2024年05月13日

にっぽん子ども・子育て応援団結成15周年フォーラム終了。

にっぽん子ども・子育て応援団15周年フォーラム.JPG

2024年5月12日(日)、大妻女子大学千代田キャンパス本館E棟地下1階、E055講義室において、にっぽん子ども・子育て応援団結成15周年記念フォーラム「進め! こどもまんなか社会」を開催いたしました。
2009年5月9日に創立、15周年の節目で、対外的な活動を停止することとし、最後のフォーラム開催となり、最後のところで、当日会場に参加していた応援団関係者全員が壇上に立ち、オンライン及び会場参加の方々に向け、感謝の言葉とともに一同、礼で締めくくりました。

詳細なご報告は改めてアップいたします。
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2022年11月16日

2022年度企業・団体サポーター交流会 「男性育休取得率を上げる改正法対応のコツ 誰が休んでも回る職場をどう作る?」 開催報告

2022年10月18日(火)16:30〜18:00、2022年度企業・団体サポーター交流会「男性育休取得率を上げる改正法対応のコツ 誰が休んでも回る職場をどう作る?」を開催しました。

冒頭、にっぽん子ども・子育て応援団団長の勝間和代より、今回の交流会開催の趣旨説明を兼ねた開会挨拶を行いました。勝間は兼ねてから「男性育休取得はボーリングの一番ピン」と呼んでおり、日本がもっと子どもと子育てに優しい社会になるには、男性の育児休業取得が当たり前になるかどうかが鍵と訴えてきました。昨年度ようやく我が国の男性育休取得率が14%になりアメリカには追いついてきましたが、北欧の7割、8割の取得率に比べたら、まだまだ追いついておらず、取得期間が3日とか1週間くらいでとても短い現場から、育休をきっかけに企業がどうコミットできるようになるのか、育児・介護休業法改正のレクチャーや基調講演を踏まえ、みなさんとお話ししたいと述べました。

スクリーンショット (ブレイクアウトセッション後).png

行政レクチャー 育児・介護休業法改正のポイント
続いて、厚生労働省雇用環境・均等局職業生活両立課育児・介護休業担当係長の中島しずかさんから、今回の育児・介護休業法改正のポイントについてレクチャーいただきました。

改正の背景として、現在約7割の女性が第1子出産後も就業継続していますが、離職した人の41.5%の人が「仕事と育児の両立が難しい」を理由に上げている現状を挙げています。夫の家事・育児時間が長いほど妻の継続就業割合が高く、第2子以降の出産割合も高いというデータもあり、男性育児休業取得は女性の就業継続の鍵であるだけでなく、少子高齢化の歯止めにも寄与すると考えられる側面もあります。国は、令和7年に男性育児休業取得率30%を目標として掲げていますが、令和3年では男性育休取得率は13.97%にとどまっています。男性自身は4割以上が育休取得を希望していますが叶わず、希望と現実との乖離が認められます。男性が利用しなかった理由としては、「収入を減らしたくなかったから」がダントツで、ついで「職場の理解が足りなかった」、「自分にしかできない仕事を担当していたから」などが挙げられ、職場の理解が追いついていない部分に問題があり、国としても取り組んでいかなくてはいけないとの認識があったそうです。

こういう現状を踏まえ、どうやって育児休業を取得しやすい職場環境に変えていくのかが今回の改正のポイントとなります。すでに令和4年4月1日から、妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対して、育児休業制度について給付内容などの詳しい説明と休業取得意向の確認を行う機会を設けることを事業主に義務付けています。さらに育児休業を取得しやすい雇用環境の整備として、職場の理解を深めるよう制度に関する相談体制の整備や研修、関連情報の提供なども義務となっています。実務上、育児休業取得に向けた意向確認の場は、あくまでも育児休業を円滑に取得できるように設けるものであり、取得を控えさせる場にしてはならないことに留意してもらいたいと強調されました。雇用環境整備については、一つでも対応すれば法的には充足しますが、可能な限り複数実施することで、より効力を発揮すると話されました。
また、同じく4月1日から施行されているのが有期雇用労働者の要件緩和で、「引き続き雇用された期間が1年以上」は要件から撤廃され、「1歳6カ月までの間に契約が満了することが明らかでない」のみが要件となっており、取得の幅が広がるのではないかと期待を寄せているとのことです。有期雇用労働者の取得の際は、労働契約の更新がないことが明確でないことが要件となっています。
この10月1日からの施行部分としては、「産後パパ育休」(出生時育児休業)と分割取得があります。まず、「産後パパ育休」は本来の育休とは別に取得が可能で、対象期間は子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能。これまでの育休とは違い、原則休業の2週間前までに申し出れば取得できます。子どもが産まれて大変な時期に、男性も育休を取得しやすいように設定したそうです。分割して2回取得が可能で、8週間の間にどのように分割しても、あるいは丸ごと取得しても良い柔軟な制度となっており、働かないことを前提としている育休ですが、労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能とのこと。取得しやすさを考慮しての措置で、育児休業本体も2回分割取得できるようになっており、「産後パパ育休」と合わせれば4回に分けて育休を取得でき、仕事の繁閑など自分のスケジュールに合わせて取得しやすくなったのではとのことです。
令和5年4月1日から施行されるのが、常時雇用する労働者が1000人を超える事業主に向けた、年に1回の育児休業取得率などの公表の義務付けです。公表内容としては、育児休業等の取得割合あるいはそのほかの目的休暇との合算取得割合などとなっています。インターネットの利用を推奨しており、厚生労働省のHPにある「両立支援のひろば」に各企業の仕事と育児の両立について公表できるページや各企業のHPでの公表が可能です。
今回の法改正によって、ますます男性の育児休業取得が盛り上がっていくことを期待していると締め括りました。

スクリーンショット (厚労省中島さん).png

行政レクチャー質疑応答
レクチャーの後に行った質疑応答の内容は以下のとおりです。

Q1 従業員数1000名以上の企業の育児休業取得率の公表について
その1 公表頻度は決まっているか。
A 事業年度に則って、年に1回公表。

その2 グループ会社で1000人を超える場合は、各社で公表することになるのか、あるいはグループまとめての公表も可能なのか。
A 各社ごとに公表していただくこととなり、グループまとめての公表はできない。

その3 同一グループでも1000人未満であれば、公表義務なしとの判断でよいか。
A ご確認いただいたとおりで、事業主ごとに判断させていただく。

Q2 上場企業に対する育児休業取得率の公表義務はあるのか。
  A 公表対象者は事業規模での設定となっており、上場しているか否かについての線引きはしていない。

Q3 育児休業を取得しやすい雇用環境整備について、社内研修、個別周知・意向確認、事例紹介、制度・方針周知ポスターの掲示などが挙げられており、複数の実施が望ましいとのことだが、実施の優先順位などはあるのか。
  A 特に優先度は設けていないが、窓口の整備を選択される企業は多い。できることなら全ての実施が望ましいと考えているが、可能な限りでお願いしている。

Q4 「産後パパ育休」は男性のもの、産休は女性のもので、育児休業は男女の別ない設定で取得できるものと考えてよいか。
  A 「産後パパ育休」等ネーミングで誤解されやすいところだが、養子縁組も対象としているので、「産後パパ育休」=出生時育児休業は女性も取得できる。ただし、女性が産後休業を取得した場合は、「産後パパ育休」取得はできない。

Q5 「産後パパ育休」と育児休業は別物なので、両方とも取得してよいが、「産後パパ育休」は産後8週間以内に4週間取得できるものなので、産後すぐから続けて取得したい場合は、育児休業を利用するという理解でよろしいか。
  A ご認識のとおりである。産後すぐからまる1年間育児休業を取得したい場合は、育児休業取得を選んでいただければよい。

Q6 「産後パパ育休」及び育児休業期間中は無報酬となるのか?
  A いずれも、これまで通り取得6カ月間は休業開始前の賃金の67%が育児休業給付金として支給されるとともに社会保険料が免除されるので、実質8割程度の報酬が支給される計算になる。

基調講演
「男性育休取得率を上げる改正法対応のコツ 
 誰が休んでも回る職場をどう作る?」

続いて、にっぽん子ども・子育て応援団企画委員で株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵が「男性育休取得率を上げる改正法対応のコツ 誰が休んでも回る職場をどう作る?」と題した基調講演を行ないました。

まず、これまで数々の政策提言を大臣や国会議員の方達に直接手渡して、色々な政策をぐいぐい推しているのは、実はにっぽん子ども・子育て応援団で、ぜひみなさまもアイデアを寄せていただき、政策の中に取り込ませていただきたいとにっぽん子ども・子育て応援団の紹介を行ないました。

これまで2年以上、男性育休取得増加について取り組んでおり、企業のトップが署名をして、「男性育休取得100%を目指します」と宣言した企業は現在144社になったそう。
この4月は、漏れなく育児休業が取得できると周知、意向確認することは頑張りましたが、雇用環境整備の義務化について対応できなかった企業が多かったと振り返り、この秋から環境整備にも努め始めた企業が多いので、みなさんも今の時期から始めればと促しました。環境整備について、具体的には本人に向けた「父親学級」と上司や周囲の同僚に向けた「意識改革研修」の両方を実施していくと意識がグッと高まるので、非常に効果的であるとともに、取得しやすい空気が醸成されるとのことです。
10月からの法改正の中で、「休業中の就業」は、非常にニーズがあるのに実現できなかったことの一つ。育児休業中は働けないため、妻の出産の前後に自分が関わる大事なイベントがあるなどで、育児休業取得のほうを諦めてしまうケースがありました。法改正で「産後パパ育休」の期間だけは柔軟に働けるようになりました。ただし、これは労使協定を結んでいないと使えません。労使協定の雛形は厚生労働省のサイトに掲載されており、これを活用すれば簡単に作れるし、社会保険労務士さんがいらっしゃる企業なら簡単にできるそう。ぜひ労使協定を結んで「産後パパ育休」期間中にも柔軟な働き方の実現、男性の育児休業取得増加実現をとのことです。
来年4月から始まる育児休業取得等に関する公開は、自社決算の時期によって公表時期が違ってきます。3月決算なら6月まで、9月決算なら12月まで、12月決算なら翌年の3月までに公表することになります。問題なのは12月決算の企業で、2024年の3月まで公表しなくてもよいですが、それでは人材獲得上もったいないと小室委員。2022年12月末までの数字で他の企業と同じ時期に公表するメリットをご理解いただき、積極的に活用をと呼びかけていると言います。
さらに、今回有価証券報告書にも男性育児休業取得率等を掲載、開示することが望ましいという形になっており、「人事にとっては追い風だ」と小室委員。有価証券報告書にも記載となれば経営トップの意識が全然違ってきます。しかも、来春の採用における大きなムーブメントになり、就活サイトや雑誌などで男性育児休業取得率ランキングなどの特集が組まれるだろうと予測。経営層の本気度をもう一段ギアを上げさせるチャンスでもあり、早めにトップに説明に入ることが大切で、最大限活用していただきたいと語りました。

スクリーンショット (小室さん).png

法改正に直結させた話の後、男性育休取得率を上げることが必要な理由と、誰が休んでも回る職場づくりの重要性について、さらに詳しく、実例を盛り込んだ話になりました。
男性育児休業取得率を上げる前に立ちはだかる二つの壁があり、一つは本人の意思の壁で、もう一つが妻の意思の壁であると指摘。本人は、育児休業取得の必要性、本質を理解しないままに取得しないという選択をしてしまい、妻は第一子出産の場合に産後のイメージがつかないことから現実にそぐわない選択をしてしまいがちです。実は、産後の母親の死亡原因第1位は産後うつによる自殺で、産後2週間から1カ月がピークとなるのです。この時期に7時間の睡眠と朝日を浴びての散歩を行うことが、妻の自殺や児童虐待防止にもつながります。夫の関与をいかに引き出していくかが、重要な鍵になるのです。だから、「企業主導型父親学級」の開催、できれば夫婦揃っての受講を促し、男性の育児休業取得の重要性を伝えて、取得を促すことが重要であると説きます。
さらに管理職に響くのは、妻の愛情曲線の話で、出産前までは夫に100%注がれていた妻の愛情は、出産後には一旦全て子どもに向けられますが、やがては夫への愛情が回復するグループと低迷したまま戻らないグループに分かれると言います。どちらになるかは産後すぐの育児参画の度合いが重要で、特に産後1年間に夫婦で感情の共有ができたかどうかが、その後回復に向かうか否かを決定するとのこと。
さらなる問題がパタニティー・ハラスメント、通称パタハラ。問題の本質は常日頃から「誰が休んでも回る職場になっていないこと。本当の壁は、「休んだら周囲に迷惑がかかるような」脆弱な組織体制にあると指摘。このような職場は災害にも新型コロナウイルス感染拡大にも弱いとのこと。これを機に「誰が休んでも回る職場を作る方法」の研修を行い、事情がなく見える独身の人も普段から休みが取れる職場に変えようと呼びかけました。
環境整備義務対応の講座で、ぜひ伝えてもらいたいことを対象別に列記したスライドを示しました。管理職は特に「誰が休んでも回る職場を作る具体策・他社事例」を伝えます。本人には男性育児休業の必要性と、復帰後も長く続く両立生活を夫婦でマネジメントするコツを伝えます。同僚に向けては、特別な事情がなくても休める職場づくりの方法やアンコンシャスバイアス解消研修で、誰にも独自の事情があることを擬似体験させます。
次いで、誰が休んでも回る職場を作る方法として、具体的な他社事例を紹介しました。朝メール、夜メール、カエル会議を活用、各自の業務を30分単位で見える化し、情報共有に繋げ、とっさに交代できる状況を作っておく。何にどれくらい時間を使っているか、生産性を意識して業務を組み立てていくトレーニング。カエル会議でチームの課題と解決策を共有していく。誰かが休んでパンクするような状況にならないよう業務の取捨選択もチームで行う。付箋を用い無記名でアイデアを一斉に出すなどフラットな意思決定の方法を採用する。具体的な育児休業取得の推奨期間を提示、職位の高い人からできる限り変えていく、オンラインの活用などで育児や介護で働くことに制限が生じる従業員でも本来の力を発揮できる働き方を開拓など。
誰が休んでも回る職場を作り、男性もお迎えを担当するなど仕事の生産性と時間への意識を高め、女性が復帰後も責任ある仕事を引き受けられるようになり、夫婦の収入が安定し、子育て後半の難しい時期も夫婦で乗り切り、それを見て育つ次世代が、自分が子どもを持つことに希望を持ち、熟年離婚も減少して生活保護予備軍世帯が減り、定年後のQOLの向上へとつながる。
男性育児休業取得推進により、日本中に信頼の好循環が醸成される、どうぞご一緒にと呼びかけ、締め括りました。

参加した企業・団体サポーター様から
参加してくださったサポーター企業・団体から一般社団法人全国子育てタクシー協会の山口さんから、事業概要とサポーターであることのメリットについてお話しいただきました。事務局を担っているのは、横浜市で地域子育て支援拠点や保育所などを運営する認定NPO法人びーのびーのさんで、子ども・子育て世帯へのサポートも重要なサービスと考えるタクシー会社は増えているそうです。大きな規模の会社は自社での研修が行なえますが、規模の小さな会社に向けて、子ども・子育て家庭への理解を深め、心のこもったサービスの実現に向けた研修を担っているのが一般社団法人全国子育てタクシー協会とのこと。タクシーの監督庁は国土交通省ですが、にっぽん子ども・子育て応援団のサポーター企業・団体となることで、子ども・子育てに関するさまざまな情報が得られ、協会加盟企業にも情報提供をすることで喜ばれているとのことです。メリットについてもお話しいただけたことは、にっぽん子ども・子育て応援団としても大変ありがたいことでした。

交流タイム ブレイクアウトセッション
「誰が休んでも回る職場をどう作る」

後半は交流タイムとなり、にっぽん子ども・子育て応援団団長の安藤哲也のコーディネートにより、8つのグループに分かれて、「誰が休んでも回る職場をどう作る」をテーマにブレイクアウトセッションを行ないました。
安藤団長、勝間団長、小室企画委員及び「経産省の山田課長補佐 ただいま育休中」の著者でもある山田正人企画委員が、それぞれ各ルームに参加して、ご参加のみなさまと意見交換を行ないました。
グループセッションの後、各グループで出されたキーワードなどのまとめをチャットに発表していただき、団長及び企画委員が全体をまとめ、終会となりました。

にっぽん子ども・子育て応援団では、子どもが人々の慈しみの中で育つ社会の実現に向けて、党派も分野も超えたところでの世論形成と、子ども・子育て家庭を支える政策への財源確保に向けて、これからも取り組んで行きます。応援団ですが、どうぞ応援してください。

ブレイクアウトセッションのまとめ
現状

・男性主体の会社・男性が休む時の抵抗感
・マネジメント層には女性が少なく、育休とれるようにしようといったら大反発をくらった
(仕事がまわらない、どうするんだ)
・気合で仕事をする人が多い。・日本は連絡に時間を使う傾向あり
・経営層、昭和オールドボーイズネットワークの誤解・無理解をいかに啓発していくかが推進の肝と痛感中。
・誰が休んでも回る職場になっていない・・
・自社に戻ると自分がマイノリティーになってしまう!
・育児だけでなく介護問題も起きてきている。
・男性育休1.6→96%でも日数が少ないのが課題
解決策、良き事例
・業態によって違うが、世界を見てみよう
・職場の同僚や管理職の意識の改革や、仕事のわりふり、ローテーションの工夫が必要。早めに申し出も助かる。
・余剰人員の確保・重なる業務を減らす
・工場勤務では取得率100%(ライン等で調整可能)。ノウハウを営業や管理も共有したい
・育休中、他の人に残業が発生しなかった。
・社内報に掲載(本人+上司)、トップメッセージ→これがけっこう効きます!
・フルリモートの会社では、slackやグーグルドライブで全てを管理、共有、勤務地と自宅が離れていても回っている。
・誰もが休める職場、回る職場をめざしているが苦戦。→情報共有できる場にいるといい。
・支える人も評価してほしい、というのはよく聞く。
学校現場から
現状

先生が足りない、余裕がない窮状。女性の産休の代替も見つからない学校がある。
学校での育休はとれていない。特に公立。
解決策
学校の教員や公務員も育休取得率などの公表をしてもらうと、そこらへんにも社会の目がいくようになるかもしれない。




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2022年06月22日

2022参議院選挙に向けての子ども・若者・子育て家庭支援政策政党アンケート7月3日現在

にっぽん子ども・子育て応援団恒例の国政選挙に向けた政党政策アンケートを今回の参議院選挙でも実施しています。
6月22日の公示日までにご回答をいただいた、自由民主党、公明党、立憲民主党、国民民主党からのご回答の要約を一覧表にまとめました。
7月3日にご回答をいただいた日本維新の会からのご回答を追記、アップしました。
2022政党アンケート回答一覧0703.pdf

まだご回答をいただいていない政党の分も、ご回答が届き次第、一覧表を更新していきます。

今回のアンケート内容は以下の通りです。
2022政党アンケート
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2021年12月17日

子ども・子育て政策について、各政党国会議員に陳情(その1)

衆議院選挙も終わり、臨時国会も始まろうかという11月終盤から12月にかけて、子ども・子育て政策についての提言を携えて、にっぽん子ども・子育て応援団団長及び企画委員が、各政党の国会議員に向けて陳情を行いました。
第1弾は公明党衆議院議員の古屋範子さんのところへ、11月26日に企画委員の奥山千鶴子と清原慶子、運営委員の昼間洋子と事務局の當間紀子がお伺いしました。
2021年5月の周年フォーラムで発表した「子ども・若者・子育て家庭のウェルビーイングの実現に向けたアピール2021」をもとに、喫緊の課題5つをまとめ、古屋議員にお渡しした後、懇談しました。
今回の提言ポイントは次の5点です。

1.生まれる前から子どもの成育環境を守る
妊娠が母体に与える影響と必要なサポート、子どもは泣くのが当たり前など子どもの発達特性について、社会全体が深く理解し、妊娠期からの親子を慈しみの気持ちを持って受け入れられる環境と制度づくり。
2.妊娠・出産、子育て期の子ども・子育て家庭のウェルビーイングを図る
すべての妊婦及び子どもと家族が、必要なさぽーとを主体的に選べるサービス体制を実現させる制度づくり。
3.男性の家庭活躍を保障し推進する
子どもや家族と過ごし休める権利、子どもが親と過ごす権利としてのインターバル規制の実現と男性育休の促進。
4.社会的養護・若者(とりわけ若年女性)支援を充実する
環境によって子どもたちが進路や生き方の選択肢を狭められることがない社会の実現。とりわけ弱援助性への新たな法整備の推進。
5.実現するための制度設計と必要な財源の確保
子どもの権利を保護する基本法の制定と、それを理念として、すべての子ども・若者・子育て家庭を支える政策の実現と安定的な財源確保。
古屋範子議員.jpeg
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2021年10月19日

2021衆議院議員選挙各政党子ども・若者・子育て家庭支援政策アンケート

10月19日に公示、10月31日が投票日となる衆議院議員総選挙。8政党に向けて
子ども・子育て支援政策に関するアンケートを行いました。
10月19日現在、7政党から回答をいただいています。
10月25日、8政党からご回答を得ました。
今回の設問は今年5月に結成12周年記念フォーラムで発表した政策提言
2021アピールを踏まえた、子ども・若者・子育て家庭支援政策に関する4問。
以下、アンケート調査票の内容ごとに回答をご紹介します。

設問1 2021年アピールで掲げた政策提言をご参照いただき、貴政党の政策課題のうち、
子ども・若者・子育て家庭支援において、優先すべき重要なものを3つ、
理由とともに挙げてください。

2021政党アンケート設問1回答1023.pdf

設問2 国では「子ども庁」創設に向けた準備室を立ち上げ検討に入っていますが、
貴政党が考える「子ども庁」の組織的あり方について教えてください。

2021政党アンケート設問2回答1023.pdf

設問3 子ども・子育て支援施策については、高齢者支援や障害者支援とは違い、
市区町村の裁量的事業が多くなっています。その結果、すべての子ども・子育て家庭に
行きわたらず、十分な支援が行われていないことが課題になっています。
今後すべての子ども・若者・子育て家庭への支援推進のために必要な
財源確保についてお尋ねします。
必要となる財源をどのように確保するお考えですか?

2021政党アンケート設問3回答1023.pdf

設問4 新型コロナウイルス 感染症対策としての子ども・子育て家庭への対応について、
どのようにお考えですか。

2021政党アンケート設問4回答1024.pdf
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2021年06月18日

にっぽん子ども・子育て応援団2021アピール「子ども・若者・子育て家庭のウェルビーイングを実現する社会づくり」

にっぽん子ども・子育て応援団は、2021年5月30日(日)に開催した、結成12周年記念フォーラムにおいて、2021アピールを発表。これからの子ども・若者・子育て家庭への政策についての提言を行うとともに、その具体的な財源確保などについては、ご登壇いただいた6政党の国会議員のみなさまからお話をお聞きした。
ご登壇くださった方々は次の通り。自由民主党参議院議員自見はなこさん、公明党衆議院議員古屋範子さん、日本維新の会参議院議員高木かおりさん、立憲民主党衆議院議員大西健介さん、日本共産党参議院議員田村智子さん、国民民主党参議院議員伊藤孝恵さん。

以下、2021アピールの概要を記します。
当日第1部の弊団企画委員による提言および、終盤のアピール読み上げなどを収録した動画は、                         こちらからご覧いただけます。

【現状】
日本では、これまで家族政策が明確に定義づけられてこなかったため、子ども・子育て支援施策は、@特別な家庭に対する社会福祉、児童福祉といった支援制度A家族の経済的基盤を維持するための雇用政策B少子化対策──といった内容で、統括的な窓口がなく、総合調整の責任の所在があいまいとなっている。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、これまで以上に子ども、若者、子育て家庭の孤立が顕在化し、日本型の福祉(特別な人だけを対象)では対応が不十分であることが顕在化した。

【方向性】
子どもの多様な成育環境が存在することを前提に、すべての子どもと若者を応援し、妊娠期からの子どもおよび子どもと暮らす家族のウェルビーイングを実現するため、政策提言を行う。少子化、核家族化が進行した現代では、子どもも大人も共に心身ともに不安定になる可能性が誰にでもあることを前提に、特定の人だけに対応する福祉ではなくすべての子ども・子育て家庭に対応する必要がある。
そのためには圧倒的に不足している支援サービスの拡充と、子ども・若者・子どもと暮らす家族を権利の主体におくサービス提供体制、経済的支援の構築が求められる。

【政策の方向性】 

1.生まれる前から子どもの成育環境を守る

@次世代育成期(生殖・妊娠期、胎児期から性成熟期に至るまでの成育サイクル)にある人の心身の健やかな成育が図られることが保障される権利を尊重するための体制づくり

A居住する地域に関わらず科学的知見に基づいた成育医療を、地域の実情を踏まえつつ、福祉・学校教育などとの連携を図ることで、妊娠期から子育て期まで切れ目なく提供できるための体制づくり

B成育過程にある人たちの年齢に応じた適正な情報提供と災害時や感染症発生などの緊急時における的確な対策の実施を通じた、希望する人が安心して子どもを産み育てることができる環境の整備

2.妊娠、出産、子育て期の子ども・子育て家庭のウェルビーイングを図る

@妊娠、出産、子育て期の子ども・子育て家庭の孤立を共同養育(親だけでなく地域社会全体で子育てを共同で行うこと。アロペアレンティング)と地域のつながりでサポート

A妊娠、出産、子育て期の困難者を含め、すべての子ども・子育て家庭に支援を届ける

Bすべての妊婦、子ども及び子どもと暮らす家族を権利の主体におくサービス提供体制、経済的支援の構築

3. 男性の家庭活躍を保障し推進する

@「少子化対策」と「女性活躍」に有効なのは「男性の働き方改革」

A男性の育児休業取得は、課題解決へのボウリングの一番ピン

C家庭進出から家庭活躍へ

D企業トップのコミットを引き出せる政策とインセンティブを

4.社会的養護・子ども・若者(とりわけ若年女性)支援を充実する

@子どものゼロ日死を防ぎたい

A社会的養護の分野でこそ子どもの最善の利益を

B困難を抱えた子ども・若者(とりわけ若年女性)の自立支援を

5.実現するための制度設計と必要な財源の確保

@子ども及び子どもと暮らす家族をその成育環境づくりからしっかりと支えるために必要な施策の点検と検討

A「子どもの権利を保障する基本法」の制定

B「子どもの権利を保障する基本法」を理念として子ども・若者・子育て家庭のウェルビーイングを実現するための政策に主導権を持つ省庁の創設と政策の遂行

C 子ども及び子どもと暮らす家族をその成育環境づくりによってしっかりと支える政策の実現とそのために必要な国及び自治体の財源の確保
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2019年08月23日

一時預かり事業拡充のための提言を厚生労働省に提出しました。

8月22日、厚生労働審議官本多則惠さんに、一時預かり事業拡充のための提言をお渡しし、子ども家庭局保育課長矢田貝泰之さん、同局子育て支援課長田村悟さんらも交え、現状についての意見交換などを行いました。

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23日には、内閣府子ども・子育て本部審議官の藤原朋子さん、参事官の西川隆久さんにも提言をお渡しします。

今回提出した提言は以下のとおりです。

一時預かり事業拡充のための提言

核家族化や知り合いのいない土地での子育てを背景に、一時的に家庭での保育が難しい状況に陥りやすい家庭が増えていることを理解し、すべての子ども・子育て家庭を対象としている一時預かり事業の必要性を社会が認め、子育て家庭が気兼ねや不安をもたずに利用できるよう、その社会的意義を共有し、現状や子育て家庭のニーズを踏まえたうえで、拡充していくことが必要です。
たとえ短時間であっても、特別な配慮が必要な場合であっても、様々な困難を抱えながら生活する親子を支援し、子どもが豊かに安心して過ごせ、子どもの社会性を育む一時預かり事業を要望します。


〇実施状況 (平成30年子ども・子育て支援推進調査研究事業「一時預かり事業の運営状況等に関する調査報告」三菱UFJリサーチ&コンサルティング 政策研究事業本部共生社会部より)(n=1920)
・回答事業所の属性について、運営主体は、26%が自治体直営、58%が社会福祉法人。
実施している他事業は、保育所66%、地域子育て支援拠点事業25%、認定こども園25%。
・一時預かり事業専用室の設置割合は、42%。
・予約の受付方法は、電話89%、来所72%。インターネットの受付システムは1.6%のみ。
・受け入れ対象年齢は、1,2歳児が8割以上と多い。
・配慮が必要なお子さんを預かっている実施施設割合は27%。
・年間利用者の63%が非定期利用者。37%が定期利用者(1か月以上週3日以上)。
・定員の平均は8名/日であるが、年間延べ利用者数が、300人未満の実施施設割合が59%。
・延べ利用者数平均について、4月は33人、3月は50人と年間利用状況に季節変動がある。
・職員の勤務形態は、常勤51%、非常勤47%。専従68%、兼務30%。
雇用形態は、正規職員32%、臨時・嘱託職員26%、パート・アルバイト40%。
・資格は、保育士87%、幼稚園教諭49%、子育て支援員4.7%。

〇運営上の課題・難しさ(平成30年子ども・子育て支援推進調査研究事業「一時預かり事業の運営状況等に関する調査報告」三菱UFJリサーチ&コンサルティング 政策研究事業本部共生社会部より)(n=1920)
課題 
・定員以上の申し込みがあり、断らざるをえない 36.7%      
・利用者数に応じた職員配置など、調整の負担が大きい 27.1%
・配慮を有する子どもや乳幼児の預かりが増え、定員分預かることが難しい 24.1%
・職員を十分に配置するための費用に対して補助金額が不足している 19.1%
・電話対応や利用料徴収などの事務負担が大きい 17.9%
難しさ 
・慣れていない子どもを数多く預かる必要がある 56.7%       
・同時に複数の年齢の子どもに対応することが難しい 21.4%

〇緊急フォーラムで明らかになった課題
 1.一時預かり事業の位置づけ、現状把握ができていない。
 2.自治体間での格差が大きい。
 3.1時間300円〜800円と利用料がバラバラ。
 4.就労・学習、親のレスパイト、子どもの発達支援、虐待予防等、事業の目的が多様。
 5.家庭のニーズに、量的に応えられていない。
   2019年度の利用児童数の目標値、1,134万人に対して、2017年度末で495万人と半分以下。
 6.実際には様々な困難を抱えた家庭、配慮が必要な家庭が利用している。
 7.子どもを預けるには家庭ごとの事情から生じる理由があり、家庭の背景にある課題を見極め、親子を支援していくソーシャルワークの機能が求められる。

○わたしたちの提言

1.就労・学習、親のレスパイト、子どもの発達支援、虐待予防など子育て家庭の多様なニーズに応えることができる一時預かり事業の位置づけや意義について、国において改めて整理し、市町村はじめ関係者に周知することを要望します

2.全国どの地域に住んでいても一時預かり事業を利用できるよう、わがまちの子育て家庭の潜在的二ーズを的確に捉え、次期市町村子ども・子育て支援事業計画に、量的ニーズを踏えた計画づくりと実施体制の確保を要望します。
特に、幼稚園、保育所、認定こども園等に通っていない家庭への非定期利用の一時預かり事業の量的拡充を要望します。
 
3.量的拡充のために、以下が実現できるよう予算の拡充をお願いします。
・保育所、認定こども園等に併設された一時預かり事業について、担当保育士の処遇改善その他の事業所への支援の充実
・多様な実施場所、運営主体が参入可能な事業環境の整備
 具体的には、地域子育て支援拠点事業等、乳幼児家庭の身近な場所において実施される一時預かり事業の拡充
・専用施設設置のための建設費、改修費、家賃補助等の実施場所整備に関わる予算の拡充

4.子育て家庭が、安心して預けられる一時預かり事業の質の拡充をお願いします。
・最低2人の職員配置が可能となる国庫補助基準額のアップ
・保育士、子育て支援員等の配置基準の見直し、処遇改善
・困難を抱えた家庭、配慮が必要な子どもを預かるための研修、支援体制づくり
・子育て支援員等研修等の拡充 
・大規模事業所の事務職員配置加算やIT化促進費用の拡充

5.様々な困難を抱えた家庭、配慮が必要な家庭に対して、家庭の背景にある課題を見極め、親子を支援していくソーシャルワークの機能を果たすため、利用者支援事業や子育て世代包括支援センター、子ども家庭総合支援拠点等との連携や専門家による支援チームの派遣等の体制整備を要望します。加えて、同様な機能を果たす、ファミリー・サポート・センター事業、子育て短期支援事業(ショートステイ、トワイライトステイ)等の拡充も合わせて要望いたします。

6.一時預かり事業を身近な事業とするため、一時預かり事業の無料利用券の配布等の工夫をお願
いします。特に、困難家庭や定期健診未受診家庭など特別な配慮が必要な家庭の利用につながる
よう配慮を求めます。

2019年7月13日

にっぽん子ども・子育て応援団
よこはま一万人子育てフォーラム
緊急フォーラム参加者有志

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2019年08月20日

緊急フォーラム「今伝えたい!一時預かり事業の現実 未来に向けて緊急政策提言」を開催しました。 緊急フォーラム「今伝えたい!一時預かり事業の現実 未来に向けて緊急政策提言」を開催しました。 緊急フォーラム「今伝えたい!一時預かり事業の現実 未来に向けて緊急政策提言」を開催しました。

 にっぽん子ども・子育て応援団は7月13日、東京・一ツ橋の日本教育会館で、緊急フォーラム「今伝えたい!一時預かり事業の現実 未来に向けて緊急政策提言!!」を開きました。一時預かり事業に関する初めての実態調査の報告や厚生労働省による事業説明、実際に一時預かり事業を行っている現場からの実践報告を受け、参加者らでグループワーク。多様なニーズがありながらも厳しい運営にならざるを得ない現状とともに、配慮が必要な親子の増加や虐待の恐れのある子どもの受入れなど現代な深刻な子育て家庭の最前線にあることなども明らかにされ、今後さらに充実が求められることを確認しました。
 にっぽん子ども・子育て応援団ではこれらを提言にまとめ、一時預かりの担当部局である内閣府子ども・子育て本部および厚生労働省子ども家庭局に向けて、一時預かり事業のさらなる拡充を働きかけることにしています。

基調報告

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 厚生労働省の平成30年度子ども・子育て支援推進調査研究事業として実施された「一時預かり事業の運営状況等に関する調査」について、担当した三菱UFJリサーチ&コンサルティングの鈴木陽子・主任研究員が報告。一時預かり事業の事業形態や事業主体、事業規模、職員配置状況などを明らかにしました。平均定員は8人で、利用年齢は1・2歳児が中心、週3日以上利用する定期利用は4割程度で、6割は年間延べ利用者数が300人未満と小規模。職員は保育士が9割で、半数が常勤。事業所の収入から給与総額を引くと、年間延べ利用人数900人未満では赤字になっていることも分かりました。配慮の必要な子や乳児の受け入れなどで人手が取られるために利用を断らざる得ない一方、急なキャンセルなどで職員が余剰となるなど利用者数に応じた職員配置が課題となっていることが挙げられました。このほか、保育者が事務負担を行うことやアレルギー・発達障害への対応、異年齢の合同保育、保育所より低い処遇などが課題に挙げられていました。

行政説明

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 一時預かり事業の推移や現在の補助内容、実態などについて厚生労働省の竹林悟史・前保育課長が説明しました。地域子ども・子育て支援13事業の一つである一時預かり事業は、理由を問わずに家庭での保育が困難な場合に利用できるという点が特徴。実施類型としては、一般型(保育所などで実施されているが場所の縛りはない)、幼稚園型T・U型(幼稚園を利用している人が利用する預かり保育)、余裕活用型(保育所は年度初めに定員に余裕があり途中から定員まで埋まるので、年度当初の余裕がある場と人を使って行う)、居宅訪問型(障害を持った子どもなどが対象)、地域密着U型(保育士の要件を一般型より緩和し、拠点などで実施されている)があります。
 保育所が持っている機能を開放するという形で平成13年ごろから補助制度がスタートし、平成20年の児童福祉法の改正で地域子育て支援拠点事業などとともに法律に位置づけられました。その際、実施主体を保育所以外にも拡大し、特定の子どもを継続的に預かる保育と区別するために「一時預かり」と名称も変更しました。また、拠点では、年齢別の配置基準を満たすことが難しいことから保育士が1人以上を要件とする地域密着U型が設けられました。その後、子ども・子育て支援新制度がスタートする前後に類型が見直され、保育所型と保育所以外の地域密着型をと統合して一般型とし、ひろばで実施されている地域密着型Uも一定の役割を果たしているとして残りました。自治体の事業計画では、平成25年度の実績400万人弱から、31年度末には1134万人まで増やすとされていましたが29年度末の実績で495万人程度と、達成は厳しいと見られています。実数が伸びないことなどに国としても問題意識を持っていることが明らかにされました。

実践報告
 友澤ゆみ子・NPO法人ピッピ・親子サポートネット理事長(横浜市)、新澤拓治・NPO法人雲柱社施設長(練馬区)、伊藤千佐子・NPO法人せんだいファミリーサポート・ネットワーク代表理事(仙台市)の3人が、それぞれの地域における一時預かり事業の実践について実情を報告しました。
 このうち友澤理事長は、単独型の一時預かり事業や認可保育所に併設した一時預かり事業、広場を利用した一時預かり事業などを展開し、全体で延べ利用人数数が4000人に上り、定期利用が多い事業形態とリフレッシュや緊急預かりが多い事業があることに言及しました。配慮の必要な子ども・保護者も増えており、受け入れられる人数は減少傾向、療育センターからの照会もあるなどソーシャルワーク機能が求められるようになっていることにも触れ、保育者側のスキルが必要だとして運営費の増額、保育士確保が課題だと訴えました。
 また新澤施設長は、子ども家庭支援センターにおける一時預かり事業について報告。延べ利用者は1万人程度で、週7日開所しており、練馬区が国の基準を上回る補助を行っており、充足率が9割を超えることなどが明らかにされました。予約や利用料の点から、一時預かりを利用した方がよい人が必ずしも利用できておらず、困難を抱えた人を受け入れらえるよう配慮していることにも触れました。区では当日キャンセルでも補助が行われていることで安心して事業運営できると指摘。一時預かりの保育の専門性について今後、検討する必要があるのではないかと問題提起がなされました。
 最後に、大規模な地域子育て支援拠点で実施される一時預かり事業について伊藤代表理事が報告。保育士3人で9人の子どもを受け入れる体制だが、処遇面などから保育士確保が難しく受け入れ人数は減少、国の補助の加算等が指定管理費用に反映されていないため、職員処遇を引き上げることが難しい点にも言及されました。心臓病など配慮を要する子どもやアレルギー児、虐待を受けたと思われる子どもなどのリスクの高い子の利用も増え、小児科や弁護士とも連携していることが挙げられました。広場に併設されているため、継続的に子どもと保護者をケアすることも可能となっている良さが指摘されました。

グループワーク・シンポジウム

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 参加者が6人程度のグループとなって意見交換。値段設定の難しさや幼児教育・保育の無償化による対象者が増えることへの懸念、配慮の必要な子どもの増加、自治体による対応の差、事務量の多さなどが課題に挙げられました。
 フロアからの問題提起を受けて、登壇者らが発言。「土日も実施するならば人件費もそれだけかかることを踏まえた事業費が必要」「断ることは難しいが、受け入れる場合にはリスクを引き受けることになる。情報量が少ない中、短時間でその子の特性を把握するといった専門性も考えるべきではないか」「一時保育の必要性が理解されない時代から事業を行ってきたが、虐待予防の観点からますます必要になってきている」「リフレッシュと言われるが、一時預かりの実態では厳しい家庭の子どもを預かっている。世間のイメージとのギャップがあるのではないか」「一時預かりを通して、深刻な家庭が多いことを実感する」などの意見が出されました。

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2019年07月02日

2019年参議院選挙に向けた子ども・子育て支援政策に関する政党アンケート

7月4日に公示、7月21日が投票日となる第25回参議院議員通常選挙。7政党に向けて子ども・子育て支援政策に関するアンケートを行いました。7月2日現在、6政党から回答をいただいています。
今回の設問は先ごろ体罰禁止などを含めた児童虐待防止関連法案改正に絡めて、社会的養護に関する4問。
以下、アンケート調査票の内容ごとに回答をご紹介します。

設問1 社会的養護の充実に向けて、貴政党が行ってこられたことを教えてください。
結果的に成立に至らなかった場合でも、国会に提出した法案についても教えてください。


2019政党アンケート設問1回答0701.pdf

設問2 社会的養護充実に関する予算について、どのようにお考えですか。少なすぎるので増額すべきとお考えなら、財源確保の方策についても、お示しください。

2019政党アンケート設問2回答0701.pdf

設問3 児童福祉法改正に盛り込まれた体罰禁止については、保護者や親となる人をはじめ広く社会に向けた啓発や、子どもとの対応に悩む親および保護者の支援も必要です。具体的にどのような方策が必要か、貴政党のお考えをお示しください。

2019政党アンケート設問3回答0701.pdf

設問4 社会的養護の現場における人手不足問題が叫ばれて久しいですが、里親制度などへの理解と担い手の養成、断らない相談窓口の設置などとともに、地域の支え合いの体制作りも重要だと考えます。大切な家族を守るためには、どのような対応が必要だとお考えですか。

2019政党アンケート設問4回答0701.pdf
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2018年08月02日

地域まるごとケア・プロジェクト2017年度報告書

さわやか福祉財団からの委託により2015年度から進めている地域まるごとケア・プロジェクトの2017年度報告書を、公式サイトにアップいたしました。以下のページからダウンロードできます。ご活用ください。
http://nippon-kosodate.jp/2017_marugoto.html
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