と言われる中、多様なニーズに応じたサービスを提供するために、保育士の採用や研修システムなど既存の株式会社等の社会資源を積極的に利用するよう主張。待機児童解消策としても認可外保育施設の活用を提案しました。

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横浜にもJPホールディングスの認可保育所は増えています。全国に保育所83か所(うち認可保育所50か所)、学童・児童館合わせて45か所を運営しており、1600人を雇用しているそうです。この4月1日にも16か所のオープンということでした。
これだけ民間の保育所が増えているということを考えると、新しい保育のシステム構築は待ったなしだと痛感しますね。保育事業の実態に制度が追い付いているのでしょうか? 
いい意味(!)で、保育分野に刺激を与えつつ、子育て家庭のニーズを踏まえ、より良い保育環境と安定的サービス供給がなされることを期待したいです。

【政務官との意見交換】

 政務官は、幼稚園としての待機児童問題への意識、認定こども園化への障害、長時間保育への考え方などについて尋ねました。


◎待機児童問題への意識
 全日本私立幼稚園連合会は、私学としての理念を守りつつ、地域の実情に応じて0〜2歳児も含めて幼稚園の機能を開放することもあり得ると主張。2歳児の受け入れにおいて幼稚園は積極的な役割が果たせるとの考えも示しました。


◎認定こども園への障害
 全日本私立幼稚園連合会は、地域によっては幼稚園型認定こども園の申請も受け付けないところがあるとの問題を指摘し、安心こども基金が平成23年度までの期間限定で、その後の財政支援が不明確な点を問題に挙げました。


◎長時間保育への意識
 全日本私立幼稚園連合会は、「子どもの育ちを考えると、預かり保育でも、1日の保育時間は8時間が限度ではないか」との考えを示しました。さらに、「長時間保育や夜間、病時などの保育の必要性は理解するが、すべての認定こども園や保育所にこうした保育を義務付けるのは問題」と指摘しました。


◎幼保一体化に対する考え
 山口代表は、「多様なサービスができるなら反対ではない」が、幼稚園が認定こども園に参入する場合には、養護の機能を勉強する必要性を指摘。「給食室の設置義務の撤廃はとんでもない話」と述べました。奥山理事長は、地域によっては幼稚園でも3歳で入園が厳しいところもある。幼稚園、保育所、地域子育て支援のそれぞれの機能を強化して連携を図る必要があるが、地域の事情への配慮も必要と述べました。

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幼稚園の認定子ども園に対する期待は大きいのだと改めて思いました。そこには、いろいろ参入しにくい事情がある模様。聞けば聞くほど、認定子ども園のハードルは高いと感じるばかりです。
さて、幼稚園からは、預かり保育をふくめ、幼稚園の機能を地域に開放する用意があるとのありがたいお申し出がありました。都市部ではかなり厳しいところもありそうですが、一緒に考えれば知恵が生まれるはず。まずは、一緒に考える土俵がほしいですね。
各地の次世代育成支援行動計画後期プランにも幼稚園はどのように位置づけられたのでしょうか? 地域の貴重な資源(リソース)として一緒に考えていきたいです。
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2010年04月23日

「新システム検討会議」作業グループ第3回会合

2010年3月29日

ペン提出資料、議事録は、HPで公開されています。↓
http://www8.cao.go.jp/shoushi/10motto/08kosodate/index.html
出席者=全国私立保育園連盟 
      菅原良次 常務理事
    全国保育協議会
      小川益丸 会長
      西田泰明 副会長
      御園愛子 副会長、保育士会会長
    全国認定こども園協会
      若松正城 代表理事
      古渡一秀 副代表理事
      中山昌樹 事務局長
作業G=泉健太政務官(内閣府)
    高井美穂政務官(文部科学省)
    小川淳也政務官(総務省)

応援団の運営委員でもある遊育の山田麗子さんから、ヒアリングの様子をレポートしてもらいました。応援団ウォッチングのコメントは、にっぽん子育て応援団企画委員の奥山千鶴子が書いています。

【意見発表】

◎全国私立保育園連盟

 菅原常務理事は、新システムを検討する上での基本的事項として、
@すべての子どもと家庭を対象とすること、
A企業の過度の参入は抑制すること、
B国・市町村の役割や責任を明確にすること、
C保育・子育てシステムや幼保一体化(の内容)は乳幼児期からの連続性を保障するものであること(年齢区分方式は認めない)、
D国・自治体・事業主・保護者らの全体で支える新たな財源制度を確立すること
――などを提起しました。
 また、「地域主権」の視点から、すべての子どもの育ちに地域間格差を生じないようにすることが必要だとして、保育所の児童福祉施設最低基準の遵守を求めるとともに、在宅子育て家庭における子育て環境の最低基準についても検討する必要性があることを訴えました。新たなシステムとして、「認定こども園」「保育所」「幼稚園」の制度や基準を包含するものとなるよう求めました。

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すべての子ども(と言ってもここでは未就学児童)を対象にした場合、いつでも必要な時に保育が保障され、子育て支援を受けられるという環境整備には、現在の保育や保育園などのナショナルミニマム(最低基準)論とは違った視点が必要であり、日本の将来に向けた幼保一体化、子ども・子育て新システムの実現には地域子育て支援やワーク・ライフ・バランスなどの推進が必要と、保育の枠組みを超えたまとめが印象的でした。

◎全国保育協議会
 小川会長は、子どもが豊かに成長するためには、情緒が安定した安心できる環境が大事であり、その根幹となる家庭基盤の調整役として保育所が一定の役割を果たしているとして、保育所の重要性を主張。政府の「子ども・子育てビジョン」を国民にアピールし、恒久的な財源を確保するよう訴えました。
さらに、西田副会長は、保育の質を確保するため運営費の配当への支出の廃止など一定の規制の必要性なことと、待機児童解消のためには保育制度の拡充が必要なこと、御園副会長は「命を守る」という観点から給食の外部搬入の全国化は認めがたいことなどをそれぞれ主張しました。

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「運営費の配当への支出の廃止」は、企業の参入を意識したもので、このことは第4回ヒアリングのJPホールディングスからは逆に要望としてあがったものでした。
このあたり、たとえば施設整備費は、社会福祉法人なら活用できるが企業だと活用できないなど、お互いが反目するような規制があって、そちらを認めないならこちらを!というような状況に見えます。同じ事業をやるなら条件は一緒にする、というのがイコールフッティングということなのだと思いますが、そうなっていないのが現状です。
介護の分野でも保育の分野でも、企業が倒産に追い込まれるということがあっただけに信用がないのか? 福祉事業に企業が関わることへの整理がまだついていない、と感じました。
しかし、周りの状況は、待機児童対策の解消ということで、実態として次々企業が参入。「待機児童解消のためには保育制度の拡充」はわかりますが、じっくり検討している時間はありません。さてどうする?

◎全国認定こども園協会
 若盛代表理事は、制度創設3年目を迎えた認定こども園において、職員や保護者の意識の違いを乗り越え、その幼児教育機能・保育機能・子育て支援機能を総合的に提供しようと取り組んでいるものの、「3つの機能を円滑に果たすには時間がかかる」と報告しました。
具体的には、会計基準や財政措置の違いによる困難さなど、質の高いサービスを提供するには現行制度では限界があることを紹介。会計基準の総合化や設置主体の違いを緩和するための特例措置の導入、機能に着目した財政支援、総合的機能を発揮できる新たな基準の設定などを提案しました。

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「3つの機能を円滑に果たすには時間がかかる」が現実なんでしょうね。どう考えても、時間をかけて幼稚園と保育所とはまったく別のものにするか、当面は現行の機能を最大限生かすものにするか、どちらかを選ばないと無理があると感じます。
現場からの感触としては、現状ではどうしても後者にならざるを得ないかな、とちょっと弱気。

【政務官との意見交換】
 政務官は幼保一体化の是非などについて質問しました。

◎幼保一体化に関して
 小川会長は、幼保一体化のイメージが不明確である点を指摘した上で、少子化対策特別部会で論議されてきた新たな保育のシステムがすべての子育て家庭を対象に保育を提供する仕組みを構想していた点を挙げ、「(新たな保育のシステムを)飛び越えて幼保一体化(の論議)に行くことはないのではないか。その前に、新たな保育システムの検証が必要」と幼保一体化には消極的な姿勢を示しました。

 菅原常務理事は、「率直に言って、保育所の立場から言うと、今すぐ幼保一体化をやりたいという保育所は約2万か所の中で少ない。今の保育の制度は国際的にみても進んでいる。ただ、最低基準については問題があるので、中身を変えて制度は生かしたい」と現行の保育制度の有効性を主張しました。その上で、幼稚園も含めて多様な選択ができるような枠組みを提案しました。

 中山事務局長は、幼保総合施設を地域活性化に活用しているイギリスのチルドレン・センターの例を挙げて、地域活性化の視点で幼保一体化の役割を捉えるよう提起しました。

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意見交換の途中、泉政務官が「保育所の子も幼稚園の子も家庭の子も、それなりに共通の環境が与えられるべき。それぞれの団体で、枠を超えて今の子どもの育ちを基本に考え、何ができるか考えていくことが大事」と発言する一幕も。
お互いが業界を超えて相手を知る、交流する中から利害を超えて、子どもや家庭を全体としてみるということが必要だと思います。だからこそ、応援団が提案しているように多様な関係者が集まるプラットホームが必要だと思います。
また市民活動団体が多い応援団としては、地域活性化が要という中山・認定こども園協会事務局長の発言に大きく賛同します。これこそはNPOが得意な分野。是非連携させてほしいと思います!
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2010年04月22日

「新システム検討会議」作業グループ第2回会合

2010年3月17日

ペン提出資料、議事録は、HPで公開されています。↓
http://www8.cao.go.jp/shoushi/10motto/08kosodate/index.html
出席者=秋田喜代美・東京大学大学院教授
    小西砂千夫・関西学院大学大学院教授
    普光院亜紀・保育園を考える親の会代表
作業G=泉健太政務官(内閣府)
    高井美穂政務官(文部科学省)
    小川淳也政務官(総務省)
    山井和則政務官(厚生労働省)

応援団の運営委員でもある遊育の山田麗子さんから、ヒアリングの様子をレポートしてもらいました。応援団ウォッチングのコメントは、にっぽん子育て応援団企画委員の奥山千鶴子が書いています。

【意見発表】

◎秋田教授

 経済協力開発機構(OECD)の保育分野における日本側委員で日本保育学会長を務める秋田教授は、幼保一体化の国際的な動向を紹介し、保育の質の保障のための検討が必要なことを訴えました。
 秋田教授によると、国際的にも幼保一体化が進んでおり、それは子どもにとって質の高い幼児教育が重要との認識からきており、小学校以上のカリキュラムとの一貫性・連続性を図ろうとするものだということです。また、海外では、質の高い幼児教育と小学校以上の学習準備との関係について、低所得世帯ほど効果が高いという研究報告もあることが紹介されました。
 さらに、幼保一体化は質の観点から検討されるべきであり、地域によって幼保の設置状況が異なることから、そうした文化を尊重した幼保一体化を進めるよう求めました。

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日本の課題として、諸外国に比べて公的投資が少なく民営(私立)が進んでいるという指摘はその通り。特に幼稚園は、私立幼稚園が多く公的投資は少ないことを考えると幼保一体化を目指すときにはハードルが高いのだろうなと想像できます。子どもの暮らし、遊びの質を保証することが、21世紀型人材のキーコンピテンシーとしての協働性、自律性、創造性の育成につながるとのご意見に賛同するとともに、この考え方を国民全体が世代を超えて共有する必要があると改めて思いました。子どもに関わる大人すべてが責任を持って社会に伝えなくてはならない視点です。

◎小西教授 財政と社会のあり方を研究する小西教授は、保育を拡充する方向での制度見直しと分権的な財政制度との関係について説き、地域主権の立場から子育て関係費用の一般財源化が必要と主張しました。
 地域主権改革の必要性については、@家族やコミュニティという共同体機能が低下する中で、それまで家族等で支えてきた幼児の育児や老人介護を社会全体で支える必要性が生じた、A社会全体で支えるためには、だれもが利用できるサービスとなる必要があり、地域社会ごとに現物給付で提供することが望ましい、Bそこから地域主権の必要性が生じている、などと説きました。
 民間保育所の運営費についても一般財源化が望ましいと主張。予算が確保できないとの反論に対しては、地方財政計画に事業費が計上されるかどうかが重要な旨を指摘し、「子育て関係の費用の拡充を検討する場合も、地方財政計画に事業費を計上できるかどうかが大きな問題である」と主張しました。
 また、幼保一体化に関しては、幼稚園と保育所という確立した仕組みの間に様々なニーズがあり、幼保だけでは埋められないニーズを埋めるために幼保一体化は意味があると主張しました。

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小西教授の説明資料より>(抜粋)


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国の予算と地方財政制度の話は、複雑すぎてよくわからないというのが正直なところです。
地方裁量にまかせる、地方財政計画に子どもの事業費をキチンと計上するということが現実にできるのか? 子ども手当の財源措置も今年に限っての緊急措置だけに、あまりに疲弊した地方財政を考えると、子どもにチキンとまわる!が確実に見えないと安心できないなと感じます。

◎普光院代表 普光院代表は、保育所を利用する保護者の立場から、待機児童問題の深刻さ、幼保一体化への疑問などを発表しました。職員の非正規化を進めた公立保育所の一般財源化を例に挙げて、一般財源化による待機児童対策には疑問を投げかけ、「子ども手当の財源の一部でも待機児童対策に」と言う保護者が多いことを紹介しました。
 また、幼保一体化に関しては、「同じ場所で同じ内容の保育をすることが重要ではなく、様々な子どもの状況にあった支援が必要ではないか」と疑問を投げかけました。

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幼保一体化について、多様な主張があるなかで、子どもの状況に合わせての「子どもの平等」の視点が必要。特に幼稚園、保育所の異なるニーズ、異なる役割を担ってきた経緯から、丁寧に検証が必要との指摘はごもっともだと思いました。特に都市部では根強く幼稚園と保育所の分断があっただけに、そう簡単ではないという実感もあります。また、保育のあり方に関しては、「規制緩和による事業者のイコールフッティングではなく、基準確保による子どものイコールフッティングを!」といつもながら明快でしたね。

【政務官との意見交換】
 政務官からは、保育の質を保障する際の国と地方の役割分担の在り方が問われました。
 それに対して小西教授は、国の細かな義務付け等は不祥事等へ対応してきた結果であるので、「思い切って地方に任せ」、地方自治体が法律通りにサービスを提供しているかを事後的にチェックする仕組みが望ましいとの考えを述べました。
 普光院代表は、日本の保育所の最低基準は国際的にみても低く、自治体によってはその最低基準に上乗せして補助を行っているので、最低基準を弾力化しなくても地方は自由に保育所を運営できると主張しました。

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市民活動団体からみても、地方自治体が子ども・家庭施策を優先的に進められるのかはたいへん心配な面があります。次世代育成支援行動計画後期プランづくりはどのように策定されたのか、からもわかると思います。
公募市民はいたのか?
議事録の公開など、審議過程の情報公開はされたのか?
市民活動団体は関われたのか?
後期プランのパブリックコメントへの市民の反応はどうだったのか? 
本当に地方自治体が、子どものことを考えているのかどうか、次世代育成支援行動計画後期プランづくりの経過をみてみましょう。そろそろ自治体のHPにアップされる時期ですね。
posted by Cheergaroo at 15:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 新システム検討会議

2010年04月19日

「新システム検討会議」作業グループ第1回会合

2010年03月11日

ペン提出資料、議事録は、HPで公開されています。↓
http://www8.cao.go.jp/shoushi/10motto/08kosodate/index.html
出席者=大日向雅美・恵泉女学園大学大学院教授
    無藤隆・白梅学園大学教授
    駒村康平・慶応義塾大学経済学部教授
作業G=泉健太政務官(内閣府)
    高井美穂政務官(文部科学省)

ペン応援団の運営委員でもある遊育の山田麗子さんから、ヒアリングの様子をレポートしてもらいました。応援団ウォッチングのコメントは、にっぽん子育て応援団企画委員の奥山千鶴子が書いています。

【第1回会合の意見発表】

◎大日向教授
 社会保障審議会・少子化対策特別部会の部会長を務めた大日向教授は、「社会保障制度と経済成長は車の両輪」として、少子化対策を含めた社会保障制度の維持をコストと捉えるのではなく、経済成長と両立できるという視点を持つよう指摘しました。その上で、少子化対策は「未来への投資」であり、社会全体が恩恵を受ける点も強調しました。
 また、保育制度改革に関しては、将来的な労働力不足の解消のために女性の労働力の活用が重要で、女性が働き続けるために保育の充実が必要なこと、その一方で「半世紀前に作られた保育制度は経済社会の急激な変化に対応することができず、制度疲労に陥っている」として、パート労働など多様な働き方に対応して保育を提供できる仕組みづくりの必要性を指摘しました。
 ただし、そうした保育制度改革を進めるには、すべての子どもの健やかな育ちの支援や保育の公的性格の維持、質の確保された量の保障とそれを裏付ける財源確保などが重要な点も挙げました。

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大日向先生は、保育の質を「保育者の応答性」であるといっています。保育者である大人のよい働きかけが子どもの育ちに良い影響を与える。だからこそ、余裕をもって保育に当たれる雇用環境の整備が必要であると。
保育者の応答性とは、なかなか目に見えにくいだけに、質の確保を表に出すのは難しいですね。社会保障はコストではなく未来への投資!その通りです!

◎無藤教授
 中央教育審議会・幼稚園教育専門部会の部会長や幼児教育無償化の方策について検討した「今後の幼児教育の振興方策に関する研究会」の座長を務めた無藤教授は、幼児教育の質の向上が必要であり、そのためにも地域のすべての子どもたちが集う幼保一体化が望ましい旨を強調し、幼保一体化の試行例として認定こども園の実践を参考にするよう提起しました。

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無藤先生は、幼児教育の原理を「無自覚の学び」にあると述べました。幼稚園でも保育所でも、教育と擁護の両面から捉えること。また、家庭教育の格差是正のためにも幼児教育の重要性を述べました。幼稚園でも保育所でも乳幼児期に必要なことが共有されていないと感じていましたので、「無自覚の学び」という言葉に納得しました!

◎駒村教授 社会保障審議会・少子化対策特別部会委員で厚労省顧問を務める駒村教授は、人口が減少する中で持続可能な社会を形成するためにも次世代育成支援の政策体系を見直す必要があり、新たな保育の仕組みが求められる旨を訴えました。特に、潜在待機児童は50万人と予測され、小手先の受け入れ枠拡充では対応できない規模である点が強調されています。
 駒村教授は、新しい仕組みとその財源として、次世代支援のサービスや財源を一本化させた「次世代育成支援基金」の構想を提案しました。この仕組みでは、育児休業を積極的に受け入れる企業に対しては拠出金を軽減するなどのメリット制を導入し、育児休業を積極的に利用するようなインセンティブを働かせるよう狙っています。

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駒村先生の「ドラマ「JIN-仁」と保育所予算の問題」は面白かったです。国と地方の関係についても明快でした。保育の質に関しても、保護者が判断しにくい点(情報の非対称性)、市場にゆだねることへの危惧を述べられ、「準市場メカニズム」という公的フレームの中で市場メカニズムを活用するという案を出されました。さらに包括的な財源の確保とサービス給付のひとつの案として「次世代育成支援基金」構想を発表されましたが、応援団としては大いに参考にさせてもらいたいと思いました!

【政務官との意見交換】

 政務官から、幼保一体化を進める上で幼稚園教育要領・保育所保育指針の理念を家庭に浸透させる必要性や、「子ども庁(仮称)」構想への是非などについて質問が出されました。

◎幼稚園教育要領と保育所保育指針をめぐって
 大日向教授は、幼稚園教育要領や保育所保育指針の内容は一体化しているものの、保護者にその内容が浸透していないので、保護者が実感できるような支援が課題だと主張しました。
 無藤教授は、「幼稚園教育要領と保育所保育指針の文章は似ているが、実践は相当異なる」と主張し、認定こども園が現場で幼保共有の新たなイメージに取り組んでいる旨を紹介しました。

◎「子ども庁(仮称)」の是非について 
 駒村教授は、現場や利用者の意識が幼保二元化のままであるので、その意識変革を促すために契約のあり方を見直すよう主張しました。保育施設に(少子化対策特別部会の中で提起された)公的保育契約の考え方を取り入れ、保育の利用に対して公的な支援を行う仕組みとすると、保護者が幼稚園と保育所を同じ土俵で考えることになり、幼保一体化に進むとの認識を示しました。また、子ども庁に関しては、子どもの施策だけをひとつの庁に集めると、関係する労働施策が別の省に残るという点に懸念を示しました。
 大日向教授は、子どもの問題は福祉や労働政策全体の中で考えるべきであり、社会的な理解を得る必要があるとして、「子ども庁」とするよりは「未来への投資庁」などとしたほうがよいと逆提案しました。

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どうも1回目は、幼稚園・保育園の一体化のこと、子ども庁のイメージについての議論が多かったと思います。その中でも、保育の質の捉え方が幼稚園でも保育園でも同様に理解されているのか、保護者に伝わっているのかと考えると、う〜んとうなってしまいそうでした。
また、いつから「子ども庁」になったのでしょう? 大日向先生の「未来への投資庁」、少なくとも「子ども・家庭省」ぐらいにならないと、子どもたちや子育て家庭を守ることにはつながらないのではないかと感じました。
posted by Cheergaroo at 09:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 新システム検討会議

2010年04月12日

新システム検討会議とは?

ペン【子ども・子育て新システム検討会議の性格】

 幼保一体化を含む新たな次世代育成支援のための包括的・一元的なシステムの構築について検討を行う会議。厚生労働省の社会保障審議会・少子化対策特別部会で議論してきた多様な子育て支援の仕組みに幼稚園も加え、新しいシステム構築に向けて検討しようというものです。

具体的な検討作業を担う作業グループは3月11日の第1回会合から週1回程度順次、有識者や関係団体から意見を聴取する予定です。このヒアリングを踏まえて検討に入り、6月中には基本的な方向性をとりまとめる予定にしています。
posted by Cheergaroo at 09:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 新システム検討会議