2019年08月23日

一時預かり事業拡充のための提言を厚生労働省に提出しました。

8月22日、厚生労働審議官本多則惠さんに、一時預かり事業拡充のための提言をお渡しし、子ども家庭局保育課長矢田貝泰之さん、同局子育て支援課長田村悟さんらも交え、現状についての意見交換などを行いました。

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23日には、内閣府子ども・子育て本部審議官の藤原朋子さん、参事官の西川隆久さんにも提言をお渡しします。

今回提出した提言は以下のとおりです。

一時預かり事業拡充のための提言

核家族化や知り合いのいない土地での子育てを背景に、一時的に家庭での保育が難しい状況に陥りやすい家庭が増えていることを理解し、すべての子ども・子育て家庭を対象としている一時預かり事業の必要性を社会が認め、子育て家庭が気兼ねや不安をもたずに利用できるよう、その社会的意義を共有し、現状や子育て家庭のニーズを踏まえたうえで、拡充していくことが必要です。
たとえ短時間であっても、特別な配慮が必要な場合であっても、様々な困難を抱えながら生活する親子を支援し、子どもが豊かに安心して過ごせ、子どもの社会性を育む一時預かり事業を要望します。


〇実施状況 (平成30年子ども・子育て支援推進調査研究事業「一時預かり事業の運営状況等に関する調査報告」三菱UFJリサーチ&コンサルティング 政策研究事業本部共生社会部より)(n=1920)
・回答事業所の属性について、運営主体は、26%が自治体直営、58%が社会福祉法人。
実施している他事業は、保育所66%、地域子育て支援拠点事業25%、認定こども園25%。
・一時預かり事業専用室の設置割合は、42%。
・予約の受付方法は、電話89%、来所72%。インターネットの受付システムは1.6%のみ。
・受け入れ対象年齢は、1,2歳児が8割以上と多い。
・配慮が必要なお子さんを預かっている実施施設割合は27%。
・年間利用者の63%が非定期利用者。37%が定期利用者(1か月以上週3日以上)。
・定員の平均は8名/日であるが、年間延べ利用者数が、300人未満の実施施設割合が59%。
・延べ利用者数平均について、4月は33人、3月は50人と年間利用状況に季節変動がある。
・職員の勤務形態は、常勤51%、非常勤47%。専従68%、兼務30%。
雇用形態は、正規職員32%、臨時・嘱託職員26%、パート・アルバイト40%。
・資格は、保育士87%、幼稚園教諭49%、子育て支援員4.7%。

〇運営上の課題・難しさ(平成30年子ども・子育て支援推進調査研究事業「一時預かり事業の運営状況等に関する調査報告」三菱UFJリサーチ&コンサルティング 政策研究事業本部共生社会部より)(n=1920)
課題 
・定員以上の申し込みがあり、断らざるをえない 36.7%      
・利用者数に応じた職員配置など、調整の負担が大きい 27.1%
・配慮を有する子どもや乳幼児の預かりが増え、定員分預かることが難しい 24.1%
・職員を十分に配置するための費用に対して補助金額が不足している 19.1%
・電話対応や利用料徴収などの事務負担が大きい 17.9%
難しさ 
・慣れていない子どもを数多く預かる必要がある 56.7%       
・同時に複数の年齢の子どもに対応することが難しい 21.4%

〇緊急フォーラムで明らかになった課題
 1.一時預かり事業の位置づけ、現状把握ができていない。
 2.自治体間での格差が大きい。
 3.1時間300円〜800円と利用料がバラバラ。
 4.就労・学習、親のレスパイト、子どもの発達支援、虐待予防等、事業の目的が多様。
 5.家庭のニーズに、量的に応えられていない。
   2019年度の利用児童数の目標値、1,134万人に対して、2017年度末で495万人と半分以下。
 6.実際には様々な困難を抱えた家庭、配慮が必要な家庭が利用している。
 7.子どもを預けるには家庭ごとの事情から生じる理由があり、家庭の背景にある課題を見極め、親子を支援していくソーシャルワークの機能が求められる。

○わたしたちの提言

1.就労・学習、親のレスパイト、子どもの発達支援、虐待予防など子育て家庭の多様なニーズに応えることができる一時預かり事業の位置づけや意義について、国において改めて整理し、市町村はじめ関係者に周知することを要望します

2.全国どの地域に住んでいても一時預かり事業を利用できるよう、わがまちの子育て家庭の潜在的二ーズを的確に捉え、次期市町村子ども・子育て支援事業計画に、量的ニーズを踏えた計画づくりと実施体制の確保を要望します。
特に、幼稚園、保育所、認定こども園等に通っていない家庭への非定期利用の一時預かり事業の量的拡充を要望します。
 
3.量的拡充のために、以下が実現できるよう予算の拡充をお願いします。
・保育所、認定こども園等に併設された一時預かり事業について、担当保育士の処遇改善その他の事業所への支援の充実
・多様な実施場所、運営主体が参入可能な事業環境の整備
 具体的には、地域子育て支援拠点事業等、乳幼児家庭の身近な場所において実施される一時預かり事業の拡充
・専用施設設置のための建設費、改修費、家賃補助等の実施場所整備に関わる予算の拡充

4.子育て家庭が、安心して預けられる一時預かり事業の質の拡充をお願いします。
・最低2人の職員配置が可能となる国庫補助基準額のアップ
・保育士、子育て支援員等の配置基準の見直し、処遇改善
・困難を抱えた家庭、配慮が必要な子どもを預かるための研修、支援体制づくり
・子育て支援員等研修等の拡充 
・大規模事業所の事務職員配置加算やIT化促進費用の拡充

5.様々な困難を抱えた家庭、配慮が必要な家庭に対して、家庭の背景にある課題を見極め、親子を支援していくソーシャルワークの機能を果たすため、利用者支援事業や子育て世代包括支援センター、子ども家庭総合支援拠点等との連携や専門家による支援チームの派遣等の体制整備を要望します。加えて、同様な機能を果たす、ファミリー・サポート・センター事業、子育て短期支援事業(ショートステイ、トワイライトステイ)等の拡充も合わせて要望いたします。

6.一時預かり事業を身近な事業とするため、一時預かり事業の無料利用券の配布等の工夫をお願
いします。特に、困難家庭や定期健診未受診家庭など特別な配慮が必要な家庭の利用につながる
よう配慮を求めます。

2019年7月13日

にっぽん子ども・子育て応援団
よこはま一万人子育てフォーラム
緊急フォーラム参加者有志

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2019年08月20日

緊急フォーラム「今伝えたい!一時預かり事業の現実 未来に向けて緊急政策提言」を開催しました。 緊急フォーラム「今伝えたい!一時預かり事業の現実 未来に向けて緊急政策提言」を開催しました。 緊急フォーラム「今伝えたい!一時預かり事業の現実 未来に向けて緊急政策提言」を開催しました。

 にっぽん子ども・子育て応援団は7月13日、東京・一ツ橋の日本教育会館で、緊急フォーラム「今伝えたい!一時預かり事業の現実 未来に向けて緊急政策提言!!」を開きました。一時預かり事業に関する初めての実態調査の報告や厚生労働省による事業説明、実際に一時預かり事業を行っている現場からの実践報告を受け、参加者らでグループワーク。多様なニーズがありながらも厳しい運営にならざるを得ない現状とともに、配慮が必要な親子の増加や虐待の恐れのある子どもの受入れなど現代な深刻な子育て家庭の最前線にあることなども明らかにされ、今後さらに充実が求められることを確認しました。
 にっぽん子ども・子育て応援団ではこれらを提言にまとめ、一時預かりの担当部局である内閣府子ども・子育て本部および厚生労働省子ども家庭局に向けて、一時預かり事業のさらなる拡充を働きかけることにしています。

基調報告

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 厚生労働省の平成30年度子ども・子育て支援推進調査研究事業として実施された「一時預かり事業の運営状況等に関する調査」について、担当した三菱UFJリサーチ&コンサルティングの鈴木陽子・主任研究員が報告。一時預かり事業の事業形態や事業主体、事業規模、職員配置状況などを明らかにしました。平均定員は8人で、利用年齢は1・2歳児が中心、週3日以上利用する定期利用は4割程度で、6割は年間延べ利用者数が300人未満と小規模。職員は保育士が9割で、半数が常勤。事業所の収入から給与総額を引くと、年間延べ利用人数900人未満では赤字になっていることも分かりました。配慮の必要な子や乳児の受け入れなどで人手が取られるために利用を断らざる得ない一方、急なキャンセルなどで職員が余剰となるなど利用者数に応じた職員配置が課題となっていることが挙げられました。このほか、保育者が事務負担を行うことやアレルギー・発達障害への対応、異年齢の合同保育、保育所より低い処遇などが課題に挙げられていました。

行政説明

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 一時預かり事業の推移や現在の補助内容、実態などについて厚生労働省の竹林悟史・前保育課長が説明しました。地域子ども・子育て支援13事業の一つである一時預かり事業は、理由を問わずに家庭での保育が困難な場合に利用できるという点が特徴。実施類型としては、一般型(保育所などで実施されているが場所の縛りはない)、幼稚園型T・U型(幼稚園を利用している人が利用する預かり保育)、余裕活用型(保育所は年度初めに定員に余裕があり途中から定員まで埋まるので、年度当初の余裕がある場と人を使って行う)、居宅訪問型(障害を持った子どもなどが対象)、地域密着U型(保育士の要件を一般型より緩和し、拠点などで実施されている)があります。
 保育所が持っている機能を開放するという形で平成13年ごろから補助制度がスタートし、平成20年の児童福祉法の改正で地域子育て支援拠点事業などとともに法律に位置づけられました。その際、実施主体を保育所以外にも拡大し、特定の子どもを継続的に預かる保育と区別するために「一時預かり」と名称も変更しました。また、拠点では、年齢別の配置基準を満たすことが難しいことから保育士が1人以上を要件とする地域密着U型が設けられました。その後、子ども・子育て支援新制度がスタートする前後に類型が見直され、保育所型と保育所以外の地域密着型をと統合して一般型とし、ひろばで実施されている地域密着型Uも一定の役割を果たしているとして残りました。自治体の事業計画では、平成25年度の実績400万人弱から、31年度末には1134万人まで増やすとされていましたが29年度末の実績で495万人程度と、達成は厳しいと見られています。実数が伸びないことなどに国としても問題意識を持っていることが明らかにされました。

実践報告
 友澤ゆみ子・NPO法人ピッピ・親子サポートネット理事長(横浜市)、新澤拓治・NPO法人雲柱社施設長(練馬区)、伊藤千佐子・NPO法人せんだいファミリーサポート・ネットワーク代表理事(仙台市)の3人が、それぞれの地域における一時預かり事業の実践について実情を報告しました。
 このうち友澤理事長は、単独型の一時預かり事業や認可保育所に併設した一時預かり事業、広場を利用した一時預かり事業などを展開し、全体で延べ利用人数数が4000人に上り、定期利用が多い事業形態とリフレッシュや緊急預かりが多い事業があることに言及しました。配慮の必要な子ども・保護者も増えており、受け入れられる人数は減少傾向、療育センターからの照会もあるなどソーシャルワーク機能が求められるようになっていることにも触れ、保育者側のスキルが必要だとして運営費の増額、保育士確保が課題だと訴えました。
 また新澤施設長は、子ども家庭支援センターにおける一時預かり事業について報告。延べ利用者は1万人程度で、週7日開所しており、練馬区が国の基準を上回る補助を行っており、充足率が9割を超えることなどが明らかにされました。予約や利用料の点から、一時預かりを利用した方がよい人が必ずしも利用できておらず、困難を抱えた人を受け入れらえるよう配慮していることにも触れました。区では当日キャンセルでも補助が行われていることで安心して事業運営できると指摘。一時預かりの保育の専門性について今後、検討する必要があるのではないかと問題提起がなされました。
 最後に、大規模な地域子育て支援拠点で実施される一時預かり事業について伊藤代表理事が報告。保育士3人で9人の子どもを受け入れる体制だが、処遇面などから保育士確保が難しく受け入れ人数は減少、国の補助の加算等が指定管理費用に反映されていないため、職員処遇を引き上げることが難しい点にも言及されました。心臓病など配慮を要する子どもやアレルギー児、虐待を受けたと思われる子どもなどのリスクの高い子の利用も増え、小児科や弁護士とも連携していることが挙げられました。広場に併設されているため、継続的に子どもと保護者をケアすることも可能となっている良さが指摘されました。

グループワーク・シンポジウム

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 参加者が6人程度のグループとなって意見交換。値段設定の難しさや幼児教育・保育の無償化による対象者が増えることへの懸念、配慮の必要な子どもの増加、自治体による対応の差、事務量の多さなどが課題に挙げられました。
 フロアからの問題提起を受けて、登壇者らが発言。「土日も実施するならば人件費もそれだけかかることを踏まえた事業費が必要」「断ることは難しいが、受け入れる場合にはリスクを引き受けることになる。情報量が少ない中、短時間でその子の特性を把握するといった専門性も考えるべきではないか」「一時保育の必要性が理解されない時代から事業を行ってきたが、虐待予防の観点からますます必要になってきている」「リフレッシュと言われるが、一時預かりの実態では厳しい家庭の子どもを預かっている。世間のイメージとのギャップがあるのではないか」「一時預かりを通して、深刻な家庭が多いことを実感する」などの意見が出されました。

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2019年07月02日

2019年参議院選挙に向けた子ども・子育て支援政策に関する政党アンケート

7月4日に公示、7月21日が投票日となる第25回参議院議員通常選挙。7政党に向けて子ども・子育て支援政策に関するアンケートを行いました。7月2日現在、6政党から回答をいただいています。
今回の設問は先ごろ体罰禁止などを含めた児童虐待防止関連法案改正に絡めて、社会的養護に関する4問。
以下、アンケート調査票の内容ごとに回答をご紹介します。

設問1 社会的養護の充実に向けて、貴政党が行ってこられたことを教えてください。
結果的に成立に至らなかった場合でも、国会に提出した法案についても教えてください。


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設問2 社会的養護充実に関する予算について、どのようにお考えですか。少なすぎるので増額すべきとお考えなら、財源確保の方策についても、お示しください。

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設問3 児童福祉法改正に盛り込まれた体罰禁止については、保護者や親となる人をはじめ広く社会に向けた啓発や、子どもとの対応に悩む親および保護者の支援も必要です。具体的にどのような方策が必要か、貴政党のお考えをお示しください。

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設問4 社会的養護の現場における人手不足問題が叫ばれて久しいですが、里親制度などへの理解と担い手の養成、断らない相談窓口の設置などとともに、地域の支え合いの体制作りも重要だと考えます。大切な家族を守るためには、どのような対応が必要だとお考えですか。

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2018年08月02日

地域まるごとケア・プロジェクト2017年度報告書

さわやか福祉財団からの委託により2015年度から進めている地域まるごとケア・プロジェクトの2017年度報告書を、公式サイトにアップいたしました。以下のページからダウンロードできます。ご活用ください。
http://nippon-kosodate.jp/2017_marugoto.html
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2018年03月22日

2017年度地域まるごとケア・プロジェクト報告会を開催しました。

 にっぽん子育て応援団は2月18日(日)、東京・虎ノ門の発明会館ホールで「2017年度地域まるごとケア・プロジェクト/地域包括及び子育て世代包括ケア先進自治体調査と地域人材交流研修会開催報告会」を開きました。「私たちの手で創り上げる地域まるごとケア」と題して、行政説明や基調講演、先進事例報告が行われました。同調査は、公益財団法人さわやか福祉財団の委託を受けて行われたものです。

◎開会挨拶

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 さわやか福祉財団の清水肇子理事長は、にっぽん子育て応援団とさわやか福祉財団で、地域まるごとケアをテーマに3年間活動してきた成果を強調しました。30年弱の歴史を持つさわやか福祉財団は、高齢者だけではなく誰もが支え合い、みんなで助け合う地域づくりに向けた取り組みを推進中。介護保険制度の見直しで地域づくりを強化する仕組みが生まれたことを機に、生活支援コーディネーター、地域子育てにも着目し、地域でまるごとケアを進める自治体の調査研究を進めてきたことを紹介し、今回の先進事例を持ち帰り、さらに各地で地域まるごとの取り組みが進むよう期待を寄せました。

◎行政説明
 「地域共生社会の実現に向けた地域福祉の推進について」と題し、厚生労働省社会・援護局の定塚由美子局長が地域共生社会づくり・地域福祉の取り組みについて説明しました。

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 まず、地域共生社会づくりという考えの背景について言及。これまでの日本では、介護保険制度や障害者福祉、子ども・子育て支援制度など支援対象に応じて制度を充実させてきましたが、一つの制度で収まり切れない課題があちこちで発生、要介護者がいる家庭で引きこもりの成人がいるなど、世帯単位でみたときに相談事を持ち込む先が分からない事態が多発していることを挙げました。地域の福祉現場ではすでに縦割りではなく、種別や世代を超えたまるごとの支援をしてきていました。国も支援の支え手と受け手を固定して捉えるのではなく、弱まっている地域のつながりを再構築できるよう、住民がそれぞれの課題を自分のこととして参画する地域づくりを地域共生社会として進めることになった旨を説きました。
 その上で、「地域共生社会の実現」のために、@地域づくり・相談支援体制Aサービス提供体制B人材――の3つの観点で検討していることを紹介。地域づくりに関しては、さまざまな分野で支援活動を行っている人が参画した「地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制の在り方に関する検討会(地域力強化検討会)」で論議し、市町村で包括的な支援システムを作り、相談する力がない人にはアウトリーチ(訪問)するなどして、地域でどこかの相談窓口につながる仕組みを作ろうと意見を取りまとめ、社会福祉法を改正したことを報告しました。
 さらに、社会福祉法の改正で、地域の包括的な支援体制づくりと地域福祉計画の策定が自治体の努力義務となり、地域体制づくりを含め推進している旨を紹介。地域づくりに関しては国として予算を設けてモデル事業を進めており、平成29年度は100自治体に補助、30年度は150市町村に支援を行う予定である旨を明らかにしました。さらに、地域共生社会づくりについては今後も検討をさらに進めていく旨を強調。昨年12月に指針を策定し、通知していますが、各自治体の実情に応じて取り組みが重要なことを挙げ、共生社会づくりに向けて、例えば予算の使い勝手が悪いといった難があれば声を上げていただくなど、地域と協働で進めることができるよう期待を寄せました。

◎基調講演
 「地域共生社会は住民自ら創り上げる 共創コミュニティ」と題して、日本福祉大学の原田正樹教授/学長補佐が講演。地域共生社会の現代的な課題について説きました。

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 原田教授は、まず、地域共生社会の理念について問題提起。「地域の課題を自分のこととしてとらえる」といった「我が事・丸ごと」の内容について、「昔から言われてきた」「国から強制されるのはどうか」といった指摘があることを挙げました。「地域」には優しさがある一方で排除する冷たさもあることに触れ、客観的な視点が必要なことに言及しました。
 その上で、相模原市で昨年発生した障害者施設での殺傷事件が、福祉関係者に問いをなげかけたことを取り上げました。犯人の「この世に障害者がいなくなればよい」といった主張に対して、賛同する人が多かったという現状に触れ、福祉関係者の「無知から障害者差別が起きる」という常識、日本人の福祉意識は総論賛成で各論は反対(障害者差別はよくないといった意識は持っているが、自宅近くには施設は建設してもらいたくないと思っている)という認識にも疑問を投げかけるものであったと話しました。
 こうした現状をもたらす要因の一つとして福祉教育に言及、無知を解消するために子どもが福祉を学んでいるが、そこで差別意識が再生産されているのではないかと提起しました。具体的には、福祉教育として行われている障害者や高齢者の疑似体験が不自由さの理解にとどまっているため、かえって障害者や高齢者はできない人だというマイナスイメージを強化し、健常者の優越意識を育てているのではないかと問題視しました。
 次に、この対局にある別の福祉教育を紹介。家族を持つ視覚障害の女性を教室に招き、リンゴの皮をむくという当人にとっては当たり前の作業を披露してもらうことで、「障害者=できない人」といった子どもたちの認識を覆している例を挙げました。そこから、障害、生活のしづらさは生活している環境によって左右されるという新しい福祉観・障害観に言及し、この見方に立った福祉教育の見直しの重要性を指摘しました。
 その上で、障害を持っていてもできることは無限にあるという福祉観や障害観を持つことが共生社会をつくる上での下地を作ると指摘。こうした意識を育てる質の良い福祉教育が求められており、そのために学校と地域社会の連携が重要だと説きました。
 さらに、「障害は環境による」といった考えに立つと、生活のしにくさを抱える人に対するまなざしも受け入れる方向へ広がるのではないかと投げかけ、本人の強みを大事にし、できることをもっと伸ばすという、その人らしさを支援することも共生社会の核になるのではないかと問題提起しました。高齢者についても単なる世代間交流では高齢者はお荷物といったマイナスイメージを広げるだけですが、その生きざまに触れるような交流により、子どもたちが高齢者に倣って脱いだ靴を揃え、言葉使いが丁寧になるなどの効果をもたらすことも紹介しました。
 また、原田教授は、「ニッポン一億総活躍プラン」で謳われている地域共生社会の理念、「全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる」との考えについて、「目新しい考え方ではない」と言及。支え手側と受け手側に分かれるのではなく、支え合う地域コミュニティを育成するためには、専門職の意識が問われていると指摘した上で、介護保険に契約という考えが入ったために、専門職の間に「契約に基づく利用者だけが対象」との意識が広がっていることを問題視しました。
 それだけに、地域福祉の在り方を制度や専門職の側から考えていかないといけないと主張。共生社会づくりの根っこは生活困窮者自立支援制度からスタートしており、この分野では、支援の必要な人は経済的に困窮している人だけではなく、社会的孤立もあると認識されてきたことを挙げながら、努力できない人も支援の必要な人だと受け取る地域づくりが重要な旨を訴えました。そこには自立に対する考え方も背景にあり、自分で稼いで自分で食べるという経済的自立、自分で決めて実行する社会的自立、精神的自立のほか、本人の弱さを認めて寄り添うといった自立もあり得るとして、「自立とは依存先を増やすこと」と主張した熊谷晋一郎氏(東京大学先端科学技術研究センター)の言葉を紹介しました。
 最後に地域づくりに関連して、今回の社会福祉法改正の重要性を強調。第4条、地域福祉の推進に関し、対象とする地域生活課題を絞り、地域福祉における国や地方自治体の責務が盛り込まれたことを評価しました。すでに全国各地でいろいろな取り組みが始まっていることに触れながら、自治体と地域住民との協働の在り方も課題であると指摘しました。そして、福祉を「ふだんの くらしの しあわせ」と捉えてはどうかと問題提起。福祉が毎日の暮らしの中にあるものと考えると、誰もが参加できるものとなり、多文化共生や社会的包摂、地域共生にもつながると訴えました。

【報告と提言「私たちの手で創り上げる地域まるごとケア」】
 にっぽん子育て応援団が2017年度地域まるごとケア・プロジェクトでヒアリングに訪れた3地域から実践報告をしていただきました。

◎「その人のニーズにとことん寄り添うことで次々事業が生まれる」
一般社団法人らぷらす代表理事 安斉尚朋さん
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 北海道夕張市での取り組みについて安斉さんが説明。どんなに重い障害を持っていても地域で暮らせるまちづくりを目指して活動してきた経過を報告しました。
 夕張市は、人口8300人で高齢者化率は50%、障害者は12%(国の平均の倍)。6割が高齢者や障害者という中で、高齢者や障害者が活躍できる環境づくりを重視してきたということです。まず、葬儀会場に使われていた公民館「はまなす会館」の閉館にあたり、当別町のNPO法人ゆうゆう(当時。現在は社会福祉法人)の協力を得て、指定管理で事業を継続。その際、障害を持つ我が子の働く場を探す母親と出会い、その要望に応えつつ、高齢者の食環境が貧しいという地域事情を考慮してお弁当づくりを始めました。ケアマネジャーや介護事業所とも連携し、配食・配食時の障害児が安否確認を実施します。実際には、地域の集まりなどでも注文が来るようになり、会館で食事会を開催するなど活動は広がっています。
 お弁当作りは、調理経験のない障害者が担当していますが、クックパッドでレシピを調べ、その通りにやるとおいしい料理ができることに気付き、一機にやる気になってくれたということです。塩一つまみや少々の分量が分からなくて困っていましたが、自分で調べて再現できるようになり、調理師免許を取るまでになったということです。
 また、広汎性発達障害の子どもを抱える母子家庭のために、児童デイサービスを事業化しました。同じ特別支援学級の友達も行ってみたいと登録者は増加。障害児だけで活動するのではなく、地域とのつながりを持てるよう、「餅つきを教えて」と高齢者ケアハウスに頼み、餅つき大会に来てもらい、夕張自然体験塾で地域の人と流しそうめん大会を行っているそうです。
 このほか、痰吸引が必要な子が利用できるようにパート看護師の配置を検討。そのためには看護師の子どもの保育が必要だと、保育士を雇って一時預かりを事業化したことも紹介されました。一時預かりの場は、子育て中のお母さんが拠点として活用するようにもなりました。安斎さんは、「一人のニーズは地域のニーズ」と受け止めて対応してきたと報告。作業所で対応できない仕事の依頼があった場合でも、ケアハウスの高齢者にボランティア募集と呼び掛けて活躍してもっていることも報告されました。
 らぷらすの取り組みに対して原田教授は、市民の6割以上が障害者と高齢者という状況で、それぞれのストレングスをみつけて取り組んでいる点、ひとりのニーズにこだわっている点の重要性を評価されました。

◎人や機関をつなげ、地域課題に対応するコミュニティ・オーガナイザー
 社会福祉法人文京区社会福祉協議会 浦田愛さん
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 文京区初の地域福祉コーディネーターとして活動し6年目を迎える浦田さんが、現状を報告しました。「人と物と金はある」文京区では近年、人口は増加傾向にあるものの世帯人員は減少し、生活保護世帯が増え、格差課題も顕在化しているとのことです。社会福祉協議会にも個人的な相談事が持ち込まれるようになってきたことから、地域に出て課題をさがすべきと、平成24年から地域福祉コーディネーターが配置されるようになったと報告されました。社会的な孤立やゴミ屋敷など、自分に問題が自覚していない人などに対応。平成28年から生活支援コーディネーターも兼務しているということです。
 その中で駒込地区(5万人)の取り組みが紹介されました。猫や植木の近隣トラブルなどの様々な個人支援の背後には福祉的課題があると指摘。住民のニーズがあれば活動を起こしていく「地域福祉コーディネーター」と、行政と政策的な話し合いをしながら介護予防的な活動を起こしていく「生活支援コーディネーター」の違いを使い分けながら活動しているということです。
 居場所づくりの例として、「こまじいのうち」が取り上げられました。玄関に募金箱が置かれているものの、金額は数えないなど運営は緩やかです。ここで、子ども食堂や栄養士会開催のキッチン、傾聴ボランティアのおしゃべり会、子育てサロンなどさまざまなイベントが開催されています。ここは、個人が相続した空き家を地域に居場所として貸し出した例。大家さんもやっているうちに楽しくなり、「こまじい」マスターとして中心的な役割を担っています。地域の人々が月300〜400人参加するほど緩やかにつながり、だれもが気軽に参加できるからこそ課題のある人もつながり、必要に応じて専門職につなぐ機会にもなっているとのことで、「こまじいのうち」をモデルに、他の地区でも居場所づくりが広がっているということです。「こまじいのうち」は、町内会のバックアップ機関である駒込地域活動センターと社協が両輪のように立ち上げをサポート。地域の40人が参加する実行会議でコンセプトや名前、利用料をとるかどうかなどを決めてきたとのことで、社協や地域活動センターは地域の中でコアスタッフを見つけ、住民だけで運営できるように支援していることも紹介されました。行政や社協が現場に出ることによって住民主体の世界を広げていく、協働の必要性が訴えられました。
 これに対して原田教授は、住民に丸投げするのではなく、コーディネーターが一緒に協働する、緩やかにたくさんの人が参加できている良さを挙げました。

◎多機関連携で、重複課題にも対応できる全世代型地域包括ケアへ
 長崎市福祉局地域包括ケアシステム推進室 谷美和さん
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 谷さんは、国の多機関型包括的支援体制構築モデル事業を平成29年10月から受けている長崎市の現状を報告しました。同市は被爆者がいるため介護機関が多く、専門職が多いという特色があり、それだけに専門職が地域に出て支える体制できないかと模索してきたことが紹介されました。現在、高齢化率は30%、傾斜地が多いのに山頂部に高齢者だけで住むケースもあり、住み慣れた地域で暮らすために傾斜地にゴンドラをつけるなどの支援策も行っているとのことです。
 多機関型包括的支援体制構築モデル事業では、高齢・障害・子育てなどにワンストップで対応するための相談窓口を設置。個別の相談支援だけでなく、相談のコーディネートや関係機関のネットワークまでを行う予定にしている旨が紹介されました。
 モデル事業となったのは、20カ所ある地域包括支援センターのなかの2カ所、訪問診療を行う診療所や介護や障害の事業所が多い中心部と、事業所が少なくヘルパーがいない周辺部でモデル事業を実施しています。ただ、相談については全市で受け入れています。
 モデル事業では、3人ずつ社会福祉士を配置し、複合的な課題を抱え包括的な支援を必要とする人の把握、ワンストップの相談受け入れなどから、関係機関の地域づくり、資源の開発、周知のためのリーフレット作成などを行っているということです。寄せられる相談は幅広く、1世帯で3つ程度の困難を抱えているケースが多いそうです。
 複合課題を抱える家庭支援例の中から子どもを含む具体例を2例紹介。70代の夫婦と40代の長男、10代の孫の三世代同居世帯では、認知症を発症した妻の介護サービス拒否と祖母の認知症が理解できない孫の振る舞いと不登校、多忙で家事を回す余裕のない長男と家のことに無頓着な夫という現状から課題を整理、孫支援にスクール・ソーシャル・ワーカーも関わるなど、多機関・多職種の連携による分野横断的な対応を報告。さらに、40代夫婦と学齢期の子ども二人、40代の夫の姉の世帯で、要介護認定の妻の介護サービス費や子どもの給食費の滞納と子どもの不登校に対し、生活困窮への緊急支援と生活立て直し協議、税の減免などの手続きへの同行援助などとともに、主任児童委員さんらと家族見守りネットワークを構築しましたが、夫婦の離婚も危惧され、一歩進んだ支援策を継続していると報告されました。これら具体的な例を踏まえ、専門職の連携と対応の質を上げる重要性が課題であると締めくくりました。
 これに対して原田教授は、地域特性を踏まえた仕組み作りを進めている点を評価。改正社会福祉法の施行で各自治体でも地域独自の取り組みが求められる点が参考になると説きました。

【応援団の報告】
 2015年から、3年間で25自治体を、地域包括ケアに子ども・子育ても仲間入りさせてほしいとお願いしながらヒアリングし、子ども・子育てに関する課題に対して地域の理解がないことが最大の課題であると痛感していると報告しました。子育てに目配りがある自治体は、高齢者や障害者などにも目配りするようになると指摘。この3年間の変化を示す例として高松市を紹介。2015年度にヒアリングで出会った子育て支援担当者が高齢・介護担当へと異動、2016年度に別件で高松市を訪れた際に挨拶にみえ、インターンの大学生に「高齢の居場所へ乳幼児親子も行きたくなるような方法を考えてほしい」とお願いしていると報告された。2017年度には地域に多く置き込んできた高齢者の居場所を多世代共生型に活用しようと、居場所づくりガイドブックを高齢部署と子育て支援部署の共同企画で作成、そのお広めを兼ねた高齢者支援関係者と子育て支援関係者の交流の場として、地域まるごとケア・プロジェクトの地域人材交流研修会を開催したことを報告しました。

【閉会挨拶】
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 にっぽん子育て応援団の樋口恵子団長が挨拶。人生100年時代の出生から墓場まで、スタート地と終着地は地域しかなく、子どもと年寄りの共通点は徒歩圏内の地域で似たようなものであることを改めて指摘されました。その上で、「社会はファミレス(=家族が少なくなる)化している」と問題提起。家族の構成員が少なくなると地域とのつながりもなくなるコミュレス化(=コミュニティにもつながらない)し、孤立しやすい社会となりつつあると分析しました。血縁がなくても地域をご縁に支え合う社会になれるかどうかによって、21世紀も日本の豊かな社会が持続されるかどうかも関係していると説きました。
 また、高度経済成長期に企業が経済発展に目を注ぐあまり家庭から父親を取り上げたこと、女性の就労の権利と義務を奪い専業主婦を最もよい生き方とする文化をつくったことを振り返りつつ、にっぽん子育て応援団が地域包括ケアの中に子ども世代も入れるべきだと提案してきたこと、その上で、「地域が変わらないと絶望的」「地域こぞって子育てを」と指摘しながら、子ども食堂に高齢者が乗るという新しい流れも出てきていることを評価。やがて生まれてくる子どもたちのこれからの100年を大事にするためにも、地域が重要であり、地域の欠点も見つめつつ克服する必要があるとし、同時に、障害があってもなくても障害を感じさせない、障害を感じないで生きていける社会をつくる覚悟を表明、一人一人が主人公であると説きました。

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2018年02月23日

地域まるごとケア・プロジェクト2016年度報告書。

にっぽん子育て応援団が、公益財団法人さわやか福祉財団から委託を受けて2015年度からスタートさせた地域まるごとケア・プロジェクト2016年度報告書をアップしました。
2016年度調査概要と問題提起・提言.pdf

2016年度ヒアリング調査結果(芽室町・仙台市・藤沢市・知多市).pdf

2016年度ヒアリング調査結果(奈義町・高知県・北九州市・豊後高田市).pdf

2016年度報告会.pdf
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2017年12月22日

2017年度企業・団体サポーター交流会を開催します。

にっぽん子育て応援団2017年度企業・団体サポーター交流会は、イクボスの育て方(ダイバーシティ・マネジメントができる人材育成)をテーマに、にっぽん子育て応援団団長及び企画委員によるパネルディスカッションを行います。
基調講演は安藤団長、パネルディスカッションのコーディネーターは勝間団長が務めます。

日 時: 2018年2月26日(月) 17:00〜19:00(開場16:30)
会 場:日本航空株式会社本社 14階 会議室
(東京都品川区東品川2-4-11 野村不動産天王洲ビル 
        りんかい線・東京モノレール 天王洲アイル駅徒歩)
対 象: 企業・団体サポーターご担当者、上司の方、若手社員の方々
      ※ 企業・団体サポーター登録をご検討いただいている方もご参加いただけます。

参加方法: 2月19日までにお申し込みが必要です。
企業・団体サポーターの社員・職員のみなさま   無 料 
登録をご検討の企業・団体の方           3,000円 

お申し込み&お問い合わせ先:
にっぽん子育て応援団
 info@nippon-kosodate.jp


企業サポーター交流会

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2017年11月24日

緊急フォーラム「大変だ! 子どもの未来が崩れそう」を開催しました

にっぽん子育て応援団緊急フォーラム
「大変だ! 子どもの未来が崩れそう」

 にっぽん子育て応援団は10月1日、東京家政大学板橋キャンパス120周年記念館1階多目的ホールで、緊急フォーラム「大変だ! 子どもの未来が崩れそう」を開催しました。フォーラムでは、子育てひろばや行政などから子ども・子育て支援の現状について報告が行われた後、ふるさと納税や企業の社会貢献活動など子ども・子育ての財源を確保する手法が提案され、すべての子ども子育て家庭に支援が行き届くようすべての大人で負担を分かち合うよう求める緊急アピールを採択しました。

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◎パネルディスカッション「これが子育ての現実だ」
 NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事の岡本聡子さん、沖縄県南風原町民生部こども課長の前城充さん、兵庫県明石市福祉局こども総合支援部長の佐野洋子さん、東京家政大学短期大学保育課准教授(女性未来研究所研究員)の平野順子さん、東京家政大学子ども学部長(小児科医)の岩田力さんがパネリストとなり話題提供。コーディネーターを団長の安藤哲也、勝間和代が務めました。

 まず、岡本さんがご自身(ふらっとスペース金剛)の実践について紹介。大阪府富田林市内で2003年から地域子育て支援拠点事業4か所を運営、現在は市から養育支援家庭訪問事業(育児ストレス、産後うつ病等で不安や孤立感等を抱える家庭に子育て経験者等が訪問し育児・家事の援助をしたり、保健師等が指導助言し、家庭の諸問題の解決、軽減をはかる事業)を受託し、今年6月からは大阪府から委託を受け児童虐待の通報を受けた児童の安全確認業務を行っていることを明らかにしました。
 その上で、ひろば全協が地域子育て支援拠点の事業所240団体、母親2400人(1175人が回答)に実施したアンケート調査の内容を報告。利用者は35〜39歳が多く、仕事はしていない利用者が9割だが、うち2割は育児休業中で、ひろば利用者は在宅子育て世帯だけではなくなっている現状にあることなどを紹介しました。そして、アンケートで発見されたこととして、7割の母親が自分の生まれ育った市町村以外で子育てしていることを挙げ、これを「アウェイ育児」と呼びました。「アウェイ育児」では、近所で預かってくれる人が少ないなど孤立感の中で子育てしている割合が高く、アウェイ感を増大させていることにも触れました。子どもが少なくなるほど親の孤立感は深まり負担感は増すとして、親に寄り添う支援の必要性が強調されました。そして、育児休業や多様な働き方をする子育て家庭への支援のためにも保育所や家庭的保育などと拠点が連携していく必要性を訴えました。
 南風原町の前城課長は「子どもの人権を考える〜ひとりぼっちの子どもがいないまちを目指して」と題して南風原町の取り組みについて報告しました。人口3万8000人の同町は人口30万人の那覇市の右隣に位置し、生活圏は那覇市と重なる。子ども施策に力を入れているため移住が多く、平均年齢34歳の若い町で合計特殊出生率が2.07と人口が増え続けている町でもあります。全国と比べて貧困率が高い沖縄県において、同町では子どもの貧困対策を「孤立対策」と呼んで取り組んでいます。貧困の課題として、若年出生率、高校不登校率、高校中途退学率、中卒後の進路未決定率の高さに注目。同県では離婚率が高いが、その理由は夫の生活力がないことであり、その点は中卒とも関連。一人親家庭では、昼間働く場がないために夜の仕事に就き、子どもは夜、親がいない寂しさから特定の家をたまり場とし、夜間徘徊や非行に発展、不登校が増えるという連鎖が生じる。中学校で不登校のまま卒業すると若年出産にもつながるなどリスクが高いと認識、小学校の不登校児をフォローしてゼロにするか、孤立する子どもを減らすという観点で包括的に取り組んでいる旨を報告しました。平成28年度からスタートしたのが「子ども元気ROOM」。365日、夜22時まで支援を必要とする子どもに対応し、生活指導、学習支援、食事の提供、キャリア形成などを実施している。養育支援のために送迎も実施。保護者は最初、拒否反応を示すが、子どもが安定してくると心を開き保護者も変化していることなどが報告されました。
 明石市の佐野部長は、「こどもを核としたまちづくり」について報告しました。神戸市に隣接した明石市の合計特殊出生率は1.58で人口とともに上昇中。子どもを核としたまちづくりとして、次々と施策を展開していることで、子育て世帯が流入し、税収が増加、戸建て住宅の新築やマンションの建築などによる地価の上昇、町のにぎわいなど好循環が生まれていることを報告しました。明石市長は、子ども施策にお金を投入すると、それは必ずまちづくりにつながるとの信念をもって取り組んでおり、現実に町が元気になっていると自分も感じると話しました。
 その上で、子どもを核としたまちづくりの理念について言及。@すべての子どもを対象とするA支援の必要性も多様化しているので、子育ては親だけに背負わすものではなく地域みんなで支えるB親目線や行政のやりやすさの視点ではなく、子ども目線で考える――との3つのポイントを挙げました。そして、市ができることはあれもこれもすべてやると、総合支援を進行していることを強調しました。具体的な施策としては、早期の気づきと対応策として妊婦の全数面接を実施、地域での子ども食堂の展開、困難な状況におかれた子どもへの支援として無戸籍をはじめ様々な支援。教育の充実として30人学級の導入、経済的支援として医療費の無料化、第二子の保育料の所得制限なしの無料化、社会的養護が必要な子どもへの支援に里親プロジェクの展開。31年4月には中核市となるので、児童福祉法改正後初の児童相談所設置を目指していることも明らかにしました。また、明石市こども総合支援条例には、支援が必要なこどもへの取り組みも条文化し制定していることを報告しました。
 事例を受けて平野准教授が現状から見えてくる家族の変化や現在の子育ての問題を整理。現在の子どもや子育て家庭は様々な社会の影響を受けやすく、家族がセーフティネットとなりえていないことを指摘。世帯の小規模化、単身化が進んでいる。若年層の経済的不安定化が進み共働き率が上昇しているが、何かあった時に経済的に不安定な状況に陥りやすい点も指摘した。子育て家庭の孤立化も進み、子育ての悩みを相談できる人がいるという人が2002年から2014年で減少し、子どもを通したかかわる人がいない人も増えている。その一方で、家庭での育児が女性に偏っている。子育てでイライラする人が増えている。
 各国の家族関係社会支出の対GDP比をみると、日本全体では子どもにお金をかけていない。過去と現在を比べて家族が変化し、子育てをしている親の意識も変わっているが、周囲の意識は変わっていない点も挙げました。若年層は家庭を持つ事を想像できないだけに、家庭で育児をする場合の実質的な後ろ盾が必要だと説きました。
 さらに、岩田子ども学部長は、小児科医と保育士の専門性の共通点について言及。小児科医は、子どもの健康発育・発達にかかわりながら、子どもが自分の可能性を引き出せるよう関与し、子どもや家庭の健康や福祉の支援に関与するだけではなく環境にも関与する必要があること、子どもは社会の再弱者だけに不利益を被りやすく特別な注意を払う必要があることなどは同じであり、保育士も専門性を社会に訴えていく必要があることも説きました。

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◎提案タイム「まずお金! 財源について考えよう」
 小泉進次郎衆議院議員らが「こども保険」を提起したことを受け、多様な財源確保の在り方を提起し議論する予定でしたが、衆議院解散が決まったことから小泉議員が欠席となり、「こども保険」についてはコーディネーターの奥山千鶴子企画委員が説明。多様な財源の在り方については、東京都文京区(ふるさと納税の活用)、住友生命保険相互会社(企業の社会貢献活動)、日本労働組合総連合会(拠出金制度など)から発表がありました。
まず、「ふるさと納税 目的は困窮子ども家庭の生活支援」と題して、東京都文京区子ども家庭部の鈴木裕佳・子育て支援課長が説明。29年度重点施策として子どもの貧困対策に取り組む同区で、いくつかの機関を連携して「こども宅食プロジェクト」が始まったことを報告しました。ふるさと納税寄附受付前の初期経費は村上財団、広報についてはNPO法人フローレンス、対象とする貧困世帯への周知は文京区が行い対象者は個人でフローレンスに申し込む。RCFが食材を調達し、NPO法人キッズドアが食材を梱包・配送するなど役割分担して連携している。同事業は、食材を届けることを入り口として定期的に訪問することで気付きを得る。虐待等のリスクに陥る前の支援につながると期待している。貧困対策に出遅れていた同区で様々な施策の総合展開を検討する中、人知れずに届ける工夫はないかと思案。同じくして貧困世帯へのアプローチに限界を感じていたフローレンスから、こども宅食のアイディアが持ち込まれ、ふるさと納税で財源が作れないかかと提案があり実践。ガバメントクラウドファウンディング(ふるさと納税)で2400万円の寄付を集めたが、寄付者からは文京区ということではなく、貧困対策の成功事例を作って全国に届けてほしいとの意見あり、社会的課題に財源をどう集めるかという観点で一つのアイディアになるのではないかと問題提起しました。
次に、住友生命保険相互会社の松本大成・ソーシャルコミュニケーション室長が、「未来を強くする子育てプロジェクト」について説明。事業がスタートして10年経過したが、同社プロジェクトの受賞を契機に周知され、自治体の委託事業を受けるなど息の長い活動になることを期待して支援していることを説明。全国の団体等を直接支援したくとも財源には限りがあるため、表彰制度を通じてアイディアを発掘し世の中に拡がることを期待している旨を明らかにしました。
 また、連合の平川則男総合政策局長が、「子ども子育て支援の財源について」と題して意見発表。社会保障制度は社会保険料と税により財源が賄われていますが、社会保険料のうち半分は従業員(被保険者)が負担しています。686万人の組合員がいる連合は最大の被保険者の組織で社会保障制度に積極的に関与する役割があると説きました。子ども・子育て支援の財源に関しては、新制度の準備段階の検討にも参画して様々な勉強会を開催、「前提として社会保障税一体改革をやってもらいたい」と現行の新制度の遂行を求めました。その上で、さらに拡充すべきサービスとして待機児童解消と保育人材の確保に言及、幼児教育の無償化はその後の検討課題としました。これ以上の財源確保に関しては、「社会全体で支えるということでは税による財源確保が原則」とし、それに加えて子ども・子育て拠出金(事業主と国民による拠出)の創設も含めた方策も考えるべきと指摘。小泉議員らが提唱する「こども保険」については、「子育てをリスク化と捉える点で抵抗感がある」と訴え、拠出金という仕組みで国民が負担し子ども・子育てを支えることが可能なのか検討する必要があると説きました。
「こども保険」について奥山企画委員が説明。消費税の10%引き上げ分から子ども・子育て支援新制度に充当する7000億円は増税が実現していない段階ですでに使われており、さらなる財源確保が必要だと「こども保険」を打ち出したこと、社会保険料0.1%増で3400億円の財源が確保され就学前の子育て世帯に対し月5000円程度の軽減が可能となり、0.5%増では約1.7兆円が確保され月2万5000円程度の負担軽減となり実質的に幼児教育が無償化される、1.0%増で約3.4兆円が確保されさらに踏み込んだ子育て支援も可能になると試算したこと、社会保険料として厚生年金、医療保険、介護保険、雇用保険、こども保険が並べられたときに子どもへの支援の少なさが顕在化する効果も狙っていることなどを紹介しました。

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 これらの意見を受けて参加者が数人のグループになって意見交換。多様な財源確保の手段があること、財源の使われ方にも注意する必要があることなどの意見が出されました。
 奥山さんは、「にっぽん子育て応援団では子どもの財源をいかに集めるか、財源確保に向けて引き続き、取り組んでいきたい」と訴えました。

◎アピール
 参加者の賛同を得て、安藤哲也団長と勝間和代団長が「現世代のすべてのおとなたちで負担を分かち合い、子どもの未来を拓くための緊急アピール」を読み上げました。

現世代のすべてのおとなたちで負担を分かち合い、
子どもの未来を拓くための緊急アピール

子どもは未来からの預かりものです。
そして、今のおとなたち、私たちの誰もが、かつては子どもでした。
私たちが今、ここにあるのは、生み育ててくれたおとなたちがいてくれたからです。自分では何も出来ず世話が焼け、騒がしく周囲に迷惑ばかりかけていた私たちを慈しみ、手も声もかけ、居場所を作ってくれた、家族と地域のおとなたちのおかげで、今があります。
新たに生まれて来るいのち、今を健気に生きているすべての子どもたちの成長を、すべてのおとなたちが手をつなぎ、心を寄せ合うことで、この社会全体で支えていこうではありませんか。それこそが、未来を拓くことにつながります。

子ども・子育て支援や教育について、これから非常に重要な議論が行われようとしている今、今日緊急フォーラムに集った私たちは、子どもの最善の利益の観点から、

○ すべての人に開かれた機会を確保するためには、「すべての子どもと子育て家庭に行き届く支援」が必要であり、具体的な政策の立案に当たっては、様々な困難を抱える子どもや子育て家庭に行き届き、決して取り残されることのないよう構築されること

○ 子どもの育ちを支え、応援していくためにも、そのために必要な経費については、今を生きる私たちすべてのおとなの責任で負担し合うこと

が重要であることを確認し、ここに宣言します。

2017年10月1日
にっぽん子育て応援団
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2017年11月20日

地域まるごとケア・プロジェクト2015年度報告書

にっぽん子育て応援団が、公益財団法人さわやか福祉財団から助成を受けて2015年度からスタートさせた地域まるごとケア・プロジェクト2015年度報告書をアップしました。

2015年度報告書
 2015年度報告書調査概要と問題提起.pdf
 2015年度報告書提言.pdf
 2015年度報告書ヒアリング調査結果(北見市・大船渡市・世田谷区・名張市).pdf
 2015年度報告書ヒアリング調査結果(東近江市・雲南市・高松市・臼杵市).pdf
 2015年度報告会.pdf
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2017年10月16日

2017年衆議院総選挙に向けた子ども・子育て支援政策に関する政党アンケート

10月10日に公示、10月22日が投票日となる衆議院総選挙。8政党に向けて子ども・子育て支援政策に関するアンケートを行いました。10月19日現在、7政党から回答をいただいています。
今回の設問は極めてシンプル。以下、アンケート調査票の内容ごとに回答をご紹介します。

各政党の選挙公約・マニフェスト・政策方針

自由民主党
公明党
立憲民主党
日本共産党
社会民主党
希望の党
日本維新の会
日本のこころ

設問1.貴政党の子ども・子育て支援政策について教えてください。

・今回、衆議院は「子育て世代への投資を拡充するため」という理由で解散されました。
しかし、その使い途として示された「幼児教育無償化」「高等教育の負担軽減」が、
現状において最優先の子ども・子育て政策の課題なのかについてはまだ十分な議論がなされておりません。
貴政党では、子ども・子育て支援政策についてどのようにお考えでしょうか。
優先度や本気度をお尋ねいたします。

2017政党アンケート設問1回答.pdf

設問2. 子ども・子育て支援政策の財源確保について教えてください。

2-1 安倍自民党総裁は「消費税10%になるときの増収分のうち、国債の返済にあたる部分を減らして子ども・子育て世代への支援に充てる。その額は2兆円程度を見込んでいる」と発言されたと報道されています。こちらの提案に対する、貴政党の具体的な政策案をお聞かせください。

2017政党アンケート設問2-1回答.pdf

2-2 10月1日に行われた弊団主催の緊急フォーラムでは、子ども・子育て支援政策に必要な財源をどのように確保すべきかについて、いくつかの提案がなされました。また「負担を次世代に先送りすべきではない」という趣旨の緊急アピールが採択されております。
以下うち、貴政党のお考えに最も近いものを選び、理由や具体的な政策をお聞かせください。

1 消費税率のさらなる引き上げ   2.「子ども保険」(またはそれに準ずる社会保障制度)
3 拠出金制度の拡充や課税の見直しによる企業負担の強化
4 クラウドファウンディングなども活用して広く寄付を募る

2017政党アンケート設問2-2回答.pdf

2-3 にっぽん子育て応援団は子ども・子育て支援の財源をGDP比2〜3%への充実を目指して活動してきました。子ども・子育て新制度に必要と言われた1兆円の充実はその第一歩と考えていましたが、いまだ実現しておりません。いつ頃1兆円確保される見通しでしょうか。具体的にお聞かせください

2017政党アンケート設問2-3回答.pdf

設問3. 「子ども・子育て支援新制度」の質の向上について教えてください。

・私たちは、担い手の処遇改善や専門性の向上などの質の向上なくしては、サービスが必要な人に行き届く量の拡充の実現も難しいと考えますし、新制度の円滑な推進の要として必要だと考えています。質の向上の必要性についてのお考えについて、財源も含めて、お尋ねします。
2017政党アンケート設問3回答.pdf

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