2018年08月02日

地域まるごとケア・プロジェクト2017年度報告書

さわやか福祉財団からの委託により2015年度から進めている地域まるごとケア・プロジェクトの2017年度報告書を、公式サイトにアップいたしました。以下のページからダウンロードできます。ご活用ください。
http://nippon-kosodate.jp/2017_marugoto.html
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2018年03月22日

2017年度地域まるごとケア・プロジェクト報告会を開催しました。

 にっぽん子育て応援団は2月18日(日)、東京・虎ノ門の発明会館ホールで「2017年度地域まるごとケア・プロジェクト/地域包括及び子育て世代包括ケア先進自治体調査と地域人材交流研修会開催報告会」を開きました。「私たちの手で創り上げる地域まるごとケア」と題して、行政説明や基調講演、先進事例報告が行われました。同調査は、公益財団法人さわやか福祉財団の委託を受けて行われたものです。

◎開会挨拶

清水理事長.JPG

 さわやか福祉財団の清水肇子理事長は、にっぽん子育て応援団とさわやか福祉財団で、地域まるごとケアをテーマに3年間活動してきた成果を強調しました。30年弱の歴史を持つさわやか福祉財団は、高齢者だけではなく誰もが支え合い、みんなで助け合う地域づくりに向けた取り組みを推進中。介護保険制度の見直しで地域づくりを強化する仕組みが生まれたことを機に、生活支援コーディネーター、地域子育てにも着目し、地域でまるごとケアを進める自治体の調査研究を進めてきたことを紹介し、今回の先進事例を持ち帰り、さらに各地で地域まるごとの取り組みが進むよう期待を寄せました。

◎行政説明
 「地域共生社会の実現に向けた地域福祉の推進について」と題し、厚生労働省社会・援護局の定塚由美子局長が地域共生社会づくり・地域福祉の取り組みについて説明しました。

定塚局長.JPG

 まず、地域共生社会づくりという考えの背景について言及。これまでの日本では、介護保険制度や障害者福祉、子ども・子育て支援制度など支援対象に応じて制度を充実させてきましたが、一つの制度で収まり切れない課題があちこちで発生、要介護者がいる家庭で引きこもりの成人がいるなど、世帯単位でみたときに相談事を持ち込む先が分からない事態が多発していることを挙げました。地域の福祉現場ではすでに縦割りではなく、種別や世代を超えたまるごとの支援をしてきていました。国も支援の支え手と受け手を固定して捉えるのではなく、弱まっている地域のつながりを再構築できるよう、住民がそれぞれの課題を自分のこととして参画する地域づくりを地域共生社会として進めることになった旨を説きました。
 その上で、「地域共生社会の実現」のために、@地域づくり・相談支援体制Aサービス提供体制B人材――の3つの観点で検討していることを紹介。地域づくりに関しては、さまざまな分野で支援活動を行っている人が参画した「地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制の在り方に関する検討会(地域力強化検討会)」で論議し、市町村で包括的な支援システムを作り、相談する力がない人にはアウトリーチ(訪問)するなどして、地域でどこかの相談窓口につながる仕組みを作ろうと意見を取りまとめ、社会福祉法を改正したことを報告しました。
 さらに、社会福祉法の改正で、地域の包括的な支援体制づくりと地域福祉計画の策定が自治体の努力義務となり、地域体制づくりを含め推進している旨を紹介。地域づくりに関しては国として予算を設けてモデル事業を進めており、平成29年度は100自治体に補助、30年度は150市町村に支援を行う予定である旨を明らかにしました。さらに、地域共生社会づくりについては今後も検討をさらに進めていく旨を強調。昨年12月に指針を策定し、通知していますが、各自治体の実情に応じて取り組みが重要なことを挙げ、共生社会づくりに向けて、例えば予算の使い勝手が悪いといった難があれば声を上げていただくなど、地域と協働で進めることができるよう期待を寄せました。

◎基調講演
 「地域共生社会は住民自ら創り上げる 共創コミュニティ」と題して、日本福祉大学の原田正樹教授/学長補佐が講演。地域共生社会の現代的な課題について説きました。

原田正樹さん.JPG

 原田教授は、まず、地域共生社会の理念について問題提起。「地域の課題を自分のこととしてとらえる」といった「我が事・丸ごと」の内容について、「昔から言われてきた」「国から強制されるのはどうか」といった指摘があることを挙げました。「地域」には優しさがある一方で排除する冷たさもあることに触れ、客観的な視点が必要なことに言及しました。
 その上で、相模原市で昨年発生した障害者施設での殺傷事件が、福祉関係者に問いをなげかけたことを取り上げました。犯人の「この世に障害者がいなくなればよい」といった主張に対して、賛同する人が多かったという現状に触れ、福祉関係者の「無知から障害者差別が起きる」という常識、日本人の福祉意識は総論賛成で各論は反対(障害者差別はよくないといった意識は持っているが、自宅近くには施設は建設してもらいたくないと思っている)という認識にも疑問を投げかけるものであったと話しました。
 こうした現状をもたらす要因の一つとして福祉教育に言及、無知を解消するために子どもが福祉を学んでいるが、そこで差別意識が再生産されているのではないかと提起しました。具体的には、福祉教育として行われている障害者や高齢者の疑似体験が不自由さの理解にとどまっているため、かえって障害者や高齢者はできない人だというマイナスイメージを強化し、健常者の優越意識を育てているのではないかと問題視しました。
 次に、この対局にある別の福祉教育を紹介。家族を持つ視覚障害の女性を教室に招き、リンゴの皮をむくという当人にとっては当たり前の作業を披露してもらうことで、「障害者=できない人」といった子どもたちの認識を覆している例を挙げました。そこから、障害、生活のしづらさは生活している環境によって左右されるという新しい福祉観・障害観に言及し、この見方に立った福祉教育の見直しの重要性を指摘しました。
 その上で、障害を持っていてもできることは無限にあるという福祉観や障害観を持つことが共生社会をつくる上での下地を作ると指摘。こうした意識を育てる質の良い福祉教育が求められており、そのために学校と地域社会の連携が重要だと説きました。
 さらに、「障害は環境による」といった考えに立つと、生活のしにくさを抱える人に対するまなざしも受け入れる方向へ広がるのではないかと投げかけ、本人の強みを大事にし、できることをもっと伸ばすという、その人らしさを支援することも共生社会の核になるのではないかと問題提起しました。高齢者についても単なる世代間交流では高齢者はお荷物といったマイナスイメージを広げるだけですが、その生きざまに触れるような交流により、子どもたちが高齢者に倣って脱いだ靴を揃え、言葉使いが丁寧になるなどの効果をもたらすことも紹介しました。
 また、原田教授は、「ニッポン一億総活躍プラン」で謳われている地域共生社会の理念、「全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる」との考えについて、「目新しい考え方ではない」と言及。支え手側と受け手側に分かれるのではなく、支え合う地域コミュニティを育成するためには、専門職の意識が問われていると指摘した上で、介護保険に契約という考えが入ったために、専門職の間に「契約に基づく利用者だけが対象」との意識が広がっていることを問題視しました。
 それだけに、地域福祉の在り方を制度や専門職の側から考えていかないといけないと主張。共生社会づくりの根っこは生活困窮者自立支援制度からスタートしており、この分野では、支援の必要な人は経済的に困窮している人だけではなく、社会的孤立もあると認識されてきたことを挙げながら、努力できない人も支援の必要な人だと受け取る地域づくりが重要な旨を訴えました。そこには自立に対する考え方も背景にあり、自分で稼いで自分で食べるという経済的自立、自分で決めて実行する社会的自立、精神的自立のほか、本人の弱さを認めて寄り添うといった自立もあり得るとして、「自立とは依存先を増やすこと」と主張した熊谷晋一郎氏(東京大学先端科学技術研究センター)の言葉を紹介しました。
 最後に地域づくりに関連して、今回の社会福祉法改正の重要性を強調。第4条、地域福祉の推進に関し、対象とする地域生活課題を絞り、地域福祉における国や地方自治体の責務が盛り込まれたことを評価しました。すでに全国各地でいろいろな取り組みが始まっていることに触れながら、自治体と地域住民との協働の在り方も課題であると指摘しました。そして、福祉を「ふだんの くらしの しあわせ」と捉えてはどうかと問題提起。福祉が毎日の暮らしの中にあるものと考えると、誰もが参加できるものとなり、多文化共生や社会的包摂、地域共生にもつながると訴えました。

【報告と提言「私たちの手で創り上げる地域まるごとケア」】
 にっぽん子育て応援団が2017年度地域まるごとケア・プロジェクトでヒアリングに訪れた3地域から実践報告をしていただきました。

◎「その人のニーズにとことん寄り添うことで次々事業が生まれる」
一般社団法人らぷらす代表理事 安斉尚朋さん
らぷらす安斉さん.JPG

 北海道夕張市での取り組みについて安斉さんが説明。どんなに重い障害を持っていても地域で暮らせるまちづくりを目指して活動してきた経過を報告しました。
 夕張市は、人口8300人で高齢者化率は50%、障害者は12%(国の平均の倍)。6割が高齢者や障害者という中で、高齢者や障害者が活躍できる環境づくりを重視してきたということです。まず、葬儀会場に使われていた公民館「はまなす会館」の閉館にあたり、当別町のNPO法人ゆうゆう(当時。現在は社会福祉法人)の協力を得て、指定管理で事業を継続。その際、障害を持つ我が子の働く場を探す母親と出会い、その要望に応えつつ、高齢者の食環境が貧しいという地域事情を考慮してお弁当づくりを始めました。ケアマネジャーや介護事業所とも連携し、配食・配食時の障害児が安否確認を実施します。実際には、地域の集まりなどでも注文が来るようになり、会館で食事会を開催するなど活動は広がっています。
 お弁当作りは、調理経験のない障害者が担当していますが、クックパッドでレシピを調べ、その通りにやるとおいしい料理ができることに気付き、一機にやる気になってくれたということです。塩一つまみや少々の分量が分からなくて困っていましたが、自分で調べて再現できるようになり、調理師免許を取るまでになったということです。
 また、広汎性発達障害の子どもを抱える母子家庭のために、児童デイサービスを事業化しました。同じ特別支援学級の友達も行ってみたいと登録者は増加。障害児だけで活動するのではなく、地域とのつながりを持てるよう、「餅つきを教えて」と高齢者ケアハウスに頼み、餅つき大会に来てもらい、夕張自然体験塾で地域の人と流しそうめん大会を行っているそうです。
 このほか、痰吸引が必要な子が利用できるようにパート看護師の配置を検討。そのためには看護師の子どもの保育が必要だと、保育士を雇って一時預かりを事業化したことも紹介されました。一時預かりの場は、子育て中のお母さんが拠点として活用するようにもなりました。安斎さんは、「一人のニーズは地域のニーズ」と受け止めて対応してきたと報告。作業所で対応できない仕事の依頼があった場合でも、ケアハウスの高齢者にボランティア募集と呼び掛けて活躍してもっていることも報告されました。
 らぷらすの取り組みに対して原田教授は、市民の6割以上が障害者と高齢者という状況で、それぞれのストレングスをみつけて取り組んでいる点、ひとりのニーズにこだわっている点の重要性を評価されました。

◎人や機関をつなげ、地域課題に対応するコミュニティ・オーガナイザー
 社会福祉法人文京区社会福祉協議会 浦田愛さん
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 文京区初の地域福祉コーディネーターとして活動し6年目を迎える浦田さんが、現状を報告しました。「人と物と金はある」文京区では近年、人口は増加傾向にあるものの世帯人員は減少し、生活保護世帯が増え、格差課題も顕在化しているとのことです。社会福祉協議会にも個人的な相談事が持ち込まれるようになってきたことから、地域に出て課題をさがすべきと、平成24年から地域福祉コーディネーターが配置されるようになったと報告されました。社会的な孤立やゴミ屋敷など、自分に問題が自覚していない人などに対応。平成28年から生活支援コーディネーターも兼務しているということです。
 その中で駒込地区(5万人)の取り組みが紹介されました。猫や植木の近隣トラブルなどの様々な個人支援の背後には福祉的課題があると指摘。住民のニーズがあれば活動を起こしていく「地域福祉コーディネーター」と、行政と政策的な話し合いをしながら介護予防的な活動を起こしていく「生活支援コーディネーター」の違いを使い分けながら活動しているということです。
 居場所づくりの例として、「こまじいのうち」が取り上げられました。玄関に募金箱が置かれているものの、金額は数えないなど運営は緩やかです。ここで、子ども食堂や栄養士会開催のキッチン、傾聴ボランティアのおしゃべり会、子育てサロンなどさまざまなイベントが開催されています。ここは、個人が相続した空き家を地域に居場所として貸し出した例。大家さんもやっているうちに楽しくなり、「こまじい」マスターとして中心的な役割を担っています。地域の人々が月300〜400人参加するほど緩やかにつながり、だれもが気軽に参加できるからこそ課題のある人もつながり、必要に応じて専門職につなぐ機会にもなっているとのことで、「こまじいのうち」をモデルに、他の地区でも居場所づくりが広がっているということです。「こまじいのうち」は、町内会のバックアップ機関である駒込地域活動センターと社協が両輪のように立ち上げをサポート。地域の40人が参加する実行会議でコンセプトや名前、利用料をとるかどうかなどを決めてきたとのことで、社協や地域活動センターは地域の中でコアスタッフを見つけ、住民だけで運営できるように支援していることも紹介されました。行政や社協が現場に出ることによって住民主体の世界を広げていく、協働の必要性が訴えられました。
 これに対して原田教授は、住民に丸投げするのではなく、コーディネーターが一緒に協働する、緩やかにたくさんの人が参加できている良さを挙げました。

◎多機関連携で、重複課題にも対応できる全世代型地域包括ケアへ
 長崎市福祉局地域包括ケアシステム推進室 谷美和さん
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 谷さんは、国の多機関型包括的支援体制構築モデル事業を平成29年10月から受けている長崎市の現状を報告しました。同市は被爆者がいるため介護機関が多く、専門職が多いという特色があり、それだけに専門職が地域に出て支える体制できないかと模索してきたことが紹介されました。現在、高齢化率は30%、傾斜地が多いのに山頂部に高齢者だけで住むケースもあり、住み慣れた地域で暮らすために傾斜地にゴンドラをつけるなどの支援策も行っているとのことです。
 多機関型包括的支援体制構築モデル事業では、高齢・障害・子育てなどにワンストップで対応するための相談窓口を設置。個別の相談支援だけでなく、相談のコーディネートや関係機関のネットワークまでを行う予定にしている旨が紹介されました。
 モデル事業となったのは、20カ所ある地域包括支援センターのなかの2カ所、訪問診療を行う診療所や介護や障害の事業所が多い中心部と、事業所が少なくヘルパーがいない周辺部でモデル事業を実施しています。ただ、相談については全市で受け入れています。
 モデル事業では、3人ずつ社会福祉士を配置し、複合的な課題を抱え包括的な支援を必要とする人の把握、ワンストップの相談受け入れなどから、関係機関の地域づくり、資源の開発、周知のためのリーフレット作成などを行っているということです。寄せられる相談は幅広く、1世帯で3つ程度の困難を抱えているケースが多いそうです。
 複合課題を抱える家庭支援例の中から子どもを含む具体例を2例紹介。70代の夫婦と40代の長男、10代の孫の三世代同居世帯では、認知症を発症した妻の介護サービス拒否と祖母の認知症が理解できない孫の振る舞いと不登校、多忙で家事を回す余裕のない長男と家のことに無頓着な夫という現状から課題を整理、孫支援にスクール・ソーシャル・ワーカーも関わるなど、多機関・多職種の連携による分野横断的な対応を報告。さらに、40代夫婦と学齢期の子ども二人、40代の夫の姉の世帯で、要介護認定の妻の介護サービス費や子どもの給食費の滞納と子どもの不登校に対し、生活困窮への緊急支援と生活立て直し協議、税の減免などの手続きへの同行援助などとともに、主任児童委員さんらと家族見守りネットワークを構築しましたが、夫婦の離婚も危惧され、一歩進んだ支援策を継続していると報告されました。これら具体的な例を踏まえ、専門職の連携と対応の質を上げる重要性が課題であると締めくくりました。
 これに対して原田教授は、地域特性を踏まえた仕組み作りを進めている点を評価。改正社会福祉法の施行で各自治体でも地域独自の取り組みが求められる点が参考になると説きました。

【応援団の報告】
 2015年から、3年間で25自治体を、地域包括ケアに子ども・子育ても仲間入りさせてほしいとお願いしながらヒアリングし、子ども・子育てに関する課題に対して地域の理解がないことが最大の課題であると痛感していると報告しました。子育てに目配りがある自治体は、高齢者や障害者などにも目配りするようになると指摘。この3年間の変化を示す例として高松市を紹介。2015年度にヒアリングで出会った子育て支援担当者が高齢・介護担当へと異動、2016年度に別件で高松市を訪れた際に挨拶にみえ、インターンの大学生に「高齢の居場所へ乳幼児親子も行きたくなるような方法を考えてほしい」とお願いしていると報告された。2017年度には地域に多く置き込んできた高齢者の居場所を多世代共生型に活用しようと、居場所づくりガイドブックを高齢部署と子育て支援部署の共同企画で作成、そのお広めを兼ねた高齢者支援関係者と子育て支援関係者の交流の場として、地域まるごとケア・プロジェクトの地域人材交流研修会を開催したことを報告しました。

【閉会挨拶】
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 にっぽん子育て応援団の樋口恵子団長が挨拶。人生100年時代の出生から墓場まで、スタート地と終着地は地域しかなく、子どもと年寄りの共通点は徒歩圏内の地域で似たようなものであることを改めて指摘されました。その上で、「社会はファミレス(=家族が少なくなる)化している」と問題提起。家族の構成員が少なくなると地域とのつながりもなくなるコミュレス化(=コミュニティにもつながらない)し、孤立しやすい社会となりつつあると分析しました。血縁がなくても地域をご縁に支え合う社会になれるかどうかによって、21世紀も日本の豊かな社会が持続されるかどうかも関係していると説きました。
 また、高度経済成長期に企業が経済発展に目を注ぐあまり家庭から父親を取り上げたこと、女性の就労の権利と義務を奪い専業主婦を最もよい生き方とする文化をつくったことを振り返りつつ、にっぽん子育て応援団が地域包括ケアの中に子ども世代も入れるべきだと提案してきたこと、その上で、「地域が変わらないと絶望的」「地域こぞって子育てを」と指摘しながら、子ども食堂に高齢者が乗るという新しい流れも出てきていることを評価。やがて生まれてくる子どもたちのこれからの100年を大事にするためにも、地域が重要であり、地域の欠点も見つめつつ克服する必要があるとし、同時に、障害があってもなくても障害を感じさせない、障害を感じないで生きていける社会をつくる覚悟を表明、一人一人が主人公であると説きました。

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2018年02月23日

地域まるごとケア・プロジェクト2016年度報告書。

にっぽん子育て応援団が、公益財団法人さわやか福祉財団から委託を受けて2015年度からスタートさせた地域まるごとケア・プロジェクト2016年度報告書をアップしました。
2016年度調査概要と問題提起・提言.pdf

2016年度ヒアリング調査結果(芽室町・仙台市・藤沢市・知多市).pdf

2016年度ヒアリング調査結果(奈義町・高知県・北九州市・豊後高田市).pdf

2016年度報告会.pdf
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2017年12月22日

2017年度企業・団体サポーター交流会を開催します。

にっぽん子育て応援団2017年度企業・団体サポーター交流会は、イクボスの育て方(ダイバーシティ・マネジメントができる人材育成)をテーマに、にっぽん子育て応援団団長及び企画委員によるパネルディスカッションを行います。
基調講演は安藤団長、パネルディスカッションのコーディネーターは勝間団長が務めます。

日 時: 2018年2月26日(月) 17:00〜19:00(開場16:30)
会 場:日本航空株式会社本社 14階 会議室
(東京都品川区東品川2-4-11 野村不動産天王洲ビル 
        りんかい線・東京モノレール 天王洲アイル駅徒歩)
対 象: 企業・団体サポーターご担当者、上司の方、若手社員の方々
      ※ 企業・団体サポーター登録をご検討いただいている方もご参加いただけます。

参加方法: 2月19日までにお申し込みが必要です。
企業・団体サポーターの社員・職員のみなさま   無 料 
登録をご検討の企業・団体の方           3,000円 

お申し込み&お問い合わせ先:
にっぽん子育て応援団
 info@nippon-kosodate.jp


企業サポーター交流会

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2017年11月24日

緊急フォーラム「大変だ! 子どもの未来が崩れそう」を開催しました

にっぽん子育て応援団緊急フォーラム
「大変だ! 子どもの未来が崩れそう」

 にっぽん子育て応援団は10月1日、東京家政大学板橋キャンパス120周年記念館1階多目的ホールで、緊急フォーラム「大変だ! 子どもの未来が崩れそう」を開催しました。フォーラムでは、子育てひろばや行政などから子ども・子育て支援の現状について報告が行われた後、ふるさと納税や企業の社会貢献活動など子ども・子育ての財源を確保する手法が提案され、すべての子ども子育て家庭に支援が行き届くようすべての大人で負担を分かち合うよう求める緊急アピールを採択しました。

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◎パネルディスカッション「これが子育ての現実だ」
 NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事の岡本聡子さん、沖縄県南風原町民生部こども課長の前城充さん、兵庫県明石市福祉局こども総合支援部長の佐野洋子さん、東京家政大学短期大学保育課准教授(女性未来研究所研究員)の平野順子さん、東京家政大学子ども学部長(小児科医)の岩田力さんがパネリストとなり話題提供。コーディネーターを団長の安藤哲也、勝間和代が務めました。

 まず、岡本さんがご自身(ふらっとスペース金剛)の実践について紹介。大阪府富田林市内で2003年から地域子育て支援拠点事業4か所を運営、現在は市から養育支援家庭訪問事業(育児ストレス、産後うつ病等で不安や孤立感等を抱える家庭に子育て経験者等が訪問し育児・家事の援助をしたり、保健師等が指導助言し、家庭の諸問題の解決、軽減をはかる事業)を受託し、今年6月からは大阪府から委託を受け児童虐待の通報を受けた児童の安全確認業務を行っていることを明らかにしました。
 その上で、ひろば全協が地域子育て支援拠点の事業所240団体、母親2400人(1175人が回答)に実施したアンケート調査の内容を報告。利用者は35〜39歳が多く、仕事はしていない利用者が9割だが、うち2割は育児休業中で、ひろば利用者は在宅子育て世帯だけではなくなっている現状にあることなどを紹介しました。そして、アンケートで発見されたこととして、7割の母親が自分の生まれ育った市町村以外で子育てしていることを挙げ、これを「アウェイ育児」と呼びました。「アウェイ育児」では、近所で預かってくれる人が少ないなど孤立感の中で子育てしている割合が高く、アウェイ感を増大させていることにも触れました。子どもが少なくなるほど親の孤立感は深まり負担感は増すとして、親に寄り添う支援の必要性が強調されました。そして、育児休業や多様な働き方をする子育て家庭への支援のためにも保育所や家庭的保育などと拠点が連携していく必要性を訴えました。
 南風原町の前城課長は「子どもの人権を考える〜ひとりぼっちの子どもがいないまちを目指して」と題して南風原町の取り組みについて報告しました。人口3万8000人の同町は人口30万人の那覇市の右隣に位置し、生活圏は那覇市と重なる。子ども施策に力を入れているため移住が多く、平均年齢34歳の若い町で合計特殊出生率が2.07と人口が増え続けている町でもあります。全国と比べて貧困率が高い沖縄県において、同町では子どもの貧困対策を「孤立対策」と呼んで取り組んでいます。貧困の課題として、若年出生率、高校不登校率、高校中途退学率、中卒後の進路未決定率の高さに注目。同県では離婚率が高いが、その理由は夫の生活力がないことであり、その点は中卒とも関連。一人親家庭では、昼間働く場がないために夜の仕事に就き、子どもは夜、親がいない寂しさから特定の家をたまり場とし、夜間徘徊や非行に発展、不登校が増えるという連鎖が生じる。中学校で不登校のまま卒業すると若年出産にもつながるなどリスクが高いと認識、小学校の不登校児をフォローしてゼロにするか、孤立する子どもを減らすという観点で包括的に取り組んでいる旨を報告しました。平成28年度からスタートしたのが「子ども元気ROOM」。365日、夜22時まで支援を必要とする子どもに対応し、生活指導、学習支援、食事の提供、キャリア形成などを実施している。養育支援のために送迎も実施。保護者は最初、拒否反応を示すが、子どもが安定してくると心を開き保護者も変化していることなどが報告されました。
 明石市の佐野部長は、「こどもを核としたまちづくり」について報告しました。神戸市に隣接した明石市の合計特殊出生率は1.58で人口とともに上昇中。子どもを核としたまちづくりとして、次々と施策を展開していることで、子育て世帯が流入し、税収が増加、戸建て住宅の新築やマンションの建築などによる地価の上昇、町のにぎわいなど好循環が生まれていることを報告しました。明石市長は、子ども施策にお金を投入すると、それは必ずまちづくりにつながるとの信念をもって取り組んでおり、現実に町が元気になっていると自分も感じると話しました。
 その上で、子どもを核としたまちづくりの理念について言及。@すべての子どもを対象とするA支援の必要性も多様化しているので、子育ては親だけに背負わすものではなく地域みんなで支えるB親目線や行政のやりやすさの視点ではなく、子ども目線で考える――との3つのポイントを挙げました。そして、市ができることはあれもこれもすべてやると、総合支援を進行していることを強調しました。具体的な施策としては、早期の気づきと対応策として妊婦の全数面接を実施、地域での子ども食堂の展開、困難な状況におかれた子どもへの支援として無戸籍をはじめ様々な支援。教育の充実として30人学級の導入、経済的支援として医療費の無料化、第二子の保育料の所得制限なしの無料化、社会的養護が必要な子どもへの支援に里親プロジェクの展開。31年4月には中核市となるので、児童福祉法改正後初の児童相談所設置を目指していることも明らかにしました。また、明石市こども総合支援条例には、支援が必要なこどもへの取り組みも条文化し制定していることを報告しました。
 事例を受けて平野准教授が現状から見えてくる家族の変化や現在の子育ての問題を整理。現在の子どもや子育て家庭は様々な社会の影響を受けやすく、家族がセーフティネットとなりえていないことを指摘。世帯の小規模化、単身化が進んでいる。若年層の経済的不安定化が進み共働き率が上昇しているが、何かあった時に経済的に不安定な状況に陥りやすい点も指摘した。子育て家庭の孤立化も進み、子育ての悩みを相談できる人がいるという人が2002年から2014年で減少し、子どもを通したかかわる人がいない人も増えている。その一方で、家庭での育児が女性に偏っている。子育てでイライラする人が増えている。
 各国の家族関係社会支出の対GDP比をみると、日本全体では子どもにお金をかけていない。過去と現在を比べて家族が変化し、子育てをしている親の意識も変わっているが、周囲の意識は変わっていない点も挙げました。若年層は家庭を持つ事を想像できないだけに、家庭で育児をする場合の実質的な後ろ盾が必要だと説きました。
 さらに、岩田子ども学部長は、小児科医と保育士の専門性の共通点について言及。小児科医は、子どもの健康発育・発達にかかわりながら、子どもが自分の可能性を引き出せるよう関与し、子どもや家庭の健康や福祉の支援に関与するだけではなく環境にも関与する必要があること、子どもは社会の再弱者だけに不利益を被りやすく特別な注意を払う必要があることなどは同じであり、保育士も専門性を社会に訴えていく必要があることも説きました。

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◎提案タイム「まずお金! 財源について考えよう」
 小泉進次郎衆議院議員らが「こども保険」を提起したことを受け、多様な財源確保の在り方を提起し議論する予定でしたが、衆議院解散が決まったことから小泉議員が欠席となり、「こども保険」についてはコーディネーターの奥山千鶴子企画委員が説明。多様な財源の在り方については、東京都文京区(ふるさと納税の活用)、住友生命保険相互会社(企業の社会貢献活動)、日本労働組合総連合会(拠出金制度など)から発表がありました。
まず、「ふるさと納税 目的は困窮子ども家庭の生活支援」と題して、東京都文京区子ども家庭部の鈴木裕佳・子育て支援課長が説明。29年度重点施策として子どもの貧困対策に取り組む同区で、いくつかの機関を連携して「こども宅食プロジェクト」が始まったことを報告しました。ふるさと納税寄附受付前の初期経費は村上財団、広報についてはNPO法人フローレンス、対象とする貧困世帯への周知は文京区が行い対象者は個人でフローレンスに申し込む。RCFが食材を調達し、NPO法人キッズドアが食材を梱包・配送するなど役割分担して連携している。同事業は、食材を届けることを入り口として定期的に訪問することで気付きを得る。虐待等のリスクに陥る前の支援につながると期待している。貧困対策に出遅れていた同区で様々な施策の総合展開を検討する中、人知れずに届ける工夫はないかと思案。同じくして貧困世帯へのアプローチに限界を感じていたフローレンスから、こども宅食のアイディアが持ち込まれ、ふるさと納税で財源が作れないかかと提案があり実践。ガバメントクラウドファウンディング(ふるさと納税)で2400万円の寄付を集めたが、寄付者からは文京区ということではなく、貧困対策の成功事例を作って全国に届けてほしいとの意見あり、社会的課題に財源をどう集めるかという観点で一つのアイディアになるのではないかと問題提起しました。
次に、住友生命保険相互会社の松本大成・ソーシャルコミュニケーション室長が、「未来を強くする子育てプロジェクト」について説明。事業がスタートして10年経過したが、同社プロジェクトの受賞を契機に周知され、自治体の委託事業を受けるなど息の長い活動になることを期待して支援していることを説明。全国の団体等を直接支援したくとも財源には限りがあるため、表彰制度を通じてアイディアを発掘し世の中に拡がることを期待している旨を明らかにしました。
 また、連合の平川則男総合政策局長が、「子ども子育て支援の財源について」と題して意見発表。社会保障制度は社会保険料と税により財源が賄われていますが、社会保険料のうち半分は従業員(被保険者)が負担しています。686万人の組合員がいる連合は最大の被保険者の組織で社会保障制度に積極的に関与する役割があると説きました。子ども・子育て支援の財源に関しては、新制度の準備段階の検討にも参画して様々な勉強会を開催、「前提として社会保障税一体改革をやってもらいたい」と現行の新制度の遂行を求めました。その上で、さらに拡充すべきサービスとして待機児童解消と保育人材の確保に言及、幼児教育の無償化はその後の検討課題としました。これ以上の財源確保に関しては、「社会全体で支えるということでは税による財源確保が原則」とし、それに加えて子ども・子育て拠出金(事業主と国民による拠出)の創設も含めた方策も考えるべきと指摘。小泉議員らが提唱する「こども保険」については、「子育てをリスク化と捉える点で抵抗感がある」と訴え、拠出金という仕組みで国民が負担し子ども・子育てを支えることが可能なのか検討する必要があると説きました。
「こども保険」について奥山企画委員が説明。消費税の10%引き上げ分から子ども・子育て支援新制度に充当する7000億円は増税が実現していない段階ですでに使われており、さらなる財源確保が必要だと「こども保険」を打ち出したこと、社会保険料0.1%増で3400億円の財源が確保され就学前の子育て世帯に対し月5000円程度の軽減が可能となり、0.5%増では約1.7兆円が確保され月2万5000円程度の負担軽減となり実質的に幼児教育が無償化される、1.0%増で約3.4兆円が確保されさらに踏み込んだ子育て支援も可能になると試算したこと、社会保険料として厚生年金、医療保険、介護保険、雇用保険、こども保険が並べられたときに子どもへの支援の少なさが顕在化する効果も狙っていることなどを紹介しました。

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 これらの意見を受けて参加者が数人のグループになって意見交換。多様な財源確保の手段があること、財源の使われ方にも注意する必要があることなどの意見が出されました。
 奥山さんは、「にっぽん子育て応援団では子どもの財源をいかに集めるか、財源確保に向けて引き続き、取り組んでいきたい」と訴えました。

◎アピール
 参加者の賛同を得て、安藤哲也団長と勝間和代団長が「現世代のすべてのおとなたちで負担を分かち合い、子どもの未来を拓くための緊急アピール」を読み上げました。

現世代のすべてのおとなたちで負担を分かち合い、
子どもの未来を拓くための緊急アピール

子どもは未来からの預かりものです。
そして、今のおとなたち、私たちの誰もが、かつては子どもでした。
私たちが今、ここにあるのは、生み育ててくれたおとなたちがいてくれたからです。自分では何も出来ず世話が焼け、騒がしく周囲に迷惑ばかりかけていた私たちを慈しみ、手も声もかけ、居場所を作ってくれた、家族と地域のおとなたちのおかげで、今があります。
新たに生まれて来るいのち、今を健気に生きているすべての子どもたちの成長を、すべてのおとなたちが手をつなぎ、心を寄せ合うことで、この社会全体で支えていこうではありませんか。それこそが、未来を拓くことにつながります。

子ども・子育て支援や教育について、これから非常に重要な議論が行われようとしている今、今日緊急フォーラムに集った私たちは、子どもの最善の利益の観点から、

○ すべての人に開かれた機会を確保するためには、「すべての子どもと子育て家庭に行き届く支援」が必要であり、具体的な政策の立案に当たっては、様々な困難を抱える子どもや子育て家庭に行き届き、決して取り残されることのないよう構築されること

○ 子どもの育ちを支え、応援していくためにも、そのために必要な経費については、今を生きる私たちすべてのおとなの責任で負担し合うこと

が重要であることを確認し、ここに宣言します。

2017年10月1日
にっぽん子育て応援団
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2017年11月20日

地域まるごとケア・プロジェクト2015年度報告書

にっぽん子育て応援団が、公益財団法人さわやか福祉財団から助成を受けて2015年度からスタートさせた地域まるごとケア・プロジェクト2015年度報告書をアップしました。

2015年度報告書
 2015年度報告書調査概要と問題提起.pdf
 2015年度報告書提言.pdf
 2015年度報告書ヒアリング調査結果(北見市・大船渡市・世田谷区・名張市).pdf
 2015年度報告書ヒアリング調査結果(東近江市・雲南市・高松市・臼杵市).pdf
 2015年度報告会.pdf
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2017年10月16日

2017年衆議院総選挙に向けた子ども・子育て支援政策に関する政党アンケート

10月10日に公示、10月22日が投票日となる衆議院総選挙。8政党に向けて子ども・子育て支援政策に関するアンケートを行いました。10月19日現在、7政党から回答をいただいています。
今回の設問は極めてシンプル。以下、アンケート調査票の内容ごとに回答をご紹介します。

各政党の選挙公約・マニフェスト・政策方針

自由民主党
公明党
立憲民主党
日本共産党
社会民主党
希望の党
日本維新の会
日本のこころ

設問1.貴政党の子ども・子育て支援政策について教えてください。

・今回、衆議院は「子育て世代への投資を拡充するため」という理由で解散されました。
しかし、その使い途として示された「幼児教育無償化」「高等教育の負担軽減」が、
現状において最優先の子ども・子育て政策の課題なのかについてはまだ十分な議論がなされておりません。
貴政党では、子ども・子育て支援政策についてどのようにお考えでしょうか。
優先度や本気度をお尋ねいたします。

2017政党アンケート設問1回答.pdf

設問2. 子ども・子育て支援政策の財源確保について教えてください。

2-1 安倍自民党総裁は「消費税10%になるときの増収分のうち、国債の返済にあたる部分を減らして子ども・子育て世代への支援に充てる。その額は2兆円程度を見込んでいる」と発言されたと報道されています。こちらの提案に対する、貴政党の具体的な政策案をお聞かせください。

2017政党アンケート設問2-1回答.pdf

2-2 10月1日に行われた弊団主催の緊急フォーラムでは、子ども・子育て支援政策に必要な財源をどのように確保すべきかについて、いくつかの提案がなされました。また「負担を次世代に先送りすべきではない」という趣旨の緊急アピールが採択されております。
以下うち、貴政党のお考えに最も近いものを選び、理由や具体的な政策をお聞かせください。

1 消費税率のさらなる引き上げ   2.「子ども保険」(またはそれに準ずる社会保障制度)
3 拠出金制度の拡充や課税の見直しによる企業負担の強化
4 クラウドファウンディングなども活用して広く寄付を募る

2017政党アンケート設問2-2回答.pdf

2-3 にっぽん子育て応援団は子ども・子育て支援の財源をGDP比2〜3%への充実を目指して活動してきました。子ども・子育て新制度に必要と言われた1兆円の充実はその第一歩と考えていましたが、いまだ実現しておりません。いつ頃1兆円確保される見通しでしょうか。具体的にお聞かせください

2017政党アンケート設問2-3回答.pdf

設問3. 「子ども・子育て支援新制度」の質の向上について教えてください。

・私たちは、担い手の処遇改善や専門性の向上などの質の向上なくしては、サービスが必要な人に行き届く量の拡充の実現も難しいと考えますし、新制度の円滑な推進の要として必要だと考えています。質の向上の必要性についてのお考えについて、財源も含めて、お尋ねします。
2017政党アンケート設問3回答.pdf

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2017年07月03日

にっぽん子育て応援団結成8周年記念フォーラム報告記

 にっぽん子育て応援団は5月28日、「すべての子どもたちが愛されて育つ社会づくりへ」と題した結成8周年記念フォーラムを東京・港区の明治学院大学白金キャンパスで開催しました。フォーラムでは、児童福祉法改正をテーマにした松原康雄・明治学院大学長の基調講演や、子ども家庭福祉分野の実践者を招いたパネルディスカッションが行われました。全国から参加してくださった100名の方々は、行政担当者、子育て支援者、研究者、学生、そして当事者と多彩で、参加者アンケートには熱いメッセージが寄せられました。

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【基調講演】
「すべての子どもたちと子育て家庭に手を差し伸べる社会へ
〜児童福祉法改正と新しい子ども家庭福祉〜」


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 今回(2016年施行)の児童福祉法改正の在り方について審議した厚生労働省社会福祉審議会の委員会「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会」の委員長を務められた松原学長に本会の法改正の背景やポイント、これからの子ども家庭福祉のあり方についてお話しいただきました。

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 まず松原学長は、子ども・子育て家庭に関する課題として、少子化(第3次ベビーブームは出現しなかった)、子どもの貧困の広がり(平成24年度の子どもの相対的貧困率(=所得中央値の50%を下回る所得しか得ていない者)は16.3%でひとり親家庭の子どもの貧困率は54.6%)、子ども虐待の増加(子ども虐待の定義が見直され夫婦間暴力が心理的虐待と位置付けられたことから警察署経由の虐待が急増している)などを挙げました。
 その上で、児童福祉法はこれまで適宜改正されてきましたが、今回は「少しずつ改革することでは間に合わない」と急速なパラダイムシフト(考え方の対転換)が図られたと指摘しました。
 改正児童福祉法の大きなポイントは、子どもの権利が認められたことで(第1条)、児童の市民的権利や保護される権利も意識されていると説きました。また、第3条の2では、家庭的な環境での養育の重要性について言及し、国や市町村の役割を挙げていることにも触れました。具体的な措置としては児童相談所の強化で、平成30年を目途に設置自治体を拡大します。
 また、支援にあたっての重要な視点は、「子どもの力、親の力をいかに信頼するか」と支援者が当事者を信頼する重要性を指摘しました。児童養護施設の第三者評価モデル実施に際して、高校生が「初対面の人に本音は言えない」と意見したことからアンケート方式が採用となるなど、子どもたちは力を持っていることを強調しました。さらに、必要に応じて現存の新たな子育て支援活動を生み出してきた親の力も信頼するよう述べました。そのように当事者と支援者らネットワークを組んで子どもを育てることを「協育」と表現しました。
 さらに、子育て支援事業は当事者にはぜいたくなサービスだと思われているため、「必要な支援は使ってよいとの認識が社会的に共有されることが重要」と説き、それだけに当事者がすぐ情報にアクセスできる使い勝手の良さが重要だと指摘しました。その上で、「最後の課題は来ない人をどうするか。当事者が根負けして扉を開けるまで待つ必要がある」と粘り強い取り組みが重要なことを訴えました。当事者とコンタクトを取り続けるためのサービスを開発する必要があるとして、離乳食の宅配などのアイディアも例に挙げました。最後に、「子育てしやすいまちは、子どもが豊かに育つまち、子どもが豊かに育つまちは、高齢者や障害を持った人も暮らしやすいまちだ」と訴えました。

【パネルディスカッション 子ども家庭福祉のこれから】
 「すべての子どもが愛されて育つ社会に求められること」


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 松原学長の講演を受け、子ども家庭福祉の実際とこれからの展望についてさらに理解を進めるべく、立場の違う現場の実践者及び当事者をお招きし、パネルディスカッションを行いました。コーディネーターは、にっぽん子育て応援団団長の樋口恵子と勝間和代が務めました。

◎行政レクチャー「児童福祉法改正に伴う新しい動き」
 パネルディスカッションの冒頭、厚生労働省雇用均等・児童家庭局の吉田学局長が、子育て支援施策の動向について説明しました。まず、少子化社会対策大綱や子ども・子育て支援法、一億総活躍社会、働き方改革など、直近の課題群を挙げ、これらの施策が様々な課題を総合的に進めようとしていると整理しました。平成27年からスタートした「すくすくサポートプロジェクト」でも、ひとり親家庭や多子世帯などに対し、様々な施策を組み合わせて総合的に支援しながらも一人一人に寄り添う支援にも配慮している点を挙げました。その上で、「漸進的な取り組みでは間に合わないので、スピードを上げてやろうというのが今の段階」と言及しました。

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 また、子ども・子育て支援新制度については、地域によって異なるニーズにどうきめ細やかに対応するかがカギだと指摘。一億総活躍プランでは、働き方改革と子育て支援が一つになっており、保育と女性活躍、母子保健分野が盛り込まれていることを挙げました。
 さらに、高齢者施策を中心に、地域における包括支援の動きが進んでいることにも言及し、多職種連携が求められていると説きました。その際、顔が見える関係になるだけではなく、腕(何ができるか)が見える関係となり、腹(やる気)が見える関係なって初めて信用できると強調し、「そこまでいかないと地域では連携できない」と指摘しました。そして、子どもを地域で支援されてきた方々の間で連携を深め、さらに地域の実情に応じて高齢者や障害者、生活困窮者など分野を超えたコラボも始まっているとのコメントがありました。
 ここまで国が様々な施策を打ち出してきましたが、「制度や事業を活用するにしても、なによりも地域の皆さんがどう実践するかこそが大事」だと指摘。利用者にとってニーズに対応した取組みは、地域での実践事例から生まれてくるとして、それをどのように広げていくか期待していると訴えました。

◎パネルディスカッション

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 吉田局長の説明を受け、泉房穂・明石市長(兵庫県)、千葉県中核地域生活支援センターがじゅまるの朝比奈ミカ・センター長、埼玉県朝霞市子育て支援センターおもちゃ図書館なかよしぱぁくの住田貴子・施設長がそれぞれの実践を報告しました。
 まず、泉市長が市の子ども施策の特徴と考え方について説明しました。「親がお金を持っていたとしても、子ども自身がお金を持っているわけではない。だからすべての子どもを支援する。やれることは全部やる。それがまちの発展につながる」と子どもにシフトした施策を打ち出してきたことを明らかにしました。
 市が行った施策は具体的には、いわゆる一般的な子育て世帯が住みやすいまちとすることです。「子育てするなら明石」と銘打ち、子育て支援に特化した予算を編成(こども医療費の無料化、保育所保育料の2人目以降の無料化、中心地への児童養護施設配置、駅前への児童相談所配置予定、全小学校区に子ども食堂設置、里親100%など)しました。神戸市から明石市に引っ越せばこどもにかかる医療費等の負担が激減し、使えるお金が増えるといった比較広報を行ったことにも言及しました。
 こうした泉市長の行動の原点は、40年前にさかのぼります。障害を持つ弟に対し、遠くの学校へ通うよう行政が措置しました。最終的に近くの公立学校に通えることになりましたが、登下校をともにした泉市長は、「何かが間違っている。もう少し優しいまちにならないか」と考えてきたことを紹介しました。これは行政サービスが個人ではなく世帯で提供されることの問題だと認識。「子どもが親の持ちもの」となっている状況は現代も変わらないと指摘しました。そこから、離婚の際に最も不利益をこうむるのは子どもだが、その子どもを支援する仕組みがないとして、社会システムを作るために市長になったことを紹介しました。
 子どもへの予算シフトによって、明石市では人口が下げ止まり、人口が増加するほか、出生数も増加し、財政状況も好転していることが紹介されました。「すべての子どもたちをまちのみんなで育てる。親のものではない」と訴えました。

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 朝比奈センター長は、同センターの経緯について紹介。平成16年、堂本暁子知事時代にどんな相談でも応じる事業として誕生し、県の単独予算で整備されてきました。生活困窮者自立支援法ができる前、制度別の支援策が充実していても、現役世代の支援が少ない、複合した問題を抱える家族全体にかかわる仕組みがないという中で生まれたことが指摘されました。
 中核センターは、平日の日中以外でも相談支援を行うことが役割。がじゅまるは、市川圏域(市川市、浦安市)約60万人を対象とし、少ない職員でどうすれば相談を受けられるかを常に考えてきたと述べました。子育て家庭への支援では、精神疾患や軽度知的障害があるなど社会生活能力に不安のある世帯へのかかわりなどが求められたことを紹介。軽度の知的障害で障害者手帳を持たないなど、制度の狭間にある層へ支援してきたことが挙げられました。
 その後に始まった国の補助事業である「よりそいホットライン」には1日2万件を超えるコール。8〜9割程度は行政窓口に相談しているが、聞いてもらえなかったケースが寄せられていると指摘されました。若年層には電話だけでは不十分とチャットやツイッターも活用。繰り返しの相談の末に地域の社会資源につなげていく際には、関係機関に一緒に出向いてつながったことを確認するといった出張型の支援も実施しているとのことです。
 支援の基本は、「その人の人生を理解するように努めること」として、対象で分けたり、時間で区切ったり、主に親族が担ってきた支援(病院の付き添いなど)も軽んじずに行うことが重要だと指摘。生活のしづらさの背景には愛着形成の不全や発達障害などが想定されますが、社会的なふるまいが身についていくことで対人関係が好転し自己肯定感も上昇していった事例があることを挙げ、「寄り添うとは、その人の人生につきそっていくこと」と説きました。
 これからについては、家族の構成員が少なくなってきているからこそ、いろいろな大人と出会う場となる地域は重要と指摘。ただ、地域共生社会の中で、「消極的な拒否」など地域活動に参加しない人をどうするかも課題となっていることに言及しました。子ども食堂に対して、「あそこは貧しい子どもが行くところ」とレッテル貼りをして理解し合えない状況があることを挙げ、「想像力と仕組みの不全は社会的に弱い立場の人にしわ寄せがいくと思い相談活動を続けている」と述べました。

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 住田施設長は、「親育ち、子育ちを支える場所」と題して、なかよしぱぁくの成り立ちと活動について説明しました。1992年、「障害のある子に豊かな放課後を過ごさせたい」と「なかよしグループ」でレクレーション活動を開始。それがのちに障害児学童に。2010年には学齢期の障害児向けのおもちゃ図書館「なかよしぱぁく」を作り、2013年には障害児学童やおもちゃ図書館の実績が認められ、市の委託を受けた子育て支援センターとなったことが報告されました。その一方、障害者の働く場として「なかよしかふぇ」をオープン。法人のベースとなっている障害児学童は、療育や訓練ではない毎日の遊びの場であり、親兄弟も含めて一つの大きな家族となるように運営されてことにも言及しました。
 自身の活動については、長女が生まれると長男はイライラするようになり、周囲では支援が必要な家族と思われてきたと振り返りました。長男は3歳で自閉症と診断を受け、おもちゃ図書館に通うようになる一方、通い始めた保育所で慣れない障害児保育に保育者が退職する事態となり自身も保育士資格を取得したということです。
 おもちゃ図書館とは、障害のある子どもたちにおもちゃのすばらしさと遊びの楽しさを伝える場。通っていたおもちゃ図書館は家でも遊べるようおもちゃを貸し出しており、利用者は障害のある子、その兄弟と親だけで、居心地のよい空間でした。それだけに、子育て支援センターとなり、自法人だからこそできる居心地のよい子育て支援を推進。約束事は最低限として、ふだんからコミュニケーションをとって情報共有を図るよう運営されていることを挙げました。
 利用登録は1100組を超えており、登録者には明確に障害がわからない子どもも多いということです。支援にあたっては、子どもが持って生まれた育てにくさや親子の相性など、親の困り具合に応じてサポートする柔軟性を重視している旨を報告しました。日常的にコミュニケーションを取り合うことで、自分の子どものことしか見えていない母親でも、子どもとの付き合い方を学ぶようになり、その後ほかの母親を支援する側にまわる。母一人で相談にくる場合でも、自分のために時間をとってしまって申し訳ないと思わないようにサポートを依頼、再び相談に来やすくなると説きました。
 ただ、最近、「本当に支援が必要な人にとってセンターは敷居が高い場所になっているのではないか」と自省。本当の支援とは何かについて悩んでいると話しました。その一つが、障害児を取り巻く環境の変化。放課後等デイサービス制度がスタートし、保護者がサービス事業者に丸投げしている状況が見受けられます。特別支援学校前にはデイサービスの送迎バスが並び、障害児たちが各々施設へと送り届けられる。仲の良い友達同士が一緒に食事をとったり、保護者が他の成長を見守ることも少なくなっているのではないかと問題提起しました。「自分の子もかわいいが、他の子もかわいいと思える経験が必要。子どもに障害があっても周囲のサポートを得て子育てを楽しめる社会になってほしい」と訴えました。

◎ディスカッション

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 まず、勝間和代団長が、産後うつの母親に対して具体的にどんな支援が可能か問いかけました。
 吉田局長は、子育て世代包括支援センターで情報を収集・発信するほか、こんにちは赤ちゃん事業で母子保健関係者が目配り。平成29年度から、アウトリーチ型の産後ケアもスタートしていることを紹介しました。
 泉市長は、新生児親子の面談は必須だが、母子健康手帳を取りに来ない保護者には、担当者が渡しに行き、連携を持つことを報告。自殺願望の親に対しては、保健師を中心に家事援助など総合的な支援を実施。児童手当は振り込みとせず、支給するときには子どもの健康を確認。健診に来ない場合には家庭訪問を実施して子どもを視認していることも明らかにしました。母親の負担を軽減するために、ショートステイの受け入れ施設も充実させたことを明らかにしました。
 朝比奈センター長は、新生児全戸訪問で心配な家庭は挙げられるはずなので、行政と民間が力を合わせてフォローする必要があると指摘。自殺願望のある保護者に対して、継続して関わりを持つことで背景に抱えているものを探っていくしかないと指摘しました。
 住田施設長は、全戸訪問でハイリスク家庭も含めて把握されるが、上の子が障害児で行政とのつながりがあったとしても、母親が育児疲れでハガキを出していないといった場合、下の子が行政の支援の手からこぼれるケースもあると問題視しました。

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 次に勝間団長は、パネリストに個別の問いを投げかけました。
泉市長には、子どもの財源を持ってくるにはどうしらよいのかと質問、泉市長は、一般的な世帯でも1%程度は無理してでも子どものために使っていると想定し、市役所でも同様に、2000億円の年間財政のうち20億円を子ども向け予算として最初に確保していることを紹介しました。

 朝比奈センター長へは、制度のはざまからは何が抜け落ちているかと問いかけました。
 朝比奈センター長は、「家庭基盤の弱い子が課題」と指摘。また10歳代後半以降の対応も社会的課題としました。点々と居所を変える世帯は近隣が気づきにくく、行政が追えないために支援の手からこぼれやすいと言及しました。
 これに加えて泉市長からは、明石市では希望者に対し児童扶養手当は毎月届けることとし、家庭に届ける際に、家計簿支援を行う取り組みを始めた旨を説明。一人親家庭が現況届を出す際に、500円の図書券を渡す代わりに2時間の相談を組み込むなど、マンツーマンの相談支援を行っていることを紹介しました。

 住田施設長へは、弱い人が排除されない社会づくりに向けた具体的なヒントを問いました。住田施設長は、障害児を育て大変な思いをしていた時、近くの保育所の一時保育につれていくと保育所ではプール遊び中で、水大好きな長男が服のまま飛び込んでしまったところ、園長はとがめだてせずに「水好きでいいね」と言いながら服を脱がせて受け入れたエピソードを紹介し、禁止事項を挙げずにコミュニケーションをとって受け入れることの重要性を挙げました。

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 これらを受けて吉田局長は、地域社会づくりのためには場所や人が大事だが、実際には進んでいる地域と進んでいない地域があり、行政としてシステムを作ることはできても、アセスメントがないと個別対応は難しい。実践していただく方々には、専門性とスキルと志がないまぜになって求められる。制度をつくる場合には、それぞれの地域で柔軟に活用できる余地を入れながら、全国に広げられるように考えたいと話しました。
 また朝比奈センター長は、基盤の弱い若年層の拠点がほしいと主張。地域の中に子どもたちの育ちを見守る際、成長すると答えが一つでない不協和音が出る。連携が必要だが、「みんなが同じミッションでつながるとがちがちになるので工夫が必要」と指摘しました。
 勝間団長は、当事者や行政の意見を聞くことで現実問題として何か抜け落ちているのか、どう連携するのかが分かったのではないかとまとめました。

◎締めくくりの挨拶

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 樋口恵子団長は、子どもに予算が少なすぎると立ち上がって8周年、先進国の中でも低かったが、少子化のプレッシャーもあり、社会保障に位置付けられ、子ども関係の予算がたちあがり、困難を抱える子どもにも目が向けられるようになったことを振り返りました。子ども・子育て支援新制度がスタートし、「制度が変われば社会は変わる。ほんの一部かもしれないが、社会の仕組みが変わると人々の意識も変わる」と指摘し、今後に期待を寄せました。「8年目はまだ夜明け。人間の命を守る、人間の安全保障は主として厚労省に頑張ってもらいたい。私たちも頑張る。いつの時代でも最も被害にあっているのは子ども。全ての命が愛され認められ、褒められ自信をもって生きていける社会をみなさんと創っていきたい」とまとめました。
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2017年03月22日

2016年度地域まるごとケア・プロジェクト報告会開催しました。

にっぽん子育て応援団 2016年度地域まるごとケア・プロジェクト
地域包括及び子育て世代包括ケア先進自治体調査と地域人材交流研修会開催報告会


 にっぽん子育て応援団会は2月5日、「支え合いのコミュニティがかたちづくる地域まるごとケア〜子ども・子育ても、地域みんなの課題です〜」と題して、2016年度地域まるごとケア・プロジェクトの報告会を、東京・虎ノ門の発明会館ホールで開催しました。全国から135名の方々が参加、保育室は3組3名の利用がありました。
 2016年度の報告会では、基調講演に「地域まるごとケア」の提唱者である東近江市永源寺診療所長の花戸貴司さんをお迎えし、「誰もが地域でその人らしく生きていくことが出来る社会」、地域を目指すことを、参加者全員で確認する会となりました。
 なお、調査報告とともに、報告会での基調講演をはじめとする全文文字起こしを掲載した2016年度報告書を、3月末からお分けする予定です。

【開催挨拶】公益財団法人さわやか福祉財団理事長 清水肇子
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 公益財団法人さわやか福祉財団の清水肇子理事長が挨拶。90年代から今の時代にあった地域の支え合いの仕組みづくりに取り組んできた同財団では、高齢者中心の活動ではあったものの当初から子育ち支援も視野に入れてきた旨を紹介しました。その上で、制度面では少しずつ充実しているがまだまだ政策提言が必要だと訴えるとともに、量の拡充だけではなく、子どもが地域でかかわりあいながら育っていくことのすばらしさを大人が教える必要があると説きました。

【基調講演】「子育て支援は地域づくり 永源寺の地域まるごとケア」
      東近江市永源寺診療所所長 花戸貴司さん

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 まず冒頭、「健康」のとらえ方が時代に対応して変化していることを指摘。以前は病気を治すことが医療の役割で、医療がすべての健康問題を解決すると考えられていましたが、高齢化で病気の種類が変化し、後遺症や麻痺が残るようになると、医学だけで健康が得られる時代ではなくなったのではないかと説き、病気を治す時代から地域で支える時代へと変化していると分析しました。
 そこに気付いたのは花戸さんが診療所に赴任したことがきっかけでした。高度な治療を展開しようと考えながら、3人に1人が高齢者という永源寺で在宅医療に取り組み、病気とは何か、元気とは何かを考えるようになったことが紹介されました。認知症で一人暮らしであったり、がんの術後であったり、人工呼吸器が必要な幼児であったり。入院するよりも家で暮らしたいと望み、地域で笑顔で過ごします。小児がんが見つかった10歳の男児は、抗がん剤治療をしても効果なく、訪問看護の対象となりました。その彼をクラスのみんなと少年野球チームが支え、半年後に皆に見守られて息を引き取ったことを紹介されます。誰かが誰かがを支えているのです。さらに、この少年野球チームが優勝したとき、キャプテンの口から仲間として彼の名前も口に上ったことも取り上げられました。
 花戸先生の受け止めでは、「病気」の反対側には「元気(気持ち)」があり、元気の部分が大きくなるとシーソーの反対側の病気は相対的に小さくなります。その例として挙げられたのは、子宮がんを患う84歳の女性でした。ひ孫がうまれて1年、寝ながら抱っこしているうちに要介護から要支援に変わったのです。誰もが支え手になるということでした。
 花戸先生がすべての患者にしている質問があるそうです。それは、「ごはんがたべられなくなったらどうしますか?」ということ。寝たきりになったらどうしたいか、家にいたいという希望があれば、それはすべてカルテに書き残し、みんなで共有しているそうです。元気を見ることも自分の役割だと学んだそうです。
 よりよい最期を迎えること、よりよい人生を暮らした結果。死や病をタブーにせず、どんな最期を迎えたいかを普段から家族を話し合っておくことが大切だと述べました。そうして経験した在宅医療で出会った看取りの様子が写真絵本になり、東近江市ではすべての図書館や学校などに置き、人生の最終章をどう過ごすか、対話ツールにしているそうです。
 このように花戸先生は、病院の中で病気だけ見ていると分からなかったことを、地域に出て知ったそうです。そこから生まれたのが、チーム永源寺です。医療職だけではなく、寺、福祉作業所、民生委員、住民団体、警察も加わっているそうです。地域の人一人ひとりが地域を支えあう。だから、地域包括ケアというより、地域まるごとケアなのです。地域まるごとケアがめざすものは、30年後、60年後でも安心して生活できる地域づくりです。それを次の世代に伝えなければならいと話されました。

【報告と提言】にっぽん子育て応援団事務局 當間紀子
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 にっぽん子育て応援団の當間紀子が、先進自治体調査と地域人材交流研修会開催について報告しました。プロジェクトは、「地域まるごとケア」の考え方を下敷きにした3か年の計画で、2年目、3年目と経年的状況把握するとともに、勉強会を複数回開催し全国的な普及を目指す予定です。2015年度、2016年度には16自治体にヒアリングを実施。2015年度は永源寺のある滋賀県東近江市を訪問し、行政マンも手弁当でかかわる「魅知普請曼荼羅」が作られていることなどを紹介しました。その上で、子ども・子育てに関する地域の人々の理解には差があることを問題提起したことを報告しました。
 2016年度は、自治体のヒアリングのほかに北見市(ダブルケア)、仙台市(遊び場とお茶会がつなぐ地縁の再生)、名古屋市(0〜100歳のまちづくり)、福岡市(こども食堂)で地域人材交流会を開催しました。ヒアリング自治体では、先進自治体になりえた理由が垣間見えるとして、自治体トップの熱意とそれを支える職員の存在、近隣市との合併を選択せず自分たちのまちは自分たちで守る決断を下した事例などが挙げられました。

【パネルディスカッション】「始まっています 子育て世代も地域まるごとケア」
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 パネルディスカッションでは、2015年度、2016年度にヒアリングで訪問した自治体から先進的な取り組みを発表してもらいました。パネリストは、医療法人社団仁泉会西岡医院理事長の西岡敦子さん(香川県高松市)、豊後高田市子育て・健康推進課長の安田祐一さん、NPO法人地域福祉サポートちた代表理事の岡本一美さん(愛知県知多地域)。厚生労働省社会・援護局長の定塚由美子さんがコメンテイタ―、にっぽん子育て応援団企画委員の奥山千鶴子がコーディネーターを務めました。

◎香川県高松市 医療法人社団仁泉会西岡医院理事長 西岡敦子さん
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 西岡さんは、平成13年3月に病児保育、17年に地域子育て支援センター事業をスタートさせるなど母子支援も行っている珍しい小児科だと自己紹介しました。同センターでは、感染症だけではなく、骨折や退院後の子ども、特別なニーズを持つ子どもなども受け入れています。時には大学病院から経過観察が必要な子どもを託されます。緊張感でいっぱいの母親に接して気持ちを解きほぐすような支援役を務めていることが紹介されました。さらに、中学校や県立高校と連携して、赤ちゃんふれあい授業も実施。系列の多機能化した介護老健施設に、親子が集える場の整備を進めるなど、子育て親子や高齢者の交流事業も計画していることが報告されました。

◎大分県豊後高田市 子育て・健康推進課長 安田祐一さん
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 安田さんは、長年、商工分野を歩んできたところが子育て分野に配属となり、地域を巻き込んだ取り組みを進めている事例を報告しました。子育て支援には市長の思い入れが強く、健康交流センター「花いろ」に、子育て中のお母さん方で結成されたNPO法人「アンジュ・ママン」の運営する地域子育て支援拠点「花っこルーム」を整備。そして、子育て関連の行政窓口を集約し、コーディネーターを配置することで、子育て支援はもちろん、就労意欲のあるお母さん方への就業支援も実施するなどワンストップでサービス提供をされているそうです。また、NPOや商工会議所、商店街、企業と連携し、地域全体で子育てを支える仕組みづくりに取り組んでいることも紹介されました。

◎愛知県知多地域 NPO法人地域福祉サポートちた代表理事 岡本一美さん
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 岡本さんは、1990年からの26年間で36団体が誕生し、子どもの誕生から亡くなるまでを通して住民側が生活に必要な事業を自分たちで作り出してきたという取り組みを報告されました。それが、各地に誕生した多様な共生型居場所です。また、東浦町では他職種連携ボランティアの「チームにじ」が「ならしか運動(〜しかできない、を、〜ならできるに転換)」で各人ができることを分担し支え合う地域づくりを展開していることも紹介されました。「0〜100歳の地域包括ケア」を目指し、「セーフティネットではなく、セーフティシートとする」ことを目標としていると述べられました。

◎国の取り組み 厚生労働省社会・援護局長 定塚由美子さん
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 定塚さんは、厚生労働省を中心に進めている「我が事・丸ごと」地域共生社会推進の取り組みについて説明。一人で複合的な課題を抱えていたり、一つの世帯で複合的で複雑な課題を持っているなど、既存の制度ではどこにもあてはまらないケースに対応する必要があり、地域住民も含めて丸ごとつながって我が事として取り組むために、関係する法律改正の準備を進めていることを報告しました。その理念は、1年前に公表された「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」で、社会福祉法を改正し、地域で県や市町村で地域福祉計画を作る際に、我が事・丸ごとの体制整備などを盛り込むよう求めていることなどを説明。それぞれの市町村の行政やNPO、関係者でそれぞれにあった地域包括ケアの仕組みを作るよう期待を寄せました。

◎飛び入りで 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長 吉田学さん
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 参加者の一人、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長の吉田学さんが感想を発表。当初は医療と介護の間で専門職の連携を意図した地域包括ケアの考え方が、多職種協働、他分野協働で地域の課題に取り組む「まるごとケア」に育ってきていると整理し、子育て広場活動と高齢者などの生活支援サービスが着々と歴史を重ねてここで出会ったことの意義を強調しました。地域のニーズから実際に取り組んでいるところにこそ知恵とパワーがあるとして、国としては実践をつないだり、サポートする役割に尽力する意向を示しました。

 奥山は、いろんな分野の人が出会えるチャンスを作るというのが「我が事・丸ごと」の方向性であり、目指していく先は誰もが地域でその人らしく生きていることができる地域社会ではないか、明日から自分たちの活動にやる気とエッセンスをもらったとまとめました。

【閉会挨拶】にっぽん子育て応援団団長 安藤哲也
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 にっぽん子育て応援団の安藤哲也団長が挨拶。3人の子育てを19年間続け、自分自身も地域で育てられたと感じ、その恩返しとして保育園の父母会長、学童クラブの父母会長、公立学校のPTA会長を務めてきたことを報告し、地域には元気なお母さんたちも数多いが、現役のお父さん世代がいないことを指摘しました。その上で、今後やるべきことは、プレーヤーを増やすことだとして、長時間労働を見直し、そこそこ働いてしっかりと家庭、地域のことも両立できる社会の実現を呼びかけました。
posted by Cheergaroo at 13:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 応援団プロジェクト

2016年11月21日

「第4回主要自治体の子育て分野におけるNPO/市民活動団体との協働に関する調査」が朝日新聞香川版に、取り上げられました

2016年11月12日付朝日新聞香川版朝刊で、にっぽん子育て応援団が平成27年度に実施した「第4回主要自治体の子育て分野におけるNPO/市民活動団体との協働に関する調査」が取り上げられました。
香川)高松の子育て全国2位の評価 市長招き現状語る

「高松市が2番目に高い得点であったこと」、「子どもの貧困対策に着手しなかったことで2位に甘んじているけれど、そのほかではとても高い得点であったこと」、一方、保育所待機児童数では全国9位であり、新たな課題として浮上していること等を受け、9月29日にNPO法人わははネット主催で開催された「たかまつ子育てフォーラム」を取材しての記事です。
「たかまつ子育てフォーラム」については、すでに9月30日付四国新聞でも紹介されていますが、今回は、調査の概要やスパイラルチャートも紹介されています。
「たかまつ子育てフォーラム」を主催したNPO法人わははネット発行の「おやこDEわはは」Vol.69でも、フォーラム開催の様子を紹介しています。